スキルアップ Vol.992

「話し方のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。を要約!【10分で読めるビジネス書】

ビジネスや世の中のことももっと勉強したいけれど、なかなか読書の時間が取れない……。そんなあなたに、10分で読める要約版でおすすめ書籍を紹介します!

ビジネス会話、雑談、プレゼンテーションなど「口頭・対面のコミュニケーション」を学びたいと思っても、「学ぶ手段」が多すぎて迷ってしまう人は多い。

そこで今回紹介するのは、書籍「『話し方のベストセラー100冊』のポイントを1冊にまとめてみた。」。

本著は「口頭・対面のコミュニケーション」をテーマにした名著100冊の中から、「共通のノウハウ」を洗い出した1冊だ。この記事では、本著の内容を要約して紹介する。

この本のポイント

「話し方のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。

・会話においては、相手の話をよく聞き、相手の聞きたい話をすることが重要だ。話し上手な人は「話す」ことより「聞く」ことに重点を置いている。

・分かりやすく伝えるためには、話す順番を意識しよう。結論から話すと、聞き手の理解度が高まる。同様に、「数字」「固有名詞」「体験談」を盛り込むのも効果的である。

・「もっと話したい」と思われるためには、話す内容だけでなく、表情に気を配るとよい。笑顔で話すために、「言葉の最後に無言の(イ)をつけて話す」を試してみよう。

・会話力は先天的なものではなく、練習によって伸ばすことができる。

Book Review

読書をしていると「これは、あの本にも書かれていたな」ということがある。あるテーマの関連本を何冊か読むと、著者同士はつながりがなくとも、似たような内容が書かれているのは珍しいことではない。複数の本で触れられていることは、そのテーマにおける「重要事項」であることに違いないだろう。

本書は「話し方」「伝え方」のテクニックを1冊にまとめた、究極の話し方本である。著者たちは、ビジネス会話、雑談、プレゼンテーションなど、「口頭・対面のコミュニケーション」をテーマにした名著100冊を丹念に読み込み、「共通のノウハウ」を洗い出した。その結果を40項目にまとめ、掲載冊数の多いものからランキング形式で紹介したのが本書である。堂々の1位に輝いた「会話は『相手』を中心に」は、なんと100冊中70冊で言及されていたというから驚きだ。

世の中に話し方の本は数多く出版されているが、「どれから読めばいいだろう」と迷ったら、まず本書を手に取ってほしい。必ずや求めているノウハウが見つかるだろう。また、参考書籍の紹介も随所に散りばめられているため、「次に読みたい本」を探すにあたっても大いに参考になるはずだ。ぜひ大ヒットした前著『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』とあわせてお読みいただければと思う。

話し方の名著100冊に共通するポイント

「話し方のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。

「話し方・伝え方」大事な順ランキングベスト40

本書を執筆するにあたって、著者である藤吉氏と小川氏は、話し方(会話術)の名著100冊を読み込み、それらに共通するノウハウを洗い出した。洗い出したノウハウを「掲載されていた本の冊数」によって順位付けし、冊数が多いほど重要度が高いとして、本書で「『話し方・伝え方』大事な順ランキングベスト40」を紹介している。

著者らによると、ランキングの1位から7位は、すべての人に必要な基本ルールだ。8位から20位は話がうまい人に共通するポイント、さらに21位から40位はコミュニケーション力をさらに高めるためのコツとされている。

要約ではそのうち、9個をピックアップして紹介していく。

【必読ポイント!】本当に大切な基本ルール

1位:会話は「相手」を中心に

話し方の名著100冊のうち、70冊が取り上げていたのが「相手(聞き手)を中心に会話をする」だ。具体的には、相手の話をよく聞くことと、相手の聞きたい話をすることである。

相手の気持ちを無視して自分の言いたいことを一方的に話していては、会話は成り立たない。伊藤羊一氏は『1分で話せ』において、「『自分が相手に伝えたい』という視点(『主観の自分』と呼びます)しか持っていないのであれば、その話を聞いている相手の気持ちが理解できず、相手に伝わらないということです」と述べている。

「聞き上手は話し上手」ということわざがあるように、話し上手な人は「話す」よりも「聞く」を大切にしている。なぜなら人は、「自分の話を聞いてくれる人」に好意を抱くものだからだ。話を聞くことで、相手の「重要な存在であると思われたい」という欲求を満たせる。

心理カウンセラーの五百田達成氏は『話し方で損する人 得する人』の中で「話を聞くだけで、誰からも好かれる」と述べている。自分ばかり話すのではなく、「話す」を2〜3割、「聞く」を7〜8割にすることを意識してみよう。

2位:「伝える順番」が「伝わり方」を決める

伝わる会話には「型」がある。型とは、話の組み立てや伝える順番のことだ。会話のプロである名著の著者の多くが「何を言うかと同じくらい、どの順番で話すかが大事である」「話す順番を変えると、伝わりやすさが変わる」と述べている。

会話のプロが推奨する型には「逆三角形型」と「PREP法」があり、いずれも「結論」を最初に述べるという点が共通している。結論とは「自分が一番伝えたいこと」「相手が一番知りたいこと」だ。結論を先に伝えれば、相手は話の目的・主題をわかった上で聞けるので、ストレスがない。

逆三角形型は、結論を先に伝え、次にそこに至った経緯や理由、根拠、補足事項を説明する型である。たとえば「懇親会への出欠」を聞かれたなら、まず参加できないこと(結論)を伝え、それから「先約がある」など、その理由を述べる。「残念なことに」など、クッション言葉を添えて相手に配慮するとなおよいだろう。

ビジネスシーンで多用されるPREP法は、論理的に話を進め、説得力を高めたいときに使われる手法だ。

その名の通り、P(Point:ポイント、結論)→R(Reason:理由)→E(Example:事例、具体例)→P(Point:ポイント、結論、まとめ)の順で話す。2回結論を伝えるため、相手の理解を得られるだけでなく、依頼や提案を受け入れてもらいやすくなるテクニックだ。

「話し方のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。

3位:話し方にメリハリをつける

話し方にメリハリをつける、つまり発声、発音、会話のスピードに変化をつけることで、話が相手に伝わりやすくなる。会話のプロたちは「同じ言葉でも、声の出し方が変わると、聞き取りやすさも変わる」と指摘する。具体的には「発声(強弱・高低)」「スピード」「間」「語尾」の四つに変化をつけると良い。

アップルの創業者でプレゼンの名手であったスティーブ・ジョブズは、声の大きさをたくみに調節していたという。実際、『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』(カーマイン・ガロ)には、「クライマックスに向けて盛り上がる段階では声を小さくし、最後に大きな声でドンと発表する」と書かれている。

また、声の高さを変えると、相手に与える印象も変わる。高い声は「明るさ、元気さ、若々しさ」を、低い声は「慎重さ、落ち着き、信頼感」を演出するので、シーンに応じて使い分けてみよう。コンサルタントで作家の安田正氏は、『超一流の雑談力』で「気軽なコミュニケーションでは声は高く、が鉄則」だと語っている。

6位:「ほめ」は人間関係の潤滑油

100冊中32冊に「ほめることの大切さ」や「正しいほめ方」が掲載されていた。相手をほめることで「やる気を引き出す」「成長をうながす」「自分の意見を聞いてもらいやすくなる」「自分も元気になる」などの効果が期待できるというのが、名著の主張である。

ほめ方のポイントの一つとして、「理由をつけて、具体的にほめる」が挙げられる。たとえば「このプレゼン資料、よくできていますね」ではなく「このプレゼン資料、図やグラフが効果的に使われていて、よくできていますね。売上、利益の推移、シェアが一目瞭然で、説得力があります」といった具合だ。

具体的にほめることで、相手は自分の良い部分を客観的に把握でき、細かなところまで見てくれていたことに嬉しさを感じるだろう。お世辞やおだてではない、本当の気持ちが伝わるという効果もある。

ビジネスや子育てでは、結果よりもプロセスをほめるのがポイントだ。すると、相手は行動そのものを肯定されたと感じ、失敗を恐れずに挑戦し続けるようになる。結果だけをほめ続けると、成果が出ないことはやらなくなってしまうかもしれない。

人前でほめるのも効果的だ。星渉氏は『神トーーク』の中で、「ほめる時は大勢の前でほめて、その後で個別にほめる」ことをすすめている。ただし、注目されるのが嫌いな人や周囲に妬みやすい人がいる場合は、個別のほうが安心だ。

話がうまい人に共通するポイント

「話し方のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。

8位:具体的に話す

多くの名著ですすめられているのが、具体的に話すことだ。そのメリットとして、話がわかりやすくなる、混乱を回避できる、説得力が増す、共感が得られる、印象に残りやすい、の五つが挙げられる。

具体的に話すには、次の三つを意識するとよい。

1.「数字」で語る
会話に数字を入れることで、イメージの幅がなくなり、相手に正確に伝わるとともに、リアリティが増す。『コンサル一年目が学ぶこと』で大石哲之氏は、「数字でものをいうのが、いちばん効果的です」と、ビジネスにおいてファクト(事実)で語ることの重要性を説いている。「なるべく早く」「ほどよく」「ある程度」などといった、解釈にバラつきが生じる言葉は、数字に置き換えよう。

2.「固有名詞」を入れる
会話に人名、社名、地名、商品名などの固有名詞を入れると、相手に強い印象を残せる。「この」「あの」などといった「こそあど」言葉は避けよう。

3.「体験談」で共感、説得力を高める

放送作家の野呂エイシロウ氏は『「話の面白い人」の法則』で、「テレビやネットよりもあなたが見聞きした話が一番」と述べている。特に「自分が見聞きした話」「失敗談」「最近のエピソード」が効果的だ。

12位:笑顔で会話する

「もっと話したい」と思われるためには、話す内容だけでなく、表情を意識すべきである。特に好印象を与える表情は笑顔だ。ビジネスコンサルタントの和田裕美氏は『和田裕美の人に好かれる話し方』で「笑顔ですごく人と差ができるのです」と書いている。

笑顔で話す方法として、「言葉の最後に無言の(イ)をつけて話す」を試してみよう。「また、ぜひ一緒に仕事しましょう(イ)」「本当にありがとうございました(イ)」「こんにちは(イ)」といった具合だ。

18位:相手の話をさえぎらない

会話では、相手の話に割り込まず、最後まで聞くことが大切だ。『ヤフーの1on1』で本間浩輔氏は、上司が部下の話を集中して聞くことで「(部下は)語ることによって、だんだん自分の考えが明瞭になり、深まっていく」と述べている。

質問をしたい場合は、相手の話が終わったあと、3秒ほど待ってからにする。自分の話をしたいなら、相手の話が終わったあとに「そういうことがあったんだね」と受け入れ、「私の話も聞いてくれる?」と、相手のOKが出てから話し始めよう。

コミュニケーション力をさらに高めるためのコツ

「話し方のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。

23位:練習で、だれでも話し上手、伝え上手になれる

会話力、雑談力は、練習によって鍛えられる。明治大学教授の齋藤孝氏も『雑談力が上がる話し方』の中で「雑談力は先天的な能力ではありません」と断言している。

話し方のプロたちがすすめる練習方法は、次の三つである。

まずは「ロールモデルを探してモノマネする」。「この人のように話してみたい」と思うロールモデルを探し、声の高さやスピード、間の入れ方などを真似するのだ。録音してあとで聞き直したり、誰かに聞いてアドバイスをもらったりするのもいいだろう。

二つ目は「落語から学ぶ」。阿川佐和子氏や池上彰氏は、「落語」を通じてコミュニケーションを学んだという。

三つ目は「新しいネタをインプットしたら、すぐ使う」。会話上手になるためには、新しい話題をストックしておく必要がある。新しいネタやおもしろいフレーズを仕入れたら、すぐに誰かに話してみよう。そうすれば、記憶に定着し、別の会話でも使えるはずだ。

28位:語彙力と伝える力は比例する

語彙力のある人は、状況に応じて言葉を使い分けたり、適切にわかりやすく伝えたりすることができる。一方、語彙が少ないと、同じ言葉を繰り返してしまったり、表現が稚拙になったりしてしまうものだ。

語彙力を高める方法として、会話のプロの多くが「読書」をすすめている。「ふだんの読書量が多ければ、自然に語彙も豊富になる。読書量が豊富かどうかが、話すときの語彙数に影響を与える」とは、齋藤孝氏が『人を10分ひきつける話す力』で語っていることだ。

また、「メモをとる」も効果的だ。『言語化力』の著者、三浦崇宏氏は「会社員になった頃からずっと『名言のメモ』を書きためている」という。「素敵だな」「使ってみたいな」と思える表現を見つけたら、メモしておこう。

著者情報

藤吉豊さん

株式会社文道、代表取締役。有志4名による編集ユニット「クロロス」のメンバー。日本映画ペンクラブ会員。
編集プロダクションにて、企業PR誌や一般誌、書籍の編集・ライティングに従事。編集プロダクション退社後、出版社にて、自動車専門誌2誌の編集長を歴任。

2001年からフリーランスとなり、雑誌、PR誌の制作や、ビジネス書籍の企画・執筆・編集に携わる。文化人、経営者、アスリート、グラビアアイドルなど、インタビュー実績は2000人以上。2006年以降は、ビジネス書籍の編集協力に注力し、200冊以上の書籍のライティングに関わる。大学生や社会人に対して、執筆指導なども行っている。

共著書に『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』(日経BP)、単著書に『文章力が、最強の武器である。』(SBクリエイティブ)がある。

小川真理子さん

株式会社文道、取締役。「クロロス」のメンバー。日本映画ペンクラブ会員。

日本女子大学文学部(現人間社会学部)教育学科卒業。編集プロダクションにて、雑誌や企業PR誌、書籍の編集・ライティングに従事。その後、フリーランスとして、大手広告代理店の関連会社にて企業のウェブサイトのコンテンツ制作に関わり、仕事の幅を広げる。

現在はビジネス書や実用書、企業をクライアントとするPR誌などの編集・執筆に携わる。子ども、市井の人、イケメン俳優、文化人など、インタビューの実績は数知れず。得意なジャンルは「生活」全般、自己啓発など。

共著書に『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』(日経BP)、自ら企画編集執筆に携わった本に『親が倒れたときに読む本』(枻出版)がある。近年は、ライティング講座にも力を注ぐ。

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