キャリア Vol.1049

「私、ブスを仕事にしたい」詐欺メイクYouTuber足の裏が“自分のすっぴんは嫌い”なまま7年配信を続ける理由

※この記事は姉妹媒体『Woman type』より転載しています

「プチプラコスメで足の裏を人間にする動画を撮ってます」そんな説明とともにYouTuberとして活動する、足の裏さん。

YouTuber足の裏

YouTube動画より作成(参照

詐欺メイク」を仕事にする彼女のビフォーアフターは、その言葉通り、まるで別人のよう。

「スマホの顔認証はすっぴんだと使えないし、カメラロールでもすっぴんとメイク後の顔は別人と認識されています」

そう笑う彼女がメイクを始めたきっかけは、見た目へのコンプレックス。「今でもブスだなって毎日思っています」と、淡々と話す。

嫌いなすっぴんを公開し、YouTuberとして活動する今の生き方に、足の裏さんはどのようにたどり着いたのだろう。

YouTuber足の裏

足の裏さん

プチプラコスメを中心に、「足の裏のようなすっぴん」から「人間」になる詐欺メイクを紹介しているYouTuber。1992年横浜生まれ。二児のママとして夫と夫婦チャンネルも開設し、YouTuber夫婦としても活動している。趣味はディズニーランドに行くこととポケモンカード。書籍『顔面が「足の裏」みたいなので整形級メイクを仕事にしました』(KADOKAWA)■ YouTubeTwitter

私は、人の役に立てるブスなのかもしれない

「足の裏」は、就職した時に先輩から付けられたあだ名です。「なんか足の裏っぽい顔だな」って言われて。

私は外見についてネガティブなことを言われても、「そうだよね」と普通に受け取るタイプ。

自分の見た目への自己評価が低いから、「その通りです」みたいな感じで。

だから「足の裏」って言われた時もショックを受けることは一切なく、「パワーワードだな」ぐらいに思っていました。

YouTuber足の裏

書籍『顔面が「足の裏」みたいなので整形級メイクを仕事にしました』より

そんな私でも、YouTubeですっぴんをさらすことにはめちゃくちゃ抵抗がありました。

YouTubeチャンネル開設のきっかけは、夫です。実は「詐欺メイク女子を当てる」という企画でテレビ出演をしたことがあって。

それまでは友達にも、夫より前に付き合っていた恋人にも、すっぴんは見せられていなかったんです。

だからテレビですっぴんを公開するなんて考えられないって思ったんですけど……「芸能人に会える!」っていう、ミーハーな気持ちで出演を決めました(笑)

YouTuber足の裏

書籍『顔面が「足の裏」みたいなので整形級メイクを仕事にしました』より

それに、どうせ誰も見ないと思っていたんですよ。深夜番組だったし、周りの人に出演することは言わなかったですし。

ところが、番組が終わったら思った以上の反響があって。

夫も、「これだけ反響があるならYouTubeをやったらいいんじゃない?」と思ったのでしょうね。

当時はまだYouTuberという言葉が浸透していなかった頃。私自身、「YouTubeやりなよ」という夫の言葉が全くピンと来ませんでした。

そもそも全世界に自分のすっぴんを公開するなんて絶対嫌。

だから半年ぐらいは「やりたくない」と断っていたんですけど、夫は「やってほしい」と伝え続けてくれて。

あまりにしつこいから、「じゃあ一回だけやってみる」と動画を公開したら、ありがたいことにいきなり50万回くらい再生されたんです。

YouTuber足の裏

書籍『顔面が「足の裏」みたいなので整形級メイクを仕事にしました』より

夫は「ほらね」みたいな感じでしたけど、私は「こんなブス、誰も見なくない?」と思っていたから、もうびっくりですよ。

当時は自分のメイク術がすごいとも思っていなかったですしね。「私、メイクにすごい時間がかかるな」ぐらいにしか思っていなかったんです。

だから、「自分も頑張ろうと思った」「メイクを始めるきっかけになった」といったコメントがたくさん付いたことが本当にうれしくて。

中には「メイクなんかしても変わらないって思っていたけど、動画を見て自分も変われるかもと思った。足の裏さんのおかげでメイクを始めて、人生が変わりました」というコメントもありました。

自分はただのブスだと思っていたけど、人の役に立てるブスなのかもしれない

一度きりで辞めるつもりだったYouTubeでしたが、そう思えたことで「続けよう」という気持ちに変わりました。

向上心がないから、7年もYouTubeが続いているのかも

YouTubeを始めるまでは、自分の顔を自分の視点でしか見られませんでした。

だから自己満のメイクしかできなかったんですけど、YouTubeを始めてからは客観的な視点から欠点を教えてもらえるようになって。

「眉頭をぼかした方がいい」

「目より鼻のメイクを研究したらいいんじゃない?」

そういった視聴者さんからのコメントをきっかけに、ノーズシャドウやアイブロウの研究をするようになりました。

それまでの私はアイメイクばかりに力を入れていたけれど、おかげでメイクの幅が一気に広がって、あか抜けにもつながったように思います。

普通に生きていたら、「そのメイク変だよ」「もっとこうしたら?」なんて、顔について指摘されることはなかなかないじゃないですか。

そんなレアな機会を得られているのは、YouTubeをやっていてよかったなと思うポイントの一つです。

今も自分のすっぴんが不細工という思いは変わらないけれど、コメントのおかげでメイクの技術はどんどん進化していて、メイク後の顔は「好きな顔だな」って思います。

もうYouTubeを始めて7年になりますが、これまで「チャンネル登録者数100万人を目指したい」みたいに思ったことは一度もないんです。

43万人もの方がチャンネル登録してくださっているだなんて奇跡だと思っていますし、今いる視聴者の方が見てくださるだけで十分幸せ。もちろん、増えたらうれしいですけどね。

他のYouTuberさんと比べることもありません。皆さんの再生回数や登録者数が多いのは、その人がすごいから。私はすごくないので、自分がかなわないのは当たり前です。

ある意味、私には向上心がないんだと思います。有名になりたい気持ちもありません。

その点では、他のYouTuberさんの考え方とは違うのかもしれないですね。

上を目指そうとしている方とお話しする機会があると、すごいすてきな性格だなって思います。

ただ、私がYouTubeを7年も続けられている要因の一つは、「向上心がない」っていう性格がプラスに働いているからだとも思っています。数字に執着しないから、マイペースに更新できているというか。

今はSNSが広まったから、人の私生活が簡単に見えるようになって、比較が簡単にできてしまいますよね。

周りを見ていると、真面目すぎる方が多いように感じています。

だからこそ、人と比較して「もっと頑張らなきゃ」って落ち込んでしまっている人も増えているように思っていて。

気持ちは分からなくはないけど、ちょっとのことでも「自分は頑張ってるな」って、自分自身が思うことが大事なのかなって思います。

生きてるだけで偉いし、朝起きて仕事に行くだなんてすごい偉い。

そういう気持ちでいた方が落ち込みにくくなるし、明日からも頑張ろうって思える気がしますね。

それが自分らしく生きることにもつながるように思います。

今だって自分の顔は好きじゃない

YouTubeでは寝起きの顔もそのまま出しています。

動画を編集する時に「ブスだな」と思いますし、今でも毎日「自分はブスだ」と思っていますけど、落ち込むことはありません。

これが自分ですし、この顔で31年間生きていますから。

もちろん、整形したいなと思うこともあります。でも、整形したらメイクの楽しさも減っちゃう気がして。

それなら与えられたものを受け入れて、いっぱいメイクを楽しもうって感じです。

それに、夫のアツローが「整形したら寂しい」と言ってくれるんです。夫は小学校の同級生で、私の元々の顔を知った上で付き合ったのが大きいですね。

だから自分はブスだと自覚しながら、この顔で生活を続けていられているのだと思います。

夫がとんでもないB専という奇跡で結婚できて、本当に感謝だなって思います。

YouTuber足の裏

書籍『顔面が「足の裏」みたいなので整形級メイクを仕事にしました』より

そうはいっても、来世でも女性として生まれるのであれば、確実に美人を選びます。

眉毛にパウダーを乗せてリップを塗って、5分で外出できるような女性に生まれたい。

今だって、「自分の顔は好きですか?」と聞かれたら、「好きじゃない」って答えます。

というか、それはどっちでもいいと思っています。好きでも嫌いでも、何も変わらないというか。

似た質問で、「自分を好きになれないんですけど、どうしたらいいですか?」って聞かれることがあるんですけど、「別に好きじゃなくてもいいんじゃない?」って思う。

自分の顔が嫌で整形したいならすればいいし、メイクを頑張れるなら研究すればいい。

「自分のすっぴんの顔が好きじゃなきゃいけない」なんてことはないと思います。

こうやって話すと「足の裏さんはありのままの自分を受け入れているんですね」なんて言われることがありますが、どちらとも言えますよね。

受け入れているからこういう仕事をしているのだろうけど、その割にはめっちゃメイクしてるし(笑)

YouTuber足の裏

書籍『顔面が「足の裏」みたいなので整形級メイクを仕事にしました』より

でも、メイクをするのは、持って生まれた自分の顔で楽しく生きるための工夫です。

私はメイクが大好きだし、鏡の中の自分がメイクによって変わっていくのも楽しい。

それを見た視聴者さんがコメントを下さるのも励みになっています。

メイクが楽しくてメイクをしてるので、そういう意味では、その姿もありのままなのかもしれないですね。

だから高校生の頃の見た目のコンプレックスに悩んでいた当時の自分に声を掛けるとしたら、「すごいブスだけど、人の役に立てるから元気出して」って言いたいです。

今の状況が続けば、もう十分幸せ

YouTuber足の裏

偶然と奇跡が重なって、私のYouTubeをたくさんの視聴者さんが見てくださり、本を出すこともできました。

今でも、「私は別にすごくない」という思いは変わりません。

多分、自己肯定感が低いのでしょうね。それによって苦労しているわけではないので気にしていませんし、そのままの自分を出す感覚で、YouTuberとしても活動してきました。

ただ、これまでYouTubeでは自分の生い立ちについて、ほとんど話してきませんでした。

視聴者さんには笑顔になってほしいから、話す機会がなかったんです。

その一方で「自分のつらかった経験を話すことは無駄じゃないんだな」と思うきっかけがあって。

そんなタイミングで書籍化のお話をいただき、本の中では私の生い立ちについても触れています。

うちは両親が結構ひどい感じで。「ああいう親だから、子どももこうなったんだね」とは絶対に思われたくない一心で、「普通の会社員として働いて、普通の生活を送りたい」と学生時代から思ってきました。

親は反面教師のような存在で、そんな生い立ちの経験から、自分自身はグレたりすることもなく、ポジティブな性格になっていったように思います。

YouTuber足の裏

書籍『顔面が「足の裏」みたいなので整形級メイクを仕事にしました』より

書籍を読んでくださった方からは、「そんな過去があったなんて思わなかった」という驚きの声を多くいただきました。

中には涙を流しながら読んでくださった方もいて。

「私も今つらい状況にいるけど、前向きになれました」といった言葉をいただき、自分のつらかった過去の一部が少しでも励みになったのなら、本当に本を出してよかったなって思います。

YouTuber足の裏

書籍『顔面が「足の裏」みたいなので整形級メイクを仕事にしました』より

この先は、家族が健康で、子どもたちが平均的な生活ができる程度の収入を得ながら、引き続き楽しくYouTubeを続けていけたら、もう十分です。それが私の理想。

「メイクがもっとうまくなりたい」っていう向上心はありますけど、それ以外のことに関しては現状維持で満足しちゃうタイプなのかもしれないですね。

ただただ今の状況に感謝だし、この状況が続けばいい。

YouTuber足の裏

書籍『顔面が「足の裏」みたいなので整形級メイクを仕事にしました』より

だから特別な目標はないけれど、一つだけ、視聴者さんに直接「ありがとう」を伝えたい気持ちがあります。

私が長くYouTuberとして活動できている一番の理由は、視聴者さんの存在です。

今の生活が成り立っているのも、全ては皆さんが見てくれているからこそ。

今は東京でしかイベントを開催できていないので、これからは全国各地で直接お会いできる機会をつくりながら、一人一人の方にお礼を言いたいなと思っています。

書籍紹介

YouTuber足の裏

『顔面が「足の裏」みたいなので整形級メイクを仕事にしました』(KADOKAWA)

「詐欺メイクの神!」と呼ばれる大人気YouTuber「足の裏」、初の書籍!小学校高学年のある日、ふと気づいてしまった。――「もしかして私って、ブスなのかな?」

以来、大キライになってしまった自分の顔。いつも「顔」のことばかり考えている毎日…。少しでもかわいくなりたい…と、髪型やメイクを研究するも、気がつけばはがれている二重テープに、まばたきするだけで「怖い」と言われる目…(二重のり、つけ過ぎた…)。

そんなさなか、たった一人の肉親だったお母さんが家を出て行ってしまい…。「人生つらいことばっかりじゃん!」と絶望に暮れる「足の裏」を救ったものとは…!?

>>詳細はこちら

取材・文・編集/天野夏海 


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