三浦翔平が“自分軸”の努力にこだわる理由「100%で仕事に打ち込んだら、世間の評価は気にしない」
2008年の俳優デビューから15年間、数々のドラマや映画、舞台など、第一線で活躍し続けている三浦翔平さん。
23年10月6日(金)公開の映画『親のお金は誰のもの 法定相続人』では、比嘉愛未さんとダブル主演を務める。
三浦さんが演じる城島龍之介は、成年後見に注力している弁護士。本作は、母親を亡くしたことで巨額な財産を巡る大騒動へと発展した家族(大亀家)に龍之介が関わることで、ストーリーが展開する。
フィクションにおいて、弁護士は“正義の味方”として描かれることが多い。しかし龍之介は、自身のもうけしか考えていない利己的な弁護士として描かれる。
数々のドラマや映画に出演し、幅広い役柄を見事にこなすことに定評がある三浦さんだが、俳優として高いパフォーマンスを発揮し続けることに負荷を感じることはないのだろうか。
100%の力で仕事に取り組めたら、作品が世間にどう受け取られるかはあまり気にしないようにしています。
プロとして仕事で成果を出し続ける三浦さんにその秘訣を聞くと、視点を外ではなく“内側”に向ける姿勢が見えてきた。
※この記事は姉妹媒体『Woman type』より転載しています
悪人になり切れないキャラクターは、演じるのが大変だった
三浦さんが20年に出演した映画『天外者』の監督である田中光敏さんと、脚本の小松江里子さんが再びタッグを組んだ本作。出演のオファーを受けた時は、「ぜひ」と二つ返事で引き受けた。
撮影前には、「ヒールに振った方がエッジが効くのでは?」「善人なふりをして実はめちゃくちゃな人物にするのは?」と龍之介というキャラクターについて3人で話し合う機会を設けた。
最終的に悪人になり切らないキャラクターに落ち着いたのは、彼がそうならざるを得ない過去を抱えている人間だからだ。
龍之介は性格がねじ曲がっていてお金に執着しているけど、それは家族の愛を知らずに育ってきた過去が根底にあるんです。
最初はすごく嫌なやつだと感じるのに、彼の過去を見ていくとかわいそうな人間なんだと思わされる。家族の愛に飢えている人間であるという方向で役づくりをしました。
心にずっとふたをして、仮面を付けたまま生きている。
思ったことを口に出すタイプなら演じやすかったのかもしれませんが、龍之介を演じるのは、正直つらい気持ちの方が大きかったです。
芸歴15年。演者として新しいチャレンジは続く
これまでも弁護士役を演じたことは何度かあったが、「成年後見制度についてはあまり知らなかった」と話す三浦さん。
撮影が始まる前までに、制度について学ぶ機会を設けたそうだ。
弁護士によって扱う事例、事務所所属なのか個人で活動するのかなど、全く異なります。
撮影に挑む前に、弁護士の方とアポイントを取って、制度や現在の弁護士業界について詳しく教えていただきました。
さらに、撮影時に苦労したのは「サパテアード(※)のリズムに合わせて芝居をする」ということだった。
(※)サパテアード…8分の6拍子で足拍子をとるスペインの踊りおよび曲のこと。本作は劇中に、サパテアードのステップを踏むシーンが映し出されたり、音楽が流れたりする。
監督から「サパテアードの音と龍之介の心情をリンクさせてほしい」と言われました。だんだんテンポが上がっていく時は、同じように心情を動かしていく。
セリフがなくても動きや表情で心情を表現しなければいけなかったので、何が正解なのかを手探りしながら演じていましたね。
芝居のアプローチとして初めての試み。難しさを感じながらも「リズムで芝居をするのは楽しい」と新鮮な気持ちも抱いたという。
全力で仕事に向き合えたら、どんな結果も恐れない
15年の俳優活動を続けていても、初めて挑戦することも多い。誰と何をつくり上げるかによって、求められるものが毎回変わるからだ。
そんな中で、三浦さんがプロの仕事人として意識していること。それは「与えられた仕事に100%で返すこと」だ。
仕事である以上、全力で働いて結果を出すのは当然のこと。その分の対価を得るのも、またしかりだと考えています。
その過程には苦労を伴うかもしれませんが、与えられた仕事に全力で、最後まで向き合うことが俳優の仕事だと思うんです。
過程が大切か、結果が大切か。仕事によって異なるはず。しかし、映画やドラマといった作品が完成するためには、「過程も大切にしなければいけない」と三浦さんは話す。
映画やドラマといった作品は、脚本や撮影、音響などのさまざまな領域でのプロフェッショナルが集まり、パッケージ化され、それを観た人たちに何かしらの影響を与えることで完成される。
俳優という仕事は、作品を完成させるための材料の一つ。100%の力で取り組まなければ、結果にはつながりません。
プロとして結果を残すためには、過程に全力で向き合うことが欠かせない。しかしプレッシャーを感じるあまり、仕事のパフォーマンスが落ちてしまうこともあるだろう。
俳優として長く演技に向き合い、多くの作品に携わってきた三浦さんはどうプレッシャーに対処しているのだろうか。
問い掛けると、「作品が世間にどう受け取られるかは、あまり気にしない」と笑顔を浮かべた。
もちろん作品を肯定された方がうれしいけど、中には否定的な意見もあって当然。
それをいちいち気にしていたら、思いっきり仕事に取り組めないじゃないですか。
一見ドライに思われるスタンスだが、その考えは非常に合理的だった。
周囲の反応を気にして、プロとして最大のパフォーマンスが発揮できなかったらもったいない。
自分にとって全力を尽くしたと思えたらそれで十分。なにも「全員から肯定されなきゃ」って考える必要はないんじゃないかな。
「なんとかなるっしょ」マインドが推進力
100%の力で応えたら、その結果どう着地するかは気にしすぎない。しかし、どうしても成果に自信が持てず、気持ちよく仕事に取り組めないときもあるのではないだろうか。
三浦さんに率直に疑問をぶつけてみると、「基本的に何でも、『なんとかなるっしょ』って思ってるんですよね」とカラッとした笑顔で話す。
なんとかしようと努力さえすれば、なんとかなる。
結局自分の気持ちの問題だし、仕事ってその連続だと思っています。
どんなに仕事でプレッシャーを感じたとしても、自らが持てる全力で仕事に取り組みさえすれば、おのずと結果はついてくるはず。
三浦さんの前向きなマインドが、前に進む勇気を与えてくれそうだ。
作品情報
『親のお金は誰のもの 法定相続人』
10月6日(金)全国ロードショー
出演:比嘉愛未、三浦翔平、浅利陽介、小手伸也、山﨑静代(南海キャンディーズ)、松岡依都美、田中要次、内海 崇(ミルクボーイ)、デヴィ夫人、石野真子、三浦友和
監督:田中光敏
脚本:小松江里子
主題歌:「Bitter」ビッケブランカ(avex trax)
配給:イオンエンターテイメント、ギグリーボックス
©2022「法定相続人」製作委員会
■公式サイト/公式X(Twitter)/公式Instagram
ヘアメイク/石川ユウキ スタイリスト/根岸豪
取材・文/阿部裕華 撮影/渡辺 美知子 編集/柴田捺美(編集部)
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