池田エライザ流、挑戦と向き合う上での心掛け「面倒くさがることもカッコつけることもできるなら、後者を選ぶ」
クールな印象とは裏腹に、大きな目を細めてクシャっと笑う。その自然体な表情が魅力的な、俳優・池田エライザさん。
池田エライザ流、挑戦と向き合う上での心掛け「面倒くさがることもカッコつけることもできるなら、後者を選ぶ」
俳優デビュー以降、さまざまな役柄を演じ、そのたびにクルクルと印象を変えて観る者を魅了し続けてきた。
そんな彼女は、2023年10月20日公開の映画『おまえの罪を自白しろ』でも新たなチャレンジを見せてくれた。
※この記事は姉妹媒体『Woman type』より転載しています
政治家の娘としての苦悩を、徹底した役作りで描き出す
本作で池田さんが演じる緒形麻由美は、大物政治家・宇田清治郎(堤 真一)の娘であり、自身も一児の母。しかし劇中、麻由美の娘である柚葉(佐藤恋和)は誘拐事件に巻き込まれてしまう。
柚葉の解放条件として犯人が突き付けてきたのは、父・清治郎が秘めている罪を記者会見で自白すること。わが子の命が掛かっている状況で、政治家の娘として、そして母として複雑な感情を爆発させていく難しい役どころだ。
このチャレンジに向き合うにあたって、池田さんは麻由美のインナーチャイルドをリストアップしていったという。
池田エライザとしての私は、表現することが仕事なので自分の意思を尊重していただきやすい。
でも、麻由美はきっと違うんですよね。 政治家の娘として父を立てなければならない。偉そうに見える物言いをしてはいけない。そんな窮屈な思いをしながら育ってきたと思うし、諦めざるを得なかったことがたくさんあったはずなんです。 そんな彼女が抱えている起爆剤、父に対する許し難いことをたくさん考えました。
それはもう、父親役の堤さんのことまで嫌いになっちゃうんじゃないかと思うくらい(笑)。それくらい考え抜きました。
撮影を通じて自然と「母」になっていった
政治家の娘という役作りを徹底し、挑んだ撮影。自身にとって初めてとなる母役については、「自然と『母』になっていく感覚があった」と振り返る。
最初は、自分の母やお子さんのいるスタイリストさんをイメージして『母』という存在への理解を深めていこうと思っていたんです。
ですが、いざ撮影が始まると、現場で宇田家のみんなや娘の柚葉と過ごしていく中で自然と家族になっていく感覚がありました。
柚葉役の恋和ちゃんと一緒に『夕焼け小焼け』を歌っていたら、『お母さん、お歌上手!』と言ってくれて……本当にかわいいんですよ。
この子の未来を守らなきゃいけないし、この子のためならどんな理不尽にも耐えられる。そう思うくらい小さくて、尊くて、無垢だった。
私は子どもを産んだことはないけれど、母性という感覚は誰にでもあるのかもしれないと思いました
柚葉が誘拐されたシーンの撮影では、娘が連れ去られた悲しみのあまり、カメラが回っていないところでもずっと泣いていたという池田さん。「役だからと割り切れるほど器用じゃなくて」と照れくさそうに微笑んだ。
柚葉との時間がすごく幸せで、幸せだからこそ、誘拐されてしまった事実がつらかったんです。
幼少期に窮屈な思いをしてきたであろう麻由美にとって、きっと柚葉は大きな希望。
そう思うと、あのシーンは悲しくて仕方がなかったですね。
面倒くさがることもかっこつけることもできるなら、後者を選ぶ
モデル、俳優、アーティスト、映画監督などさまざまな表現に果敢に挑み、軽やかにこなしていく池田さん。だが、「政治家の娘らしさ」に縛られていた麻由美同様、「らしさ」を意識するあまり無理していた時期があったという。
女優たるもの白いワンピースが似合うような存在でいなければいけないと思いこんでいて。髪の毛が赤くなりやすいので、以前は役が決まったら毎回黒く染めていました。
そうやって毎日『明日は女優をするぞ!』と思っていたけど、それは私のパーソナルじゃないんですよね。女優らしさを頑張って意識してみたけど、苦手だったんでやめました(笑)
それは、少し年を重ねて厚かましくなってきたおかげかも。いろんなことを積み重ねていかなければならないと肩に力が入っていたけど、無理して積み重ねなくてもいいや! と思えるようになりました。
「向かないものを手放せるようになってよかった」と池田さんは笑顔を見せる。改めて、新たなことへ足を踏み出す時の心掛けを聞いてみた。
私は根が面倒くさがりだから、本当は挑戦することだって面倒くさいんです。でも一方で、新しいことが大好きな自分もいて。
だから、新しいことをする時は『面倒くさい』と思いながらやることもできれば、『私ってカッコいい!』と思いながらやることもできる。
その2択を選ぶとなったら、どう考えても『カッコいい!』って思いながらやる方がいいなって。
周りにも、『私カッコよくない?』『めっちゃ頑張ってるんだ!』と言うようにしていると、どんどんその気になってくるんですよ。頑張るフィールドが作られていくんですよね。
ただ、頑張りすぎてしまわないように、時には家族には弱音を吐いて良いバランスをキープできるようにしています。
最後に、今後挑戦していきたいことを問うと、彼女らしい回答が返ってきた。
世界中の人とお芝居をしてみたいし、海外にフラッと飛んでショートフィルムを撮りたい。そういうことは衝動的にやっていくと思います。
きっとまた面倒くさいと思うんだろうけど、それが自分らしさでもあるかなって(笑)。そんな私も含めて、池田エライザという人間を面白がってもらえたらうれしいですね。
取材・文/阿部裕華 撮影/洞澤 佐智子(CROSSOVER) 編集/秋元 祐香里(編集部)
作品情報
『おまえの罪を自白しろ』10月20日(金)全国公開
政治家一族の宇田家の次男・宇田晄司(中島健人)は建築会社を設立するも倒産し、やむなく政治スキャンダルの渦中にいる国会議員の父・宇田清治郎(堤 真一)の秘書を務め、煮え切らない日々を送っていた。そんなある日、一家の長女・麻由美の幼い娘が誘拐された。
犯人からの要求は身代金ではなく、「明日の午後5時までに記者会見を開き、おまえの罪を自白しろ」という清治郎への脅迫。それは決して明かすことが許されない国家を揺るがす“罪”だった……。
権力に固執し口を閉ざす清治郎に真っ向から対立する晄司は、タイムリミットまでに罪に隠された真相を暴き、家族の命を救うことができるのか!?
警察×マスコミ×国民を巻き込み、巨大な闇に切り込む前代未聞のタイムリミットサスペンス!
出演: 中島健人 堤 真一
池田エライザ 山崎育三郎 中島 歩 美波
浅利陽介 三浦誠己 矢柴俊博 柏原収史 中村歌昇 佐藤恋和 アキラ100% 山崎 一
尾美としのり 池田成志 橋本じゅん 春海四方 小林勝也 菅原大吉 升毅 平泉 成
尾野真千子 金田明夫 角野卓造
監督: 水田伸生
脚本: 久松真一
原作: 真保裕一『おまえの罪を自白しろ』(文春文庫刊)
主題歌 : B’z「Dark Rainbow」(VERMILLION RECORDS)
配給: 松竹
(C)2023『おまえの罪を自白しろ』製作委員会
RELATED POSTSあわせて読みたい
三浦翔平が“自分軸”の努力にこだわる理由「100%で仕事に打ち込んだら、世間の評価は気にしない」
「仕事はあえて全身全霊でやらない」松山ケンイチの価値観が180度変わった理由
【最上もが】“好きを仕事に”ブームに抱く違和感「仕事を好き・嫌いで選べると思っていなかった」
自己肯定感は低くていい。作詞作曲家・岡嶋かな多が「自分に自信がない」からできたこと
バービー「もう芸人辞めようか」無茶を重ねた20代→30代でガス欠状態に陥った彼女を救った転機