営業女子の労働環境を良くしていくために必要な3つの要素
「営業部女子課」主宰 太田彩子女性営業を応援するコミュニティ「営業部女子課」主宰。早稲田大学法学部卒業後、リクルート『Hot Pepper』創刊期にメンバーとして携わり、営業として数々の社内表彰制度に表彰されたのちに起業。「女性営業の人材育成」や「女性の働き方」を専門とし、女性営業プロジェクトやダイバーシティプロジェクトの立上げ・企画支援を精力的に行う。「1億売るオンナの8つの習慣」(かんき出版)や「成功できる人の営業思考」(PHPビジネス新書)など
「営業部女子課」主宰の太田彩子です。
前回のコラムでは営業部女子課が、去る8月2日に大阪にて開催した「夏の女子会2015」において集まった生の声をお伝えしました。今回も引き続き、現場の声を交えながら、営業女子が豊かなライフ&ワークを実現するためには何が必要で、今何を実践するべきかを考えていきたいと思います。
今回のテーマ:未来のために今できること~「営業部女子課 夏の女子会」レポート
どう生きていきたいのか?
=「WILL 自分の意志」 をデザインする
女性の働き方は本当に多様です。結婚する・しないも選択できるし(未婚型継続就業、既婚型継続就業)、結婚後、復帰して育児と両立しながら働く(両立型継続就業)場合には、正社員か非正社員かも選べます。
その後、管理職になるか、一般社員のままか、スペシャリストを目指すのか。全国転勤型なのか、地域限定型社員になるのか。働き方だって、バリキャリ派なのか、そこそこ型なのか、ワークライフバランス型なのか――。
選択肢が多いからこそ迷うわけですが、大切なのは、自分の価値観や強みを知った上で「どう生きていきたいのか?」=WILL(自分の意思)をはっきり持つことです。これなくしては、先に進みません。
自然発生的にキャリアを積んで行けるのは、20代前半など、ガムシャラに目の前の仕事に追われている時期だけです。今後ライフイベントを経験しながら……という時期になれば、ある程度は自分の意思を持って、どう生きていきたいのかを考えてデザインしたいものです。日頃は考えたことがない、という方も多いでしょう。
しかし、このような機会を「自分の将来を考える」きっかけにすればよいかと思います。
“「今この瞬間」から生まれる「なりたい自分」”というテーマを掲げた今回の大阪女子会では、各自が事前に用意したビジュアリゼーションを通して、自らの目標や課題を改めて確認する姿が見受けられました。(詳しくは前回のコラムをご覧ください)
具体的なライフプランについても、「20代後半でチーフやミニリーダーを経験して、そのまま30代前半で育休に入って、復帰後しばらくは時短勤務などで慣らしつつ、また営業職に戻ってバリバリ成果を上げたい」など、さまざまな意見や質問が飛び交いました。若いうちにリーダーを経験しておくと、後に管理職に抜擢されることがあっても慌てることがありません。
また、営業職はコミュニケーション能力や顧客管理プロセスなど、ビジネスに必要なノウハウが培える業種のため、若いうちにしっかり営業職を経験した上で、人事や企画に異動するという展望を持つ方もいらっしゃいました。
高まる女性の意識と変わらぬ環境
この現状をどう変えていくか?
キャリアを拡げるための取り組みについても、「チャンスを拡げるためにビジネススクールの門を叩いた」「新聞や専門誌から得た情報で仮説をたてるトレーニングをしている」などの報告があり、互いに刺激を与え合う営業女性たちの姿を共有できた女子会となりました。
この営業部女子課の女子会は5年前から始まったものですが、この5年の間にワーキングマザーになる方が増えたり、管理職を目指す方が増えたり、営業女性自身の意識と活躍は年々高まっています。その一方で、彼女たちの置かれた労働環境は5年前とほとんど変わっていないという問題点も浮かび上がってきました。
その現状を少しずつでも変えていきたい――そんな想いの元、営業部女子課では女性向けのみならず、行政と組んで女性活躍を応援させていただいたり(先日、日本政府が主催した国際シンポジウムWAW!2015においても営業部女子課は『営業部WAW課!」を立上げて活動しました)、男性リーダー向けに営業女子活躍のアピールに取り組んでいます。
男性リーダー向けの取り組みとしては、今回の女子会では新たに「サポーター席」を設け、数名の男性リーダーや育成担当者に初めてご参加いただきました。その結果、「普段、営業女性が男性社会の中にいる窮屈さが分かりました」という感想をいただくなど、手応えも感じました。
利を主張するためには
「成果を上げる」ことが不可欠
私自身、営業女性の労働環境を変えていくためには、
(1)会社が本気でトップダウンして進める
(2)中間管理職がもっと理解、サポートする
(3)女性自身も結果を出す覚悟を持つ
という、3つの要素が不可欠だと考えています。
幸い、政府による女性活躍推進法も成立し、いよいよ社会も企業も女性の活躍を推進するための具体的なアクションに本気にならざるを得ない状況になっています。理解してくれない、と女性だけが嘆くのではなく、双方が理解し合い、歩み寄ることが重要です。
「育児と両立している女性部下を持つこと自体が初めて」という男性管理職を上司に持ったのであれば、こちらから「状況を教えてあげる」ことも必要でしょう。また、女性側も自ら情報を開示し、「なぜ朝8時の会議には子育て中のママは間に合わないのか?」、「なぜ長時間労働が続くと辞めたくなるのか?」など、状況や気持ちを伝えることで変わっていくことは、確実にあるはずです。
周囲の理解やサポートを得るためには、権利を主張するだけではいけません。仕事は「成果を上げてナンボ」。それを忘れて、ただ権利を主張していては、女の甘えと言われても仕方ありません。営業という世界は、成果という、男女がまったく平等なものさしで勝負できる、他にはない素晴らしい職業です。
だからこそ、営業職でずっと働き続けたいなら、女性自身もライフイベントを見据えて、限られた時間で生産性高く、結果を出す働き方にシフトしていくことが重要だと思うのです。
女性ならではの強みを生かせる
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構成/井口啓子 撮影/Yoshie Okano
公式HP:営業部女子課: http://eigyobu-joshika.jp/
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