異動で初めて営業に配属されたときに、途方に暮れないためには【連載:太田彩子】
「営業部女子課」主宰 太田彩子女性営業を応援するコミュニティ「営業部女子課」主宰。早稲田大学法学部卒業後、リクルート『Hot Pepper』創刊期にメンバーとして携わり、営業として数々の社内表彰制度に表彰されたのちに起業。「女性営業の人材育成」や「女性の働き方」を専門とし、女性営業プロジェクトやダイバーシティプロジェクトの立上げ・企画支援を精力的に行う。「1億売るオンナの8つの習慣」(かんき出版)や「成功できる人の営業思考」(PHPビジネス新書)など
「営業部女子課」主宰の太田彩子です。
近年、営業職に配属される女性が増えてきています。営業部女子課にも、「長年内勤として勤めていたけれど、4月の人事異動で初めて営業職に配置換えになった」という方が参加されるようになっています。まだまだ女性のロールモデルが少ない職種ですので、社会人としては10年選手のベテランの方でも、「営業とはどうすればよいのか分からない」と途方に暮れる方が多くいらっしゃることでしょう。
今回は、そのような方のために営業という仕事に取り組む際の心得についてお話したいと思います。
今回のテーマ:『異動で初めて営業に配属されたときに、途方に暮れないためには』
「ものを売る」から「相手に寄り添う」へ変化しつつある営業の在り方
営業職というと「ノルマがある」「残業が多い」など、とにかく大変そうというイメージを持たれる方も少なくないでしょう。確かに、以前は「足で稼げ」という体育会系の営業スタイルや、「発注をいただくまでは帰りません!」といったゴリゴリの営業スタイルも少なからず見受けられました。しかしながら、そういった営業の在り方は、いまや終焉を迎えつつあります。
ご存じのように、グローバル化・少子高齢化で企業を取り巻く環境は激変しており、顧客のニーズも多様化しています。それに伴い、営業の在り方も、単に「ものを売る」というよりは、顧客の立場に寄り添いながら「ないものを形にしていく」ような、新しいスタイルが求められています。
雇用する企業側としても、ただがむしゃらに長時間働くよりは、ワークライフバランスを考慮して効率よく結果を出すことを重視する方向へシフトしているため、営業職は昔ながらの「根性営業」ではなくなりつつあるのです。
営業は人生において大切なスキルを得るチャンス
そうは言っても、社会の動きに自分の感情をすぐに合わせられるものでもないですよね。なので、営業を自分の道だと決めて、ポジティブに取り組むためには、まず営業という仕事に対するとらえ方の転換が必要です。
私は営業という仕事の定義を「人の役に立つこと」だと考えています。もちろん、最終的なゴールは契約を取ることなのですが、契約自体が目標ではなく、まずお客さまの声にちゃんと耳を傾けて、課題を自分の中でしっかり整理しながら、確実な解決方法を提案することで、相手を喜ばせることができる。その対価として契約をいただくことが、私は営業だと考えています。
「売らなきゃいけない」という思考はストレスやプレッシャーを生み出しますが、「人の役に立つ仕事なんだ」という思考はポジティブなモチベーションを生み出します。
以前、営業部女子課で「営業職の魅力」についてアンケートを行ったことがあるのですが、上位2位は「ありがとうと感謝される」「多くの人に出会える」という回答でした。
営業は相手からの反応が明確に出る仕事ですし、お客さまから直接ありがとうと感謝されることは、人生において大きな喜びとなるはずです。
また、内勤スタッフの場合はほとんど社内の人と接することになりますが、営業は名刺ひとつでさまざまな企業の方に会うことができます。つまり、営業とは、人生において最も重要な「コミュニケーション」というものを実践で学ぶことのできる仕事と言えます。営業を通して人と出会うことは、常に何らかのチャンスに繋がり、自身のキャリアを積み重ねていく上で大きなメリットとなる仕事なのです。
その際、未経験であることは決してデメリットではありません。経験がないということは、何事にも先入観なく取り組めるという大きな武器になります。また「上司に一生懸命プレゼンしてそのプランが採用された」「就職活動して内定を取った」「意中の彼にアピールして付き合うことになった」など、誰かに何かをアピールして認められたという経験は、誰しもあると思います。
これを営業活動だと考えれば、そこで得たスキルが確実に生かせるはずです。また、人と関わってゆく上でも大切なスキルですので、営業職に就くことは、人生経験を積むための素晴らしいチャンスだと考えていただきたいですね。
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構成/井口啓子
公式HP:営業部女子課: http://eigyobu-joshika.jp/
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