『営業部はバカなのか』著者が教える、優れた営業リーダーになるために20代でやるべき2つのこと【ビジネス書3分リーディング】
会社の売上げアップのために必死になって最前線で働いている営業部。なのになぜ他部署から「頭が悪い」「汗臭い」というマイナスイメージを持たれてしまうのか? その疑問を解き明かし、会社の全組織が一体となって競争に打ち勝つ秘訣を伝授するのがこの『営業部はバカなのか』という新書だ。この本の著者であり、かつてリクルートなどで大組織を率いる営業リーダーとして辣腕を振るったフライシュマン・ヒラード・ジャパンの現役コンサルタント、北澤孝太郎氏に、将来優れた営業リーダーになるために20代がやるべきことを聞いた。
フライシュマン・ヒラード・ジャパン株式会社 バイスプレジデント 北澤孝太郎氏大学卒業後、リクルートに入社。約20年在籍した後、ソフトバンクテレコムへ移り執行役員などを経てフライシュマン・ヒラード・ジャパンに入社してコンサルタントに転身。現在、バイスプレジデントを務めている。組織変革、営業イノベーションなどが専門
北澤孝太郎氏が抜粋「どうしてもここだけは読んでもらいたい!」
「全ページ読んでほしい」という北澤氏にあえて挙げてもらったのは第2章。モノが売れる際のメカニズムを解き明かしている部分だ。
ものを買ってもらうのは、理由が必要です。他の商品に比べてすごく機能的であるとか、なんとなく素敵だとか、どうしても必要だとか、買う側が購入を決めるのには必ず理由があるはずです。この「買う理由」を顧客価値と呼びます。顧客価値は、経営学の中では、競合に比べて、その商品やサービスが選ばれる理由と意味付けされています。
では、その顧客価値は、どのようにして導き出されるのでしょうか。
3C分析という言葉をご存知の方もいらっしゃると思います。3CとはCustomer(顧客)とCompetitor(競合)とCompany(自社)の三つの頭文字です。顧客価値を把握するフレームとして広まりました。ターゲットにする顧客の購買意欲や能力(状態)と競合の商品・サービスの特性、シェア、経営資源から、その対象商品・サービスの購買要因を導き出し、自社商品・サービスとの比較をすることによって、顧客が自社の商品やサービスを選んでいる理由を推し量ることが可能になります。
~中略~
人が商品を買うときの心理的プロセスは、贅沢品の場合と必要品の場合とで異なり、概ね以下のように分かれると私は考えています。
・贅沢品=直感的浮揚-心理的割引分
・必要品=比較検討+自己記憶
~中略~
贅沢品を売るコツは、どのように「心理的割引」を上回る「直観的浮揚」を作るか、そのための道筋を作るかということだと言われています。売る側がそれを作れれば「贅沢品の売れる瞬間」を生み出させたことになります。
(『営業部はバカなのか』58pおよび65~68pより抜粋)
“セールス”だけをしてきた営業マンは優れたリーダーにはなれない
インパクトあるタイトルから浮かびあがるのは、社内の他部門からネガティブな印象を持たれている営業部の姿。
なぜ営業部はこのようなイメージを持たれてしまうのか。北澤氏は「“セールス”はできているが“営業”ができていない営業マンが多いことが原因のひとつ」と話す。
「そもそも“セールス”と“営業”は違うと私は考えます。ただ、目の前の数字を達成しさえすればいい、というように売ることのみを目標にして仕事をするのが“セールス”。なぜ売れたのか、なぜ売れなかったのか、を考え、マーケティング的な視点や、商品・サービスのイノベーションにまで思いを馳せながら仕事をするのが“営業”です。そして“優れた営業リーダー”になるためには、“真の営業力”とは何かを理解することが必要なのです」
北澤氏が考える“真の営業力”とは、打ち手のクリエイティビティーと商談マネジメントの両方の力を兼ね備えるということ。
「真の営業力を理解せず、“セールス”だけをやってきた営業マンが、やがて30代、40代になり、営業課長や部長など責任ある立場に就いたとき、リーダーとしてチームを率いられなくて苦労しているのを何度も目にしてきました」
打ち手のクリエイティビティーと商談マネジメントの両方を理解した営業リーダーになるには、20代の若手のうちから下記の2つを行うことが重要なのだと北澤氏は言う。
1、顧客価値を意識した“営業”活動
2、毎日の振り返り(仕事が終われば、自分へのご褒美とばかり、解放し過ぎない)
そしてそのヒントを盛り込んであるのが、今回抜粋した第2章なのだ。
「競合に比べて何で選ばれたいかを考えることは、他社といかに違った打ち手を取るか、クリエイティビティーの高い打ち手を考えることに繋がります。つまり、突き詰めて、なぜ売れるのかを考えて売る行動こそが“営業戦略”や“経営戦略”を立てられる力を養うことなのです」
そして、商談マネジメントの力を深く営業マン自身に根付かせるのが日々の振り返りなのだという。
「家へ帰ったら、必ずその日の自身の営業活動を振り返る。帰宅したからと言ってすぐに缶ビールの蓋を開け、プライベートモードに切り替えてはいけません。営業日報や上司への報告とは別に、今日の商談の運びは、どこがよくて、どこが悪かったか、よりよく売るためにはどうしたらいいのかなど、自分自身で戦略的な振り返りを毎日続けてください。そうすれば売れるプロセスが理解でき、10年後、早ければ5年後にでも、率いる営業マンを鍛えながら、“営業戦略や経営戦略も立てられる”優れた営業リーダーになれるはずです」
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取材・文/浦野孝嗣
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