『トップセールスには、なぜ「いいお客さま」が集まってくるのか?』著者が教える、“常に売れ続ける”営業マンになる方法【ビジネス書3分リーディング】
モノが売れないと言われる時代でも、会社で、業界で、常にトップクラスの売上を維持し続けているトップセールスたちは存在する。その秘訣を科学的・体系的に解き明かしたのが『トップセールスには、なぜ「いいお客さま」が集まってくるのか?』という1冊だ。著者の横田雅俊氏はかつて、外資系ISO審査機関で世界2,300人の トップセールスとして成果を挙げ、東京本社のマネージャーとして辣腕をふるった伝説の営業マンだ。営業力強化を実現する教育・研修事業を手掛けるカーナープロダクトの創業社長、横田氏に誰もがトップセールスになれる方法を聞いた。
株式会社カーナープロダクト 代表取締役 横田雅俊氏工学部にて設計を選考、設計士を経て外資系ISO審査機関で営業職を経験。世界2,300人の トップセールスとして成果を上げ、東京本社マネージャーに。約3年で国内有数の組織へと急成長させる。カーナープロダクトを設立し、実践重視の営業力強化を手がける教育・研修事業を展開している
横田雅俊氏が抜粋「どうしてもここだけは読んでもらいたい!」
横田氏が真っ先に挙げたのが、顧客を4つのタイプに分類した図。トップ営業マンへの第一歩は、ほとんどの営業マンが顧客と思っていない「第4の顧客」を理解するところから始まるということをまず伝えたいという。
そして、次に横田氏が挙げたのは、ニーズがない顧客にも「気づき」を与え、宿題を“もらう”のではなく“つくる”発想への転換が必要なことが記されている第1章の冒頭部分だ。
※画像をタップすると拡大します
(『トップセールスには、なぜ「いいお客さま」が集まってくるのか?』26~27pより抜粋)
気づきを与えるためには、「宿題」を持ち帰ることからはじめます。宿題は、どんな小さなことでもかまいません。「お客さまが聞きたい、知りたいと思っていること」を持ち帰ることができれば、次回のアポイントが取りやすくなります。
~中略~
しかし、ニーズのない相手から宿題をもらうことは、そう簡単ではありません。そこで私は「宿題をもらう」のではなく、「宿題をつくる」という発想が必要だと考えています。お客さまが面談中に発した小さいひと言を手がかりにして、
「○○の件はすぐに調べて、あらためてご連絡します」 「御社のホームページに掲載されていた○○について、次回お話しさせてください」
このように宿題をつくり、その回答=「気づき」を持っていくのです。
(『トップセールスには、なぜ「いいお客さま」が集まってくるのか?』49~50pより抜粋)
最後に横田氏が特にこれは読んでほしいと付け加えたのが、「客観比較法」を使った営業アプローチの方法。自社と競合他社との製品やサービスをカテゴリーに分け、項目を挙げて比較できるような資料を作る手法だ。
客観比較法では、「違いをわかりやすく伝える」ことに専念します。「うちの商品はここが優れているので、ぜひ当社で」と言ってしまうと、相手は売り込みの気配を感じ、距離を置こうとします。そうではなく、あくまでも事実として
「このような項目で比較をすると、御社に合うものを見つけやすいと思います」
と提案するのです。
(『トップセールスには、なぜ「いいお客さま」が集まってくるのか?』170pより抜粋)
「客観比較法」は横田氏が外資系ISO審査機関に在籍していた当時、実際に用いていた方法として紹介されている。著書の中では、競合他社が選ばれてしまうリスクをどう回避するかといったヒントも書かれている。
トップセールスは「感じの悪い人」を大切にしている
同書から引用した図でもわかるように、そもそも買う意志がなく関係性も弱い「第4の顧客」を、「御社の○○が買いたい」と言う「第1の顧客」へと変えていくのがトップセールスであると横田氏は解説する。
「9割の営業マンとトップセールスとの決定的な差は、この『第4の顧客』と良い関係を築き、実際に買ってもらっているかです。そもそも買う意志がなく、関係性も弱いわけですから簡単なことではありませんが、宿題をつくって次回のアポイントへつなげていく努力をすることがスタートラインですね」
これまでなら門前払いされるような顧客と、もう1回会うためのきっかけをつくること。そして次のアポイントがとれたら、それをチャンスととらえて万全の準備をすることが関係性を強めていけるかどうかを決めるという。
「営業にまったく関係ないことでも、相手が気になっていること、知りたいと思っていることを自分なりに調べて相手にとって役立つ情報の提供に徹すること。これをコツコツ積み重ねることで距離も縮まりますし、やがてセールスの話へつなげていけるチャンスを生むんですね」
モノが売れない時代は、強引な売り込みは敬遠される一方で、営業先も先細りになる。しかし「第4の顧客」を自分の味方にできるコツさえつかめば、全ての人たちが潜在顧客になる。顧客の裾野を広げていくのがトップセールスへの近道だと横田氏は言う。
さらにこのノウハウが身に付けば、ただ“売れる”だけでなく“売れ続ける”営業マンを目指すことができると話す。
「業界の動向やタイミングで、今はたまたま売れているという営業マンもいます。それを実力だと勘違いしてしまうと、やがて売れなくなります。真のトップセールスは景気が低迷しても、業界や商材が変わっても売り続けることができます。それを目指すには、常に自分を客観視してリセットできるかどうかにかかっています」
この本には、買う意志もなく、関係性も弱い顧客を優良顧客へと変えていくためのヒントが書かれている。しかし、どの業界でも、どんな商材でも売り続けていけるトップセールスになれるかどうかは自社の製品やサービス、そして自分自身を客観視できるかどうかにかかっているのだ。
横田氏が営業アプローチの手法として紹介した「客観比較法」だが、このノウハウを身に付けたら自然と、自分の営業マンとしての存在も客観視できるようになりそうだ。
一瞬の達成ではなく、「売れ続ける」営業マンを目指して行動を見直してみてはいかがだろうか。
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取材・文/浦野孝嗣
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