Ultimate Eco-friendly Car究極のエコカーを作ってみました
CO2排出量の削減、燃費の向上など、環境に優しいクルマ「エコカー」の注目度が高まっている。そんな中、クルマの最新技術を支えるサプライヤーで活躍するエンジニアはどのような思いで業務に就いているのか? また、彼らが思い描く究極のエコカーとは?
●Word/KOJI URANO.NAOJIRO ONUKI.YASUNORI NARAHARA(E-type)
●Photo/MAKOTO OSAWA.AKIHIKO SUZUKI.TAKASHI TOGAWA ●Illustration/MAKOTO TADA |
空調整備・熱機器編
ケーヒン
KEHIN
縄野智弘 氏 Tomohiro Nawano
開発本部
空調開発部 システム開発課
開発本部
空調開発部 システム開発課
大学院で熱伝達を専攻した後、1996年に建築関係の会社に就職。1998年に「“熱”に関する仕事がしたい」という理由からケーヒンに転職した。入社後は一貫して空調システムの開発に従事する
ハイブリッドエアコンで快適な車内と燃費低減を実現
オートバイ好きなどから、FCRなどの高性能キャブレターを作るメーカーとして名声を獲得しているケーヒン。しかし同社の活動は、キャブレターだけにとどまらない。二輪車用の燃料系システムのほかにも、四輪車に向けた燃料供給装置や補器類、電子制御ユニット、空調システムなどの先端製品も鋭意開発している。つまり、自動車に関する“総合システムメーカー”という名称が、現在のケーヒンには適しているのだ。開発本部に所属する縄野智弘氏は、そんな同社で自動車用空調システムの開発に勤しむエンジニアである。
「1998年にケーヒンに入って以来、ずっと空調システムの開発に従事。現在は主に熱交換器を担当しています」
エコカーを作る上で、空調システムの進化は欠かせない。高効率化によって燃料消費は低減し、ユニットのコンパクト化は車両全体の軽量化につながる。
「空調システムの開発で難しいのは、冷却の均一化や各パーツのコンパクト化およびレイアウト、そしてコストと生産効率のバランスですね。また機能性の付加など、背反する内容についての検討も必要です」
1. 最適なマッチング
最終的なアウトップを考えて、各パーツをマッチングさせる。乗員までの風の流れを考え、源流である熱交換器を、風の当て方、冷媒の流路を含め最適設定する2. 軽量化の追求
熱交換器は基本的に重いパーツ。これをいかにコンパクトで軽くするかにこだわりたい。また空調システム全体のシンプル化を達成することも目標3. 量産性の向上
単品として作りやすく、しかも搭載性にも優れる製品を開発する。この点では“ひとりよがり”の仕事は厳禁で、客先や製造、品質とのコミュニケーションが必要不可欠「基本的には各パーツの薄型軽量と、コンパクト化、システム自体の高効率化や細密化などの達成が開発のテーマです。そして、最も重要なのが“バランス取り”。各パーツのレイアウトや経路はもちろん、コストや生産効率も重視したバランスの良い空調システムを開発することが、私の仕事だと思っています」
ちなみに縄野氏が将来的に開発したいと考えているのは、“ハイブリッドエアコンディション”システムだという。
「定常はエアコン、過渡状態では電熱器や冷却器などの補助機構をダクト付近に配した空調システムを作りたいですね。補助機構によって、理想の室内温度をより迅速に、しかも燃料消費を低減しながら達成できます。またハイブリッドを完成させるには、制御アルゴリズムを活用することも重要になるでしょう」
日本の空調システムは精度や信頼性の面で世界トップの評価を受けているが、どうやら縄野氏にとっては「まだまだやることがたくさんある」ようである。