一昔前まで「それが電話? 使えるの?」などと言われていたことがまるで遠い昔のことのように、iPhoneを皆が知っている時代になりました。……今や携帯と言えばスマホ、スマホと言えばiPhoneの時代です。
iPhoneは知っているけれど……さて、iOS とは? iOSはiPhoneに内臓されているオペレーティングシステムを指します。故スティーブ・ジョブズ氏が開発に乗り出し携帯電話の歴史を変えた、Apple社が誇るスマートフォンを支えている根幹システムです。
Mac OS X を基調とし開発されたiOS
iOSのベースは、Mac OS Xをタッチパネル携帯機器に合わせ最適化し再構成したもので、UNIXの一種であるDarwinカーネル(Mac OS Xに採用されている、OSの基本機能を実装したソフトウェア)及びAPIにCocoa(Mac OS Xのアプリケーション環境)を採用しています。このため、構成がMac OS Xと共通する部分があるのですが、根幹技術の一つであるCarbon(Mac OS Xに搭載されているアプリケーションプログラミングインターフェース)やUNIX関連の機能の省き、マルチタッチパネル、加速度センサなど従来にはないユーザインターフェイスで注目を集めました。搭載デバイスは、iPhoneを筆頭に、iPad、iPad mini、iPod touch、Apple TV。iの名が付く製品はこのiOSによって動いているのです。
当初iPhone OSの名だったiOSは、その名の通りiPhoneと共にこの世に誕生
当初、iPhone OSという名前でスタートし、2010年6月リリースの4.0から現在の名称に変更されたiOSは、スタート時の名前が示す通りiPhoneと共に誕生しました。産みの親であるスティーブ・ジョブズ氏没後も誕生秘話がいくつもリリースされ、「iPhoneの誕生はApple社にとって大きな賭けだった」と言われるほどの、画期的ながらそれまでの常識ではありえない機能やデザインでデビューしたiPhone。そのiPhoneを支える根幹システムであるiOSはApple社を新たなステージへと進めたわけですが、それほどまでに当時、誕生までシビアな空気の中、日々挑戦が続けられたと伝えられています。
初期のiOSには不具合も見られ、何度も試作が繰り返されたことでもよく知られていますが、プレスリリースにおいても神経を使うジョブズ氏と一部の限られた役員にて、想像を絶するほどのリハーサルが繰り返されたことも明らかになりました。時代を変えるために生み出されたiPhoneを初めて世にお披露目するとあって、情報リークを防ぐため舞台裏に特別電子ラボを作り、全てのテストはそこにiPhone を収納して行われ、ジョブズ氏のために隣接控え室を用意。そして、これらすべてにセキュリティガードを24時間体制で立て、ID をチェックしジョブズ氏が持つマスターリストと照合しない限り入室が不可能という徹底的なガードで行われたほど。まさに『大きな賭け』。社運を賭けた挑戦だったのです。
誰もが気になるiOS、iPhoneの今後の展望とは
気になるのは、iOSの今後。中心デバイスはiPhoneなのでiPhoneの今後の展望とイコールになる部分が多いのですが、アナリストを始めとした専門家の間でも注目を集めています。Androidがついに売上世界トップとなったことでiPhoneに陰りが見えるか? とも言われていましたが、見方は軒並み『今後も伸びる』で一致。理由として、Apple社の各デバイス間の互換性の良さ、そしてなにより操作性の素晴らしさ及び持つだけで気分を高めてくれるある種のワクワク感。これは、Apple社製品が『他にはない』と指示されている専売特許の強力なブランド力です。
2017年には、ユーザー数が2012年の約2倍と目されているiOS。機能面により一層の改善をもたらしながら、『次はどんなものを出してくれるんだろう?』という、常に人々がApple社に期待する気持ちに応える製品を誕生させ続けるだろう予測に満ち溢れています。