機械学習(Machine Learning)とは、人工知能の開発における課題のひとつで、人間が生きていく中で自然に行っている「学習」という行為を、コンピュータにもさせようという試みです。
最近、将棋やチェスの対戦などで、人工知能が人間を打ち負かす場面が増えてきました。ロボットが成長する――こんなふうに書くとなんだかSFかマンガの世界の話のようです。
例えば、人工知能の権威、カーネギーメロン大学のトム・ミッチェル教授は著書『Machine Learning』の冒頭で、「機械学習の分野では、コンピュータプログラムが経験によって自動的に改善していくにはどうしたらいいかというテーマを掲げています」と書き、機械学習とは何かということについて定義しています。
「自動的に改善していくプログラム」こう書くと、すこし現実的な感じがするかもしれません。
「人工知能の父」アーサー・サミュエル
アメリカの計算機科学者であるアーサー・サミュエルは、「人工知能の父」として知られています。
彼が人工知能の概念を発表するまで、コンピュータになにか新しいことをさせるには、人間がいちいちプログラムをセットしなくてはいけませんでした。もし、自分にもわからないことをやろうとしたら、プログラミングは不可能になります。
アーサー・サミュエルは、チェッカーで自分に勝てるコンピュータを作るために、コンピュータに自身と何千回もチェッカーの対戦をさせ、パターンを学ばせることを思いつきました。これは実際に成功し、アメリカ・コネチカット州のチャンピオンを倒しています。
ネットサービスのあの機能も機械学習だった!
現在までに、機械学習でもっとも成功した例は、Googleだといわれています。Googleで検索すると、アルゴリズムにしたがって検索結果や広告が表示されますが、このアルゴリズムも機械学習のひとつです。
また、ネット通販のAmazonもひとつの例です。Amazonで買い物をすると、おすすめ商品が紹介されます。あまりに好みにはまりすぎていて気味が悪くなるときがあるほどですが、これも機械学習の成果です。また、Facebookで表示される友達候補も、同じようにアルゴリズムによって反映されているのです。
また、Googleが開発しているという自動運転車も、機械学習の応用です。人と木を見分けるのも、アルゴリズムで行っているのです。
人間の仕事がコンピュータに置き換わる? このように、機械学習が発達すれば、これまで人間にしかできないとされてきた複雑な作業も、コンピュータですばやく解決できるようになるかもしれません。
機械学習革命は、18世紀の産業革命以来の産業界における一大転換になる可能性を秘めています。