1 そもそも給与明細ってなんのためにあるの?
給与明細とは、その名の通り、給与の内訳の詳細を記したもの。
「給与」とひとくくりで言っても・基本給・役職給・残業手当・家族手当など内訳は人それぞれ。
滅多に人と見比べることがない給与明細だからこそ、正しい見方を身につけておきたいもの。
【給与明細で記されている項目】
給与明細の項目は大別すると「支給」「控除」「勤怠」の3つ
◆支給欄◆
・基本給:給与の基本部分。ボーナスの査定や退職金の計算などの時のベースになることが多い。
・役職手当:部長や課長など、各役職の責任の重さに応じて支給する手当。
・住宅手当:住宅に要する費用に応じて支給する手当。
・家族手当:配偶者、子供、親などを扶養している場合に支給する手当。
・通勤手当:通勤に要する費用に対し支給する手当。
・資格手当:企業ごとに定められた対象資格を持っている者に対し支給する手当。
上記は固定給といって、月々で変動しないもの。
・時間外労働手当:所定労働時間を超える労働に対し支給する手当(残業手当)。
・深夜労働手当:午後10時から午前5時に及ぶ労働に対し支給する手当。
・休日労働手当:指定されている休日の労働に対し支給する手当。
・皆勤手当:勤怠状況(欠勤・遅刻・早退など)に応じて支給する手当。条件や金額は会社によって様々。
上記は変動給といって、労働時間や勤務日数によって変化するため給料が変動するのはここの部分になる。
◆控除欄◆
・健康保険料:会社が提携している保険によって計算が異なる。会社員が加入している保険は大きく分けて政府系の全国健康保険協会または組合系の保険。組合系の保険の多くが政府系よりも保険料が低いため、保険の変更により手取り給与が増えるケースも。その他保養所のグレードが高かったり、健康検診のメニューが豊富だったり組合ごとに独自の特典を設けていることが多い。
※ちなみに、保険組合の赤字化により2010年は保険料の引き上げをしているところが多いよう。
・介護保険:40歳以上になると介護保険料を負担します。
・厚生年金:会社員は、年金制度の土台となる国民年金と、会社員のための上乗せ制度である厚生年金の二つに加入しています。この二つの年金制度の保険料が合わせて厚生年金という名前で天引きされています。
・厚生年金基金:企業年金と呼ばれる、企業独自で設定している年金制度。この制度がある会社員は、将来国民年金・厚生年金・企業年金の三つの年金制度から年金をもらうことができる!
・雇用保険:会社員の働く環境を守るための保険。失業した場合は失業保険がもらえます。
※負担した社会保険料は全額所得控除(所得税・住民税の課税対象外)となる。
・課税対象額:給与から所得税や住民税の対象とならない交通費や社会保険料を差し引いた金額です。
・所得税:毎月の給与から天引きされる所得税は概算。年末調整にて正式な納税額が計算され12月の給与で調整される。
・住民税:前年度の所得に対して課税された住民税が天引きされます。
※社会人2年目になったら手取りの給料が減った!というのはココが理由。
・財形貯蓄:給与天引きで貯金ができる制度。会社に財形貯蓄制度があれば利用できる。
◆勤怠欄◆
・勤務日数/出勤日数/欠勤日数/有給休暇
その他使用可能な残有給日数も給与明細でわかります。
◎知っ得!給与明細の豆知識
保険料の中でも人によって差が大きい健康保険料や年金は、4・5・6月の給与の平均額に保険料率を掛けて計算されます。しかもその見直しが反映されるのはその年の10月?。
つまり、4・5・6月の残業代を減らすことによって10月からの保険料が減る、ということも!さあみんな、今日からは極力残業せずに早めに帰ろう。
2 給与明細の疑問を解明!
【給与明細の疑問1】
雇用形態によって給与明細は異なるの?
基本的には給与明細の記載は同じ。
ただ、正社員・契約社員は、源泉徴収も年末調整も勤務先会社が行っているのに対して、派遣社員は、契約は「派遣会社」と締結しているため
年末調整の手続きをしなければならないのは、勤務先ではなく、派遣会社になります。
管理がしっかりされていないところだと、源泉徴収票が発行されなかったり、気がついたら年末調整の時期が終わっていて、所得税を多く取られてしまっていたなんてケースもあるよう。。。
【給与明細の疑問2】
年俸制って給与明細は発行されるの?年に1回ボーンと支払われるの?
“年俸”だからといって一年分が一度に支払われる訳ではありません。
賃金には『月に1回以上支払わなければならない』と言うルール(労働基準法24条2項より)があるので、実際には年俸額を分割した金額が毎月支払われます。12等分して毎月給与として支払う方法や、16分の1を給与として毎月支払い、年2回の賞与は16分の2支払うなど、会社ごとに様々なケースがある。
【給与明細の疑問3】
こんなに働いているのに残業代が出ない!おかしくない??
年俸制だから、裁量労働制だから、営業職だから・・・残業代が全くでないというのは間違い。ただし、上記のような職種や勤務形態の場合、「みなし時間」というものが企業ごとにあり、その一定時間を超えた分は残業手当として支払われます。
勤務時間を正しく申請し、給与明細をしっかり見て、疑問な点があれば会社の人に聞いてみよう。
3 給与明細から見るブラック企業『こんな会社は危険だベスト3』
第1位:給与明細をもらったことがありません
危険度ヘビー級!転職をおすすめします。
正確に言うと、実は給与明細発行の義務というのはありません。
た・だ・し、各種保険料を支払っている場合、明細書を発行しなければいけないため、それが給与明細ということ。
一般的な会社員であれば給与明細はマストでもらえるものです。
発行されない、もらったことがない。はかなりの危険信号!
人事や総務の人に相談してみても反応が怪しい、変わらない会社はちょっと会社としても危険かも。
第2位:残業手当の項目がありません。残業してるのに・・・
危険度ミドル級!「サービス残業おねがい」と給与明細越しに言われてますよ!
残業代を払いたくないという会社の意思の表れなのか、なんなのか。印刷ミスかと疑いたくなるほど。
給与明細の記載項目はルール化されてはいませんが残業手当は基本項目です。
「うっかり忘れてました」のレベルではないので問いただしましょう。
第3位:罰金だらけで給料明細がマイナスだったんですけど!
危険度ライトフライ級!「あんたが悪い!」ドンマイです♪
とまあ、そんなマンガみたいなことは実際にないと思うが会社の損失を罰金として徴収することは正確にはNG。
※ 減給処分はOK
罰金がきつ過ぎる?減給と銘打って給与下げすぎ?そんな疑問がわいたら総務や人事の人に相談してみよう。
いかがだろうか。知らないことが意外と多かったのでは?
今回の記事制作を通じて編集部も随分給与明細に詳しくなった。
今まで給与明細をもらったらどこにやったかわからなくなっていたが、年金を納めている唯一の証明のため
将来の年金未払い問題に備えて今月からしっかり保管したいと思う。
そして4・5・6はノー残業月間にします。ではまた来月の給料日にお会いしよう!