資格取得と年収アップの危険なからくり
企業の英語の公用語化が進む中、実務で全く英語を使っていないけれどニュースを聞いて「やっぱり英語を勉強しなきゃかな」と焦ったり、TOEICの本を買ってみたりする人も多いことだろう。
しかし、資格取得はお金も時間もかかるもの。
やみくもに流行りの資格を取得するのではなく「必要性」や「リターン」を意識してチャレンジする資格を選択するべきだ。
例えば高収入を見込める資格として有名な医師や弁護士。「年収アップしたいから」という理由だけで気軽にチャレンジしても早々受からないし、何より合格するために費やす学費や参考書代、受験費など、合格までには膨大な投資をしなければならないため、みんな簡単にはチャレンジしない。
そう、つまりは「投資」と「リターン」の関係をよく見極めることが資格選びの重要なポイント。
今回は資格の合格率&想定の投資金額と資格取得後に期待できる収入を比較して、本当に稼げる資格を厳選したのでぜひ最後までご覧いただきたい。
年収の裏側的「稼げる資格ベスト10」
「資格取得にかかる費用」「合格率」「資格取得後の想定年収」「転職で活かせるか」など、type独自の視点で“稼げる資格”をランキング!
ファイナンシャルプランナー
どんな資格?
個人的な資産運用や金融に関するアドバイスをする仕事。顧客から収入・支出や家族構成・資産などの情報提供を受け、それを元に顧客の現在から未来におけるライフプランニングに即した資金計画を提案する。略してFP(エフピー)とも呼ばれることがある。
FP資格は大きく3つに分けられる。1つは2002年4月、職業能力開発促進法に基づき生まれた国家資格の「ファイナンシャル・プランニング技能士」。ファイナンシャル・プランニング技能士資格は「ファイナンシャル・プランニング技能検定」の合格者に与えられる資格であり、1級技能士から3級技能士までの等級がある。その他、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(日本FP協会)が認定する民間資格としてAFP(国内資格)、CFP(国際資格)などがある。
合格率
学科⇒20?25%程度、実技⇒50%程度
資格取得にかかる費用
受験費 年3回 8,700円
その他通信講座代など
勉強期間
6ヶ月程度
期待できるリターン
保険の営業などは成果主義のため年収は300万円?1000万円以上など、触れ幅はかなり大きいが年収アップを期待できる職種。資格取得をすると企業によっては手当てが出ることもあるため、月給の底上げになること間違いなし!金融・不動産系の職業ではほぼ必須の資格のため、仕事の幅が広がるだろう。仕事にたとえ活かせなくても、日常の保険の見直しや住宅ローンの見方など、暮らしに役立つ資格としてお金に強くなるというメリットも得られるまさに一石何鳥ものコストパフォーマンスの高い資格!typeでは保険・不動産系の求人も多いため、typeユーザーとは相性もバッチリ!もっともオススメしたい資格だ。
社会保険労務士
どんな資格?
社会保険労務士は国家資格であり、人事労務、社会保険の専門家。労務管理や年金のコンサルタントや就業規則の作成を行う。身近な仕事であれば企業内の「労働保険」や「社会保険」の手続き書類を作成し、書類提出代行なども社会保険労務士の業務にあたる。社会保険や労働に関する法律や手続きはとても複雑で専門的な知識が求められるため、社会保険労務士の知識は多くの会社で評価される傾向が強い。
合格率
10%前後。出題難度は中程度だが、出題範囲が膨大かつ試験時間が約5時間と長丁場のため、準備と体力が求められる。
資格取得にかかる費用
受験費 年1回9,000円
通信講座やセミナー受講などで勉強する場合は、20?30万円程度が必要となる。
勉強期間
半年から1年程度
期待できるリターン
社労士には「開業」と「勤務」という2種類の働き方がある。
「勤務」社労士は、会社員として、自分の会社の人事・労務の仕事を行うため、給与も格段高くなったり低くなったりすることはない。つまり普通にサラリーマン。
「開業」社労士の報酬には顧問報酬と手続報酬、労務管理報酬などがあるが、このうち顧問報酬が報酬の多くを占める。企業と受託契約を結び、労働社会保険に関する事項の書類作成や、相談・指導などの業務を、月単位で継続してサポートする仕事のため、顧問契約会社が一社増えるごとに、毎月の固定収入が増えていく仕組み。よって本人の営業努力次第で年収には大きな開きがあり、年収250万円?年収3000万円まで差があるとも言われている。
年収1000万円プレーヤーも数多く存在しているのは確かだが、中心層は、年収500?600万円。資格を活かす個人の能力も必要だ。
中小企業診断士
どんな資格?
中小企業支援法に基づいて経済産業大臣が登録する国家資格。「経営の診断及び経営に関する助言」を業務としており、中小企業に対して経営課題に対応するための診断・助言を通じて、課題解決のためのコンサルティングを行う。日本では、中小企業の割合がとても高く、中小企業が日本経済を支えていると言っても過言ではない。従って、中小企業診断士のニーズは今後さらに高まっていくと考えられている。
合格率
極めて幅広い知識が求められる上、2回の試験を突破する必要がある。合格率は1次・2次共に10?20%程度とかなり低い。
資格取得にかかる費用
受験費 受験料は1次・2次共に14400円
その他に講座や学校で勉強する場合は、20?30万円程度の費用が必要となる。
勉強期間
1年以上
期待できるリターン
中小企業診断士の平均年収は800万から1000万円と高額。ニーズが高い資格のため、食いっぱぐれのない資格のひとつで、転職市場でも貴重な存在。公認会計士や税理士が併用して取得している資格でもあるため、発展性のある資格とも言える。
ただ、合格率はわずか10?20%、かつ講座費用なども相当かかるため本気で狙わないと赤字で終わってしまうので要注意。
4位・・・宅地建物取引士
5位・・・日商簿記
6位・・・公認会計士
7位・・・地方公務員上級・国家一般職
8位・・・税理士
9位・・・行政書士
10位・・・ビジネススキルアップ講座
堂々の1位はファイナンシャルプランナー。チャレンジしやすい難易度、試験回数の多さ、仕事や暮らしへのお役立ち度を考えると非常に費用対効果が期待できる資格。
4位の宅建もファイナンシャルプランナー同様、学生から社会人まで誰でも挑戦しやすい点と国家資格というブランディング、応募できる求人が広がるなど、比較的少ない投資で確実にリターンが見込める優良資格と言えるだろう。
難関資格でランクインしたのは社会保険労務士と中小企業診断士。
独学だけでの合格は難しい資格だが、公認会計士などと比べるとかかる費用や勉強期間が少なく、開業というキャリアパスも描ける言わば「食える資格」。ニーズも高まっている分野のため、チャレンジする価値は非常に高い。
合格までのタイムリミットはどれくらい?投資とリターンの分岐点を要チェック
年間受験者約70万人を超える大人気資格『日商簿記検定』
例えば簿記2級。標準学習期間は6ヵ月。受験費用は4,500円で合格率は30?40%。独学で取得する人もいますが、通信講座やスクールに通うと数万円程度はかかる。
合格率から見て3回に1回は合格すると設定すると、簿記は年3回チャンスがあるため1年間以内に合格できそうだ。かかる費用は4,500円×3回=13,500円。通信講座に通い、数万円を投資したとすると10万円以内には収まるだろう。
では、投資した10万円以上をリターンとして期待できるのか。簿記2級を取得するとまず転職の際に、応募できる求人が増える。そして資格手当として月額1000円以上が出る企業がちらほら・・・。しかし、その程度。現在経理職についている人にとっては大幅な年収アップは見込めないだろう。
資格手当が仮に月額1000円とすると年間12,000円。投資分をペイするためには8年と4ヶ月以上は勤続しないと厳しいだろう。簿記2級を取得するなら若いうちがいいだろう。
人気が高い難関資格の王道『公認会計士』
せっかく資格を取ったのに、年収が上がらないなんてイヤだ!という人は公認会計士はどうだろうか。
いわずと知れた高収入・一生稼げる資格として有名な公認会計士。年収1000万円も普通に目指せる資格だが、取得までの道のりはとても困難だ。
標準学習期間は2年以上。受験料は19500円で問題集やセミナー(数千?数万円)、さらに専門学校等に通うと60?70万円ほどの費用が必要。合格率は15%前後とその他難関資格と比較して一見そこまで難しくなさそうだが、他の資格と比較しても中途半端な気持ちで受験する人が少なく、合格率以上に難易度は高い。働きながら取得することも難しい資格であり、試験は年に1回しかないため、そのチャンスを逃してしまうと膨大な時間と費用をまた費やすことになる。しかしながら一発合格が難しい資格のため複数回受験しても合格できず、諦めてしまう人も多い。
勉強期間中をもしフルタイムで働いていたらと考えると投資している金額は1000万円以上におよぶ場合もある。公認会計士の平均年収は800万円前後。50代前半男性の平均年収は670万円程度のため、50代前半の男性が仕事をやめて2年間かけて公認会計士を取得したとすると、投資金額は(想定収入670万円×2年=1340万円)+(受験費用約100万円)=約1500万円。公認会計士の平均年収800万円-50代前半男性の平均年収670万円=年間130万円の利益とすると、投資分をペイするためには52歳までに取得して65歳まで働かなければならない。
実際は2年で合格できたらかなり優秀な方であり、公認会計士になったとたん年収が上がるわけではないため、チャレンジするならば20代がベスト。ハイリスクハイリターンな資格に本気でチャレンジしてみるのもありかも!?