Q.最初に入った都市銀行を1年と数ヶ月で辞められていますね。この銀行は吸収されたりなどの問題はない銀行ですが、なぜ辞めるという決断を下されたのですか?
都市銀行を選んだ理由は「将来経営をやりたい」という思いがあったから。財務分析などで会社の経営がよくわかると考えたのです。仕事はカッコよく言うと、富裕層向けのアセットマネジメント業務。いい勉強になる仕事ではあったのですが、大きな壁にぶつかったのです。経営層というビジョンのスタートラインに立てるのは、銀行では10年以上も先。30歳くらいまでに経営実務の経験をするには、銀行では時間軸が合わない。それで銀行を辞めようと考えたのです。
1日の平均スケジュール
9:00 | 出社(クライアント先)メール処理など |
---|---|
10:00 | クライアント先の役員と打ち合わせ |
12:00 | ランチ |
13:00 | 今後の事業運営の計画書を作成 |
14:00 | 各部門の人と打ち合わせが続く |
16:00 | 会社に戻り、事務処理、報告書作成 |
21:00 | 社外の人と飲みに行く |
1:00 | 帰宅(タクシー) |
Q.次にITコンサルティングファームへ転職し、戦略コンサルタントになられたと。なぜ、この業界を選んだのですか?
30代前半で経営のプロという自分のビジョンを体現している人が多くいる会社を探しました。その頃は、経営管理能力とビジネスを作る力の両方を身につけたいと思っていました。その結果、コンサルティング会社がベストではないかと考えたのです。
Q.ITファームで戦略部隊に入るのは難関だと聞きますが、なぜ最初から配属されたのですか?
OJTのときにたまたま配属されたのが、銀行の新規事業戦略のプロジェクトだったんです。自分は銀行出身だったためアサインされたのです。まぁ、ラッキーでしたね。ここで自分は戦略のチームに行きたいとプロマネに強くアピールし、引っ張ってもらいました。他に、このファームでは電機メーカーの人事戦略も経験。いきなり「この会社のビジネスの鳥瞰図を書け!」とか言われて、何もわからず最初は苦労しまくりでしたよ(笑)
Q.約2年でネットベンチャーへ転身されますが、この転身にはどんな背景があったのですか?
この転職はけっこうイレギュラーなんです。キッカケは異業種交流会。起業をテーマにした交流会を運営していたのですが、その運営の中でウェブビジネスを手掛けるベンチャーの社長と仲良くなり、彼の会社の仕事を休日や夜に手伝うようになったんです。あるとき、社長に「ウチへ来る気はあるのか」と真剣に誘われて。「経営に直接関わらせて欲しい」と言うと、「好きやらせてあげる」と言ってくれたので転職したんです。この会社ではコンサルティングのビジネスを作り、推進しました。同時に人事設計から広報・IRなどの業務も担当していましたね。
Q.まさにベンチャーの経営幹部として大活躍。このままいけば幹部としてIPOという路線に繋がったのでは? でも、再びコンサルタントに転身をされたと。
たまたまNPO活動で知り合った友人が独立系の戦略ファームにいて、「ウチに来ないか?」と誘われて。事業戦略を立てるコンサルタントに戻るのはキャリア的には後退です。だからコンサルタントに戻るつもりはなかったのですが、経営が行き詰った企業の事業再生を手がける部門での話だったんです。大きな経営に直接携われる千載一遇のチャンスだと転身したのです。
Q.事業再生の仕事はどうですか? 苦労も多いのでは?
社長とダイレクトにやり取りし、事業部長の役回りといったところです。方針を提示し、立て直しの進捗を管理しています。苦労というか、毎日がエキサイティングですよ。0時までお客さんと激論を交わして、その後フォローするために、お客さんを連れて2時くらいまで飲んだりと(笑)。
Q.小泉さんのように転職で年収を上げていく秘訣って何ですか?
ずっと年収とキャリアの2軸で目標を持っています。キャリアとしては35歳までに事業会社の経営者(層)になること。年収は30歳までに1000万円。これはもう達成しましたので、次なる目標は年収5000万円。やはり仕事内容(キャリア)と年収の2軸で目標を持つことが重要です。年収だけだと、高収入職種ばかりに目を奪われる、仕事内容だけだと、自己満足に陥りやすくなるからです。また、キャリア目標についてはしっかりとシナリオを立てて行動すること。シナリオと行動力の両方がある人は成功しますね。起業に興味があったら交流会に行く。興味を持った社長がいたら、用がなくても会いに行く。そういう行動力が大切だと思うんです。
Q.今後の目標とは?
ライブドアになりたいとは思いませんが、将来経営層の人材になり、世の中の制度を変えていきたいですね。純粋にヘンなところを変えてみたい。たとえば、教育分野です。日本の教育はどう見ても問題だらけ。新しい学校を作るのもいいですね。他にも、働く女性への支援など。テーマは様々ですが、世の中の変化が必要なことに対して「仕方がない」で済まさず、採算が合えば事業として乗り出したいと思っています。
今でも休日は銀行時代のサッカーチームの練習に顔も出すという小泉氏。戦略コンサルタントというハードな仕事をしているが、休日は愛車の四駆に乗り、スキーや遠距離ドライブにいくという充実したオフを過ごしている。20代で事業再生コンサルタントになり、着実に経営の実務を積んでいるだけに、30代でその経験がどこまで大きく実を結ぶか楽しみだ。
持ち物チェック
ウォーターマンの万年筆。常にスーツのポケットに刺している
イタリア製のスケジュール帳。分厚いのは毎日2頁を使い日記を書いているため
会社の用事、その他の仕事、プライベートの用事を色分けして管理している
時計はロレックスのエクスプローラ。学生時代からの愛用品