キャリア Vol.254

お客さまから言われた忘れられない一言【法人営業編】

一般的に、現場担当者と決裁者が異なるケースが多いため、一回の取引で個人向け営業よりも多くの人と顔を合わせることになる法人営業。

企業同士の取引ゆえ、担当者と営業マンの人間関係よりもビジネス的な合理性が優先されることがほとんどだ。しかし、それをものともしないくらい絶大な顧客の信頼を得ることができれば、たとえ他社の商品より劣っていたとしても、契約してくれる可能性もある。個人向け営業に比べ、法人営業では取引の金額が大きくなりがち。そのため、自分の人間力で勝ち取った契約は喜びもひとしおだろう。

そんな法人向けの商材を扱っている営業マンたちから「お客さまから言われた忘れられない一言」を集めた。

ビジネスゆえの辛辣な言葉もあれば、損得勘定を越えた人と人とのつながりを実感し、心震わされた言葉もあるだろう。

ポジティブな言葉やネガティブな言葉、さまざまな一言を見て、今一度法人営業のやりがいを見直そう。

ビジネスですから、そこはシビアに

■「どこにおってもええから、今すぐ来い」
(その他メーカー/33歳)

得意先に納品する予定だった商品が一部抜けていたらしく、先方から電話が掛かってきてこの一言だけで切られました。行く前から泣かされるなと覚悟した一件です。

■「元々使っている製品の方が良いじゃねぇか!お前が勧めた製品が気に入らないから、今から島根に取りに来い!」
(その他メーカー/33歳)

実績欲しさに即決で製品のご購入を頂いたお客さまからの一言。攻略困難なお客さまだったので、社内からの評価も絶大でした。相手もそれなりに納得していたので、やや有頂天になっていたところに、約1週間後、このようなご連絡が来ました。やはり強引な営業は良くないですね。

■「できると言うまで帰さない」
(半導体、電気・電子部品メーカー/43歳)

お客さまから取引データの電子データ交換の要望があり、営業とシステムエンジニアとでお客さまに訪問したところ、会議室に軟禁されました。一体何考えてるのこの会社、と唖然としました。後の予定も入っており、またシステム構築の時間も足りないことから、すぐ無理なのは明白なのに……。

■「半額にしてよ、ハーフなんだし」
(商社、流通/23歳)

締め日のクロージングの商談の場で言われた一言。確かに私はハーフだけど、それとこれとは別なんですよ……。

法人営業でも熱い! 人と人とのつながり

■「必死に繕わなくていいんだよ。君が誠実なのはわかるから、営業マンとしてじゃなくて君自身として話してくれないか?」
(インターネット関連/29歳)

営業未経験で転職し、一番最初に訪問したお客さまに言われた一言。お客さまに安心してもらうために頑張ってデキる営業マンを繕っていたことがバレた上に、気を遣っていただいたお言葉。もともと営業はやりたくない仕事で自信がなかったんですが、「自分で決めた道だから」と今までの自分を捨ててでもやりきる覚悟をしていた矢先のことだったので、お客さまの前で感動して泣いてしまいました。この一言があったからこそ、今でも自信を持って提案できるのだと思っています。

■「こいつは俺の友達だよ」
(放送・出版・広告・マスコミ・印刷/33歳)

お客さまの元へ伺っていた時、同業他社の営業マンが訪問してきました。駐車場に社用車を停めていたので私がいる事を知った上での訪問ですが、お客さまにこの一言をおっしゃっていただき、その営業マンはすぐに退散しました。営業は物を売るだけじゃない。人と人の繋がりが大切なんだと改めて思いました。

■「君の会社のミスで始まった今回の我が社のピンチだったが君のおかげで救われたよ。まさに“ピンチはチャンス”を見せてもらったよ。ありがとう」
(商社、流通/35歳)

自社のミスで納期に間に合わなくなった商品をあの手この手でなんとか間に合わせた時。自社のミスで始まった事なのに言っていただいた「ありがとう」の言葉に目が潤んでしまった。

■「これだけ献身的な営業をしてもらったので、この企画は絶対通します!」
(放送・出版・広告・マスコミ・印刷/32歳)

営業担当を引き継ぎ、新しい関係を築きながら新規計画を半年かかって提案していたときに担当者さんが言ってくれた言葉です。その言葉の通り、提案の企画を上の方に通してくださり、さらに新たな案件まで指名発注まで頂きました。まだ新人2年目で試行錯誤な中、売上がどうこうより、担当さんが本当に頑張って上の方に紹介してくださったり、一緒に企画をやらせてもらえたことが何よりも大きい収穫です。今でもこの言葉は私にとって大切な宝物です。

■「あなたの仕事は1000円の仕事じゃないはず」
(通信サービス/46歳)

法人向け通信機器販売の営業。通常の商品単価5000円で取引を頂いてきた会社さん。メーカーの事情で1000円まで商品価格が下がったことを案内したところ、取引先の経営者の方から言われたのがこの一言。続けて「値下げはありがたいが、君の仕事の対価が5分の1になったのではないはずだから5000円で買わせてもらうよ」と言ってもらえました。お得意さまだったので、たまには安く購入してほしくご案内したのですが、自分の仕事を評価くださり、頑固に高く買ってくださいました。価格や商品、取引経緯、いろいろなもので得意先とは繋がっていますが、仕事で繋がっている、と感じた一件です。何よりも嬉しい場面でした。

■「おたくの会社を信頼して買う訳じゃない、あなたを信頼して買わせてもらうと思ってください」
(インターネット関連/26歳)

3年前に一度解約されたお客さま。今回は私が立ち上げた新規事業部の新しいサービスで訪問しました。訪問後、昔の解約案件と分かり、内心ドキドキしながらも真摯にお客さまとお話をして、とにかく自分をプレゼンしたら打ち解けて契約に至りました。苦手だと思うお客さまでも、きちんと真摯に向き合えば分かり合える事もあると学びました。

番外編

■「女の子紹介してあげよっか?うちに来ている○○ビールの子がいい子なのよ~」
(放送・出版・広告・マスコミ・印刷/25歳)

飲食店に飛び込みで訪問した際に女性店長に言われました。アポなしだったのでまずは仲良くなろうと、仕事の話ではなく雑談や身の丈話をして盛り上がった時に会話の流れでこの一言を言われました。急すぎて驚きましたが、飛び込みにも関わらず、女性を紹介してくれるまで仲良くなれたんだ、と思うとうれしい気持ちになりました。ちなみにその女性とは、その後お付き合いすることになりました。

【調査概要】
●調査方法:『@type』SNSフォロワーおよび『@type』会員のうち、営業関連職従事者へのWebアンケート
●調査時期:2016年1月19日~2月15日
●有効回答数:155名

文/佐藤健太(編集部)


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