スキルアップ Vol.384

伝える技術に必要な“理論組み立て力”の鍛え方

売れる技術は、トップセールスに学べ!
西野浩輝の営業塾
どうすれば、売れるようになるんだろう――営業マンなら、誰しもが立ちはだかる壁である。自身のスキルに悩んだのなら、「トップ営業マンから学ぶ」のもひとつの手。そこで本連載では、自身も過去にはリクルートのトップ営業としてMVP受賞、そしてこれまで5万人以上のビジネスパーソンに向けて企業研修を行ってきたマーキュリッチ代表・西野浩輝氏が、営業活動に役立つノウハウを伝授する!
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マーキュリッチ株式会社 代表取締役 チーフ講師 西野 浩輝/にしの ひろき米テンプル大学Executive MBA(経営学修士)。新卒で入社したリクルートでは、部門初のMVPに2度輝くなどトップ営業として活躍。その後、世界最大の教育コンサルティング企業にヘッドハンティングされ、4年半トップ営業であり続けた。2003年にマーキュリッチを創業し、10数年に渡って50,000人近いビジネスパーソンを指導している。営業の専門家として、All Aboutで人気連載を執筆中。著者には『仕事ができる人の5日で身につく『伝える技術」改訂版―ビジネスで成功するプレゼンテーションの奥義』『5分で売れる! 営業ノウハウ 凡人営業の壁を破る「濃い時間」活用術』などがある

こんにちは、西野浩輝です。

本日のテーマは、「話す力・伝える力の鍛え方」です。

そもそも、なぜ伝わらないのか?
その要因の多くは、“論理構成力”が欠けているからです。

では、論理構成力を高めるにはどうすればいいのでしょうか。

言語化力の前に、論理の組み立ての力を養う

企業へのロジカルプレゼン研修の場で、受講生からよく出る質問の一つにこんなものがあります。

「私は、自分が頭の中でイメージしていることを、言葉に変換するのが苦手で困っています。適切な言葉が出てこないんです。どうすれば言語化力を高めることができるのでしょうか?」

これに対して、私はいつも以下のように答えています。

「言語化力を高めることも大事ですが、まずは論理を組み立て、筋道に沿ってわかりやすく伝える力を鍛えることの方が先決ですよ」

つまり私は、人に話がうまく伝わらない一番の理由は、「言語化力の弱さ」ではなく、「筋道を立ててわかりやすく伝える力の弱さ」にあると考えているのです。

話がわかりにくい人は、論理が飛躍していたり、話の前後関係が不明瞭だったり、その結論に至った理由がよくわからなかったりするものです。

逆に言えば、論理をしっかりと組み立てて、結論に至った理由を筋道を立てて話すことさえできていれば、適切な言葉が少しぐらいうまく出てこなくても、相手に伝わるものなのです。

論理さえ通っていれば、自分が言いたいことを、「つまり●●ということですね」というように、相手がうまく補ってくれることもあります。

筋道を立てて、わかりやすく伝える力の養い方

では「筋道を立ててわかりやすく伝える力」は、どうすれば鍛えられるのでしょうか。

言うまでもなく、普段からさまざまな場面において論理的に話すことを心がけることが大事になるのですが、それと同時にぜひ採り入れてほしいのが「書く」ことです。

自分の考えを相手に伝えるための手段には、「話す」ことと「書く」ことがありますが、「話す」ことの場合、少々論理が破綻していても、表情やしぐさ、トーンで何となく相手に伝えることが可能になります。

また質疑応答を通じて、もう一度相手に説明し直すというチャンスも残されています。ところが「書く」ことの場合、こちらが言いたいことをニュアンスで相手に何となく伝えるというのは不可能です。

論理の組み立てに、かなりの神経を使わなくてはいけません。だから書く訓練を継続的に続けていると「筋道を立ててわかりやすく伝える力」も自然と高まっていくのです。

ただし「書く」といっても、毎日の業務日報をただ漫然と工夫なく書いたとしてもスキルは高まりません。一般的な業務日報は1日の行動を羅列的に記録すれば事足りるので、論理の組み立てを必要としないからです。

業務日報をトレーニングの一部として組み込む

そこでオススメなのが、もう一歩踏み込んだ形で業務日報を書くようにしてみることです。

その日の業務の中で、失敗したことや成功したことをテーマとして取り上げ、「なぜ失敗(成功)したのか。次に活かすにはどうすればいいのか」を自分なりに分析し、書き出していくのです。

分析には論理的な思考が不可欠となりますから、文章も論理的に書かざるを得なくなるわけです。

管理職や人事教育の立場にある方で、「社員の伝える力を高めたい」と考えていらっしゃるようでしたら、ぜひ社員に業務日報の書き方に、一工夫を加えてみることを推奨いたします。

そしてさらに効果があるのは、社員が書いた業務日報に、上司がコメントを書く仕組みを採り入れることです。「上司が読んでいる」という意識が働くと、「わかりやすく書かなくてはいけない」という緊張感が生じます。

いいかげんな気持ちで書くわけにはいかなくなります。また上司からコメントをもらうことで、「この書き方では、きちんと伝わらないんだな」とか「この部分は確かに意味が通じにくいな」といった気づきを得ることもできます。

「書く」ことによって論理的に思考する力、筋道を立てて伝える力を鍛えていけば、「話す」ときにも、論理的に筋道を立ててわかりやすく話すことができるようになりますよ。

※こちらの記事は『マーキュリッチ株式会社 西野浩輝のコラム』より一部再編集して転載しております>>元記事はこちら

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<a href='http://www.mercurich.com/' target='_blank'>マーキュリッチ株式会社</a>
創業13年。プレゼンテーション研修・プレゼンテーションコンサルティングを通じて、人材育成支援・戦略設計支援を行っています。

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