スキルアップ Vol.433

「残業大好き」な上司がいたらラッキー!? ビジネス心理学で紐解く、自分と合わない“昭和な上司”の攻略法

ビジネス心理学者・内藤誼人さんにQ&A!
社内営業のお作法
「人間関係を制するものは、営業を制す」。これはきっと、今も昔も変わらない鉄板ルールだ。社内に自分を応援してくれる「味方」がいればいるほど、売り上げも上がりやすくなる――。この連載では、ビジネス心理学者・内藤誼人さんが、『営業type』読者から寄せられた社内の人間関係にまつわるお悩みにズバリ回答! 上司、営アシ、同期、後輩……誰からも愛される営業マンになるための“ビジネス心理学的”コミュニケーション術とは!?
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有限会社アンギルド代表 立正大学心理学部客員教授<br />内藤誼人氏
有限会社アンギルド代表 立正大学心理学部客員教授
内藤誼人氏
心理学者。慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。
ビジネス心理学の第一人者として、実践的な心理学の応用に力を注いでいる。
著書に『「人たらし」のブラック心理術』(だいわ文庫)、『すごい!ホメ方―職場で、家庭で、恋愛で…相手を思うままに操る悪魔の心理術』 (廣済堂文庫)、『なぜ、マツコ・デラックスは言いたい放題でも人に好かれるのか? (毒舌を吐きながらも、会う人全員をファンにする心理テクニック)』(廣済堂出版)『ジョジョの奇妙な冒険が教えてくれる最強の心理戦略』(かんき出版)など

お悩み:“泥臭い仕事が好き”な上司に好かれたい

私の上司(40代・男性)は、部下が泥臭く努力する姿が大好きです。売り上げはそこそこでも、夜遅くまで残業している部下を可愛がります。私はもっと生産性高く働きたいのですが、そういう上司から好かれるにはどうすればいいのでしょうか?(25歳・法人営業)

それは、ものすごくラッキーでしたね!……というと、少しビックリされるかもしれませんね。

なぜならあなたの上司は「どうすれば高く評価してくれる」のかについて、明確なルールを持っているわけです。「泥臭く努力する姿」さえ見せていれば、上司からの評価が高くなってしまうのですから、こんなにラッキーなことはありません。

上司との付き合いで本当に大変なのは、何を考えているのかさっぱり分からないケース。どんな点を評価してくれるのか、何を考えているのかが分からない、という人と付き合う時の方が、よほど人間は疲れるのです。「私の上司が、そうじゃなくてラッキー♪」だと考えてください。どうでしょう、少しは心もラクになりませんか。

いちいち上司の顔色を伺って、自分のやっていることが正しいのかどうかが分からず、ビクビクして不安を感じなければならないよりは、夜遅くまで残業していさえすれば絶対に良い評価が受けられると分かっているほうが、精神的には疲労しないはず。

あなたは「生産性高く働きたい」と考えているようですが、上司に好かれたいのなら、まずは上司の価値観を自分のものとしなければなりません。

「定時に上がるのがスマート」
「残業なんて、仕事ができないヤツがすることだ」

という考え方を一度ぐっとこらえて、上司の価値観、すなわち「泥臭くやるのがカッコいい」という価値観を受け入れなくてはいけません。あるいは、受け入れる“素振り”を見せて、演技しなければなりません。これが上司と円満にやるコツです。

セントラル・ミシガン大学のテリー・ビーアが486名の部下とその上司162名について調べたところ、お互いに円満な関係を築くことができていたのは「部下が上司の価値観を受け入れている場合」でした。

お互いの価値観が合わず、しかも自分の価値観をグイグイ相手に押しつけ合っていると、人間関係はうまくいきません。おそらく相談者の方は、自分の価値観を曲げたくないタイプなので、上司とまともにぶつかり合い、疲れてしまっているのではないかと思われます。とりあえず上司は上司だからと割り切って、その価値観を少しだけ認めてあげてもいいのではないでしょうか。

上司の価値観のせいで一時的に残業をしたとしても、その中で生産性高く働いてより高い成果を上げれば、もっと高い評価が返ってくるはずです。

あまり自分の価値観にこだわりすぎると、人間関係はどんどん苦痛になってしまいます。もう少し他の人の価値観にも理解を示せるようになると、人間としての器が大きくなり、少々のことでは気にならなくなりますよ。

次回は、「“いちいち管理したがり”な上司に愛される社内営業のお作法」をお教えします。乞うご期待!

>>【連載バックナンバー】ビジネス心理学者・内藤誼人さんにQ&A!社内営業のお作法


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