長嶋茂雄と王貞治の逸話に学ぶ、打たれ弱い後輩の対処法【連載:社内営業のお作法】
内藤誼人氏
ビジネス心理学の第一人者として、実践的な心理学の応用に力を注いでいる。
著書に『「人たらし」のブラック心理術』(だいわ文庫)、『すごい!ホメ方―職場で、家庭で、恋愛で…相手を思うままに操る悪魔の心理術』 (廣済堂文庫)、(廣済堂出版)『ジョジョの奇妙な冒険が教えてくれる最強の心理戦略』(かんき出版)、『裏社会の危険な心理交渉術』(総合法令出版)など
【お悩み】叱るとすぐにしょげてしまう、打たれ弱い後輩
売上成績が奮わなかったときに叱るとすぐにしょげてしまって、会社に出てこなくなる後輩がいます。後輩の成長を考えると、悪いことも指摘しなければと思う反面、嫌われたくはないとも思います。打たれ弱い後輩に好かれるにはどうすればいいのでしょうか?(29歳/金融/法人営業)
まずは、打たれ弱い後輩のタイプを見極めることから始めてみましょう。
「外向性と内向性」という性格の分け方を聞いたことはありますか? 社交的で明るく、おしゃべりが大好きという人が外向性タイプで、一人作業を好むような大人しい人が内向性タイプです。
心理学の研究によると、「叱られることで発奮する」のは外向的なタイプ。逆に内向的なタイプは、叱られることを重く考えすぎてしまい、やる気が落ち、パフォーマンスも悪くなってしまうのです。
古い話で恐縮ですが、巨人の川上哲治元監督は、長嶋茂雄さんのことは叱り飛ばして、王貞治さんのことは決して叱らなかったといいます。長嶋さんは叱られると「よーし、次は頑張るぞ!」と発奮する外向的なタイプでしたが、王さんはちょっとでも叱られると深く思い悩んでしまう内向的なタイプだったからです。
犬の性格にも外向性と内向性があるらしく、ある種の犬は叱られるとすぐに行動を改めるのに、別の種類の犬では、叱られると怯えすぎて言うことを聞かなくなってしまうこともあるそうです。
さて、相談者の後輩はどんなタイプでしょうか。打たれ弱い、ということは性格的に内向的なタイプかもしれませんね。だとしたら、「叱って伸びる」ことはありません。
「君のこういうところがダメなんだ!」という指摘をされると、後輩はそのことで頭がいっぱいになります。そして「自分は何てダメな人間なんだ」という自己嫌悪にかられ、仕事が手に付かなくなってしまいます。叱って自分をダメにしてくる先輩や上司には、自然と苦手意識を持つでしょう。
そういう内向性タイプには「悪いことを指摘する」のではなく、具体的なアドバイスだけをしてあげれば十分です。
「次はこういう風に提案してみると、うまくいくと思うよ」
「クロージングがうまくいかないなら、他にはこういうやり方があるよ」
そういった具体的にすぐ実践できるアドバイスだけに留めれば、内向的なタイプは勝手に成長してくれます。また、そういうアドバイスをしてくれる先輩のことを好きになるでしょう。
悪い指摘はできるだけ少なくするというか、むしろゼロにするくらいの方がいいかもしれません。「少しずつ伸びてるよ」、「このままいけば大丈夫だよ」という勇気付けと励ましだけを意識していきましょう。
次回は、「お局先輩に愛される社内営業のお作法」をお教えします。乞うご期待!
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