「そのスーツ、営業にはちょっとハデじゃない?」 服装にうるさいお局さまの対処法【ビジネス心理学者・内藤誼人のQ&A!社内営業のお作法】
内藤誼人氏
ビジネス心理学の第一人者として、実践的な心理学の応用に力を注いでいる。
著書に『「人たらし」のブラック心理術』(だいわ文庫)、『すごい!ホメ方―職場で、家庭で、恋愛で…相手を思うままに操る悪魔の心理術』 (廣済堂文庫)、(廣済堂出版)『ジョジョの奇妙な冒険が教えてくれる最強の心理戦略』(かんき出版)、『裏社会の危険な心理交渉術』(総合法令出版)など
【お悩み】ファッションに口うるさいお局様
Q:後輩の服装やメイクに対して、口うるさく指摘を入れてくる40代の“お局さま”な先輩にうんざりしています。私も指摘を受けることがありますが、自分としては営業活動に差し支えない程度のファッションだと思っています。口うるさいお局女性を味方にできる方法ってありますか?(24歳/Webサービス/法人営業)
「自分では営業活動に問題ないファッションだと思っています」という思い込み。この点が、すでに危険な匂いがぷんぷんしています。
実際にあなたは、先輩に指摘されているのですよね。だとしたら、すでに「問題あり」だと考えるべきなのではないでしょうか。「問題ない」のなら、指摘されたりしないものです。もしかしたら、そのお局さまは言い方が悪いだけで、お客さまにも同じことを思われているかもしれませんよ。
私たちは自分のこととなると、ものすごく都合のいいモノの見方をしてしまうもの。これを心理学では、「平均以上効果」と呼んでいます。
オハイオ州立大学のマーク・アリックの実験では、多くの人が自分のことを、人並み以上に「知的で、正直で、ファッションセンスがあって、協力的で、信頼できる人間」だと思い込むことが明らかにされました。アリックは全部で26の特性について調べたのですが、なんと23の特性で、「私は平均以上」と答える人が多かったのです。
ちなみに、「平均以上効果」が見られなかったのは、攻撃的であること、芸術的であること、音楽的であること、の3つだけでした。残りについては、ほとんどの人が自分に都合よく解釈していたのです。自分に甘く、「人よりも良い」と思い込んでしまうのが人間なのです。
この平均以上効果理論を踏まえて、改めて考えてみましょう。相談者は、自分のファッションはそんなに派手でもないし、問題ないと思っているようですけど、果たして本当にそうだといえますか? 先輩にわざわざ指摘されるくらいなんですから、私にはきっと営業活動に差支えがあるのだろう、と思えてなりません。ひょっとして私の勘違いであれば、申し訳ないのですが……。
さて、ではそんな先輩(もしかしたら本当に善意で注意しているだけかもしれないので、お局さまというのも少し気が引けますが……)がどうすれば気に入ってくれるのか、というのは簡単なことです。仕事と割り切って、ファッションを「自分で選ぶ」のを、少しだけやめるんですよ。
具体的には「私だと洋服のセレクトが間違えそうなので、一緒に買い物に付き合ってもらえませんか?」、「この雑誌の中だと、どれが良いと思いますか?」と聞いてみるのです。
その先輩が選んだ服をそのまま買ってきて仕事で着ていれば、口うるさく言われなくなりますよ。何しろ、その先輩が選んでくれたんですからね。自分が選んだものに、文句がつけられるわけがありません。
たった一着だけでもいいので、そのような姿勢を見せていれば少しずつ親しくなれるでしょうし、ファッションについて口うるさく文句を言われなくなるでしょう。ぜひお試しください。
次回は、「ジェネレーションギャップに敏感な先輩に愛される、社内営業のお作法」をお教えします。乞うご期待!
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