年収400万円でも気付けば借金地獄…… “フツーの27歳銀行マン”がハマった甘い罠【FP監修:マネーの失敗学】
マネーコンサルタント/(株)Money&You代表取締役 頼藤 太希さん慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に(株)Money&Youを創業し、現職へ。女性向けお金の総合相談サイト「FP Cafe」、女性向けマネーメディア「Mocha」などを運営。マネーに関するコラム執筆、書籍の執筆・監修、講演など日本人のマネーリテラシー向上に努めている。著書は「つみたてNISAでお金は勝手に増えていく!」(スタンダーズ)、「やってみたらこんなにおトク! 税制優遇のおいしいいただき方」(きんざい)など多数。日本証券アナリスト協会検定会員。ファイナンシャルプランナー(AFP)。
先日、マネーコンサルタント・頼藤太希さんの元へ相談にやってきたのは、27歳独身、銀行に勤める”フツーの会社員”A男さんだ。
27歳会社員、そろそろ彼女との将来も考え始めたい
【A男さんの情報】
・27歳独身、会社員
・職業:銀行員
・年収:400万円(年に2回ボーナス、ボーナス1回2か月分)
・貯蓄:普通預金に20万円
・都内で一人暮らし
・気付けばお金がなく、なかなか貯蓄ができない
清潔感のある服装で登場した、明るい雰囲気のA男さん。相談の内容は「気付けばお金がなく、なかなか貯蓄ができない」とのこと。
結婚の予定はまだありませんが、貯蓄に不安があり、お付き合いしている彼女との将来も見据えてお金の見直しをしたいということで相談に訪れました。
支払いを先送りできるカード払いを多用。行き着いた先は……
金融機関に勤めているA男さんの手取りは毎月20万円程度。都内で1人暮らしですが、会社からの家賃補助も少なく家計に余裕はない状況でした。
さっそくA男さんの支出を見せてもらったところ、お金が貯まらない原因は2つありました。
1つは、交際費や娯楽費の出費の割合が大きかったことです。最近の20代は、自動車離れ、持ち家離れ、ブランド離れなど「〇〇離れ」で支出を抑えている方が多い傾向ですが、逆にA男さんは交際費(飲み会やデートなど)、旅行費や趣味費などが収入の3~4割を占めていることが原因でした。
2つ目は、これらの出費も含め、支払いはほとんどカード払いにしていること。毎月の返済金額が多く、さらに返済の一部をリボ払いにしていることが原因でした。
カードの支払金額が毎月10万円を超えているいてため、手持ちが少ない時はカード払いに頼ってしまい、支払いを先送りにしている状況がいつも続いているという具合。そうなするとさらに支払いが厳しくなるため、「リボ払い」を多用しているとのことでした。
借金地獄への入り口! 「リボ払い」に頼ってはいけない理由
クレジットカードの返済方法の1つに「リボルビング払い」、通称「リボ払い」があります。
リボ払いを選ぶと、5000円、1万円など一定額を毎月支払いしていくことができます。定額支払いで返済負担が楽になるから良いのでは……と思いがちですが、リボ払いは利用残高の全体に年15%程度の金利手数料がかかる仕組み。元金はなかなか減らず、完済までの金利手数料が莫大になります。さらに、支払い終了時期がいつになるか分かりづらいという難点も。
例えば、借り入れ金額が50万円、毎月の返済金額を1万円とするリボ払い(元利定額方式)をした場合、年利15%で計算すると、手数料総額は約29万円、総返済額は79万円になります。ちなみに返済回数は79回……約6年半かけて返す計算です。
A男さんは、次から次へとリボ払いを多用していたので、返済総額は100万円、毎月の返済金額は5万円に膨らんでいました。
毎月の支出に加え、リボ払いの返済が月5万円あるのは、手取り20万円のA男さんにとっては厳しい状況です。
なお、利息がかからないカードの返済方法は、「1回払い」「2回払い」「ボーナス1回払い」の3つだけですので、覚えておくと良いでしょう。リボ払いは決して分割払いではなく、「雪だるま式に増える借金」という認識を持つことも大事です。
しくじりに学ぶ:貯金のためには「身の丈以上のお金を使わない」「リボ払いは利用しない」が鉄則
A男さんの“しくじり”は、自分の収入以上にお金を使っていたこと、そしてリボ払いを多用していつの間にか多額の借金を背負っていたことです。
まず、収入以上にお金を使ってしまう家計体質は絶対に変えなければなりません。予算を決めて、その予算内で生活を行うことを徹底すれば、貯蓄を取り崩したり、カード払いに頼ったりすることはありません。
A男さんの場合、収入以上にお金を使うのを防ぐために、カード払いを一旦止めてもらうことにしました。一番効き目があるのは、「カードを裁断」して使えないようにすること。カードが使えないとなれば、リボ払いで借金をさらに増やすことも避けられます。
人間は意志が弱い生き物。どうあがいても「お金を使えない」仕組みにしてしまうのが、一番の近道です。
また借金返済が完了するまでは、交際費や娯楽費を極力減らし、返済金額に充てるようにアドバイスしました。
借金返済後は、自然とお金が余る状態に変わる
例えば、借金を返すために、毎月3万円〜5万円を上乗せして返済していたとしましょう。この状態で生活をしていると、限りあるお金の中で支出をやりくりするので、倹約生活が自然と身に付きます。
ポジティブに考えるなら、借金返済後は毎月3万円〜5万円はお金が余る家計状態になっているはず。すかさずその金額を貯蓄金額に回すようにすればいいのです。
ただし、前述したように人間は意志が弱い生き物。借金が終わったから元の生活に戻すのではなく、収入から貯蓄分を取り分け、残りの金額で生活する仕組みをつくりましょう。
この貯蓄方法を「先取り貯蓄」と呼びますが、自動で先取り貯蓄を行う仕組みを活用すると効果的です。具体的には、勤務先に「財形制度」や「社内預金」があればこれらを活用し、もしなければ「自動定期預金」を活用しましょう。
今回は、クレジットカード払いが招いた“マネーのしくじり”をご紹介しましたが、クレジットカードは便利ですし、ポイントが貯まるなどお得な面を持ち合わせているのも事実です。A男さんの失敗を参考にして、「身の丈以上に使わない」「リボ払いを利用しない」ルールのもと、うまく活用してもらえればと思います。
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