キャリア Vol.562

20代前半で大手企業の肩書を捨てるのはリスクなのか? スタートアップに転職したU-25経営陣トークセッション

世の中に次から次へと新たなサービスが生まれる昨今。それに伴い、スタートアップと称される企業の数も増えている。キャリアの多様化が加速する時代に、「スタートアップで働く」という選択肢に可能性を感じる方も、不安を抱く方も、あるいは決断の手前で迷っている方もいるのではなかろうか。そこで、姉妹媒体『エンジニアtype』でレポートされたトークセッションイベント『Startup JOIN STORIES』の模様を通じて、スタートアップのリアルな姿を捉えていこう。

※本記事は、姉妹媒体『エンジニアtype』より一部編集して転載しています。元記事はこちら

【1】大企業とスタートアップ、働くならどっちが良い?

イベントには、かつてイラストコミュニケーションサービス『pixiv(ピクシブ)』を立ち上げてスタートアップ時代の先頭を走った片桐孝憲氏を筆頭に、今話題のスタートアップのボードメンバーを務める面々が集結。片桐氏以外の3名は、全員25歳以下、大手IT企業からの転職を経て今のキャリアがあるという共通点を持つ。

(写真左より)Flamingo Inc. 取締役COO牟田吉昌氏、 Graffity Inc. 取締役COO大野将希氏、 Lovegraph Inc. CPO吉村創一朗氏、 株式会社DMM.com 代表取締役片桐孝憲氏
(写真左より)Flamingo Inc. 取締役COO牟田吉昌氏、 Graffity Inc. 取締役COO大野将希氏、 Lovegraph Inc. CPO吉村創一朗氏、 株式会社DMM.com 代表取締役片桐孝憲氏

「大企業の仕事は分業型、スタートアップの仕事は0から100まですべて、といったイメージです。僕は以前LINEで働いていたのですが、当時の社員数は約1000名。その中の一人が持つ影響力と、社員数10人の組織の中の一人が持つ影響力って大きく違いますよね。

社長の姿を見ることなんて滅多にない会社や、経営戦略が一握りのボードメンバーによって決められるような会社が、大企業にはたくさんあります。一方で、スタートアップの場合は、CEOがすくそばにいるケースが大半です。CEOが『左に進もう』と言っても、『本当に左でいいんですか?』という問いを投げかけられる。会社がどうなるか、という戦略に自分の意見が反映されると考えると、スタートアップは魅力的だと思います」(吉村氏)

続けて、牟田吉昌氏は「自分自身がどのような問いに向き合いたいかが重要」と語った。

「例えば、『何千人ものキャリアを変えていきたい』という課題感を持っているのであれば、かつて僕が務めていたリクルートで働くのもありだと思います。ただ、大企業の場合は一部分にしか関われない可能性があるのも事実。スタートアップならば、自分たちが解決したいと思っている課題に全力で取り組むことができるんですよね」(牟田氏)

自らがやりたいと思える事業に、全力で挑めることがスタートアップの魅力であることが見えてきた。とはいえ、多様なプラットフォームと潤沢な予算を持つ大企業であれば、自身が熱中できる新事業を立ち上げるチャンスが巡ってくる可能性もあるだろう。その場合、基盤の安定した大企業の方が有利なのではないかとも思える。この疑問に対し、経営者としてスタートアップと大企業の両方を見てきた片桐氏は次のように語った。

「新事業に関して言うのであれば、スタートアップが持つ思いには敵わないものがあるように思います。社会に対して持っている課題感、課題との向き合い方、事業を押し進めていく根性などが、スタートアップは強い。『この事業で世界をこう変えたい』という思いの強さがあるからこそ、ユーザーがついてくるんだろうな、と」(片桐氏)

(写真左より)Flamingo Inc. 取締役COO牟田吉昌氏、 Graffity Inc. 取締役COO大野将希氏、 Lovegraph Inc. CPO吉村創一朗氏、 株式会社DMM.com 代表取締役片桐孝憲氏

さらに片桐氏は、リーダーシップ的な観点での大企業とスタートアップの違いについて説明した。

「大企業とスタートアップでは、リーダーシップのとり方も変わってくると思います。スタートアップの場合、異なる個性や能力を認め合った上で、全員で同じ目標を見据えて進んでいかなければならない。これからの時代は、よりスタートアップ的なリーダーシップが求められていくのではないかと思います」(片桐氏)

【2】自分に合ったスタートアップはどう見極める?

続く疑問は「自分らしく働けるスタートアップの見極め方」だろう。片桐氏は、数あるスタートアップの中から探し出すことの難しさに同意した上で言った。

「人との相性で見極める以外にないと思います。仕事で大切になってくるのは、結局のところ上司や同僚との相性ですよね。なので、経営者と直接会う機会を作って、話が合うな、と思えたらそれでいいのではないでしょうか」(片桐氏)

片桐氏の言葉通り、吉村氏や牟田氏は経営者の人柄やビジョンに惹かれてジョインを決めた過去を持つ。それぞれ、自身の経験を振り返った。

(写真左より)Flamingo Inc. 取締役COO牟田吉昌氏、 Graffity Inc. 取締役COO大野将希氏、 Lovegraph Inc. CPO吉村創一朗氏、 株式会社DMM.com 代表取締役片桐孝憲氏

「僕はサイエンスやビジネスについて考えるのが得意なタイプなのですが、Lovegraphの代表取締役の駒下はとてもアーティスティックな人間でして。ビジョンを描くのが上手くて、僕がどんなに頑張ったとしても、彼のような起業家にはなれないと感じました。彼が持つアーティスティックでビジョナリーな部分と、僕が持つビジネス的な視点を組み合わせたら、もっと新しい化学反応が起こると思ったのです」(吉村氏)

「僕がフラミンゴ創業者の金村と出会ったのは大学時代なのですが、当時から『日本に住む外国人の暮らしを変えたい』と言っていたんです。とてもロジカルに考えていて、でも、パッションもめちゃくちゃ持っていて。自分なら世界を変えられる、と信じながらひたむきな努力を重ねている同世代の親しい友人の姿に、不覚にも惚れました」(牟田氏)

【3】スタートアップで得られるリターンって何?

今でこそ注目のスタートアップで活躍している彼らだが、それぞれ前職は名だたる大企業だ。働く環境はもちろん、場合によっては待遇すらも大きく変わる転身にリスクは感じなかったのだろうか? イベント中盤、トークテーマは「スタートアップで働くことで得られるリターン」についてに発展した。

(写真左より)Flamingo Inc. 取締役COO牟田吉昌氏、 Graffity Inc. 取締役COO大野将希氏、 Lovegraph Inc. CPO吉村創一朗氏、 株式会社DMM.com 代表取締役片桐孝憲氏

「僕は、お金だけがリターンではないと思っています。そもそも今僕が持っている資産は時間だけなので、その時間をどこに投資して、自分がどんな経験をリターンとして得たいのか。20代の前半という時間をどこに投資すれば、自分の人生がよりプラスになるのかを考えます」(大野氏)

同じく、牟田氏もお金ではない価値について語った。

「確かに、大企業であれば数十億円の規模感で社会にアプローチできるだけの予算があると思います。ですが、戦略を練るのはエリート特殊部隊だけかもしれない。現場のメンバーたちは、彼らの指示に従って銃を撃つことしかできなかったりすることもあります。なぜ今銃を撃つ必要があるのかもわからないまま。だったら、規模感は違えど、自分の手で生み出した事業が世の中に認められて、利益が上がっていく方がわくわくしますよね」(牟田氏)

「お金を持っているだけでは幸せにはなれない時代になったということですよね。ただの金持ちになるよりも、自分は何を考えてどんなことをやっているのかを語れるようになる方が価値が高いのだと思います」(片桐氏)

そう頷いた片桐氏は、スタートアップの魅力の一つとして「自らの実績を出しやすい」という特徴を挙げた。

「ピクシブにいた頃、学生向けの説明会などで『もっとこうした方が良いと思います』という意見をもらうことがよくありましたが、『じゃあ君がウチに来てやってよ』と言っていました。スタートアップには、会社に培われた経験やノウハウがないので、一人一人の気づきで事業が成長していくのです」(片桐氏)

【4】スタートアップで働く今、思っていること

最後は、登壇者たちがビジネスに対して抱いている心情や思いで締めくくりたい。

「昔から、生きているうちに一つは大きなことをしたいという思いがありました。さらに言うと、誰かと一緒にやるのであれば自分とは違う思考回路を持っている人とが良いと考えていたので、今のCEOと働いています。異なるタイプの人と協業することで新しいものが生まれていくと信じていますし、僕自身、常に挑戦していくというイズムは大切にしたいですね」(吉村氏)

「例えば、何かやりたい事があって、やるかやらないかで迷ったら、僕は必ずやる方を選ぶようにしています。迷う理由にもよりますが、後悔の価値でいうと、やらない後悔よりも、やった上での後悔のほうが価値が高いと思いますし、そこから学ぶことの方が重要だと思います。そして、難しい道と簡単な道があるのであれば、絶対に難しい道を挑戦します。結果がどうであれ、困難なことに挑戦したという結果を、僕の生きた証として残していきたいし、困難な道で結果を出していきたいです」(大野氏)

(写真左より)Flamingo Inc. 取締役COO牟田吉昌氏、 Graffity Inc. 取締役COO大野将希氏、 Lovegraph Inc. CPO吉村創一朗氏、 株式会社DMM.com 代表取締役片桐孝憲氏

「俳優の伊勢谷友介さんという方が、『挫折禁止』という座右の銘を持っているのですが、とても共感します。自分が決めたミッションに対して、目的を果たすまでは挫折をしてはいけない。手段はいくらでも変えてもいいから、自分で決めた目的を疑わずにい続けるべきだ、と。僕もそうありたいと思っています。

もう一つ。フラミンゴの代表に、『お前は人を見て仕事してるよね』と言われるんです。どうやったら僕の周りの人たちがハッピーになれるか、新しい気づきを得てもらえるか、と考えながら働いています。もしも永遠に生きられるとしたら、ずっとその人たちと働き、暮らしていくことになるわけですよね。だからこそ、人を裏切らずに誠実に向き合うことを大事にしたいと思っています」(牟田氏)

それぞれの思いに耳を傾けていた片桐氏は、改めて「スタートアップの強さ」について語った。

「一般的な会社で働いていたら、彼らのように心情や思いを問われることなんてほとんどないですよね。それが、スタートアップだと違う。若いうちから思っていることを言語化する機会が多いんですよ。

例えば、優秀な人材に自分の会社で働いてもらいたいとして、『これくらいの年収を出すから』と誘っても、きっと選んでもらえない。自分たちが社会とどう向き合い、どんな課題を解決していこうとしているのか。そういった部分が重要になるのです。言葉で伝えられるだけの思いを持っていることこそが、スタートアップの強みだと思います」(片桐氏)

今、あなたは自身の仕事に満足しているだろうか?もし満足していないのだとしたら、何が足りないのだろうか。本イベントで語られた、自身が信じた道をひた走ることの充実感に、少しでも心が動いたのであれば、今こそキャリアと向き合う時なのかもしれない。ぜひ彼らの言葉を、自分らしいキャリアを築くためのヒントにしていただきたい。

>>【平均年齢20代!若手が活躍できる企業特集】を見る

文/秋元祐香里(編集部)

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