スキルアップ Vol.747

20代が“ビジネス・フレームワーク”を習得すべき理由

効率的な仕事の“型”を学ぶ!
そろそろ気合や根性だけで乗り切る仕事は卒業! 一人前のビジネスパーソンとして、「ビジネスフレームワーク」を活用して仕事を進めてみては? そこで、グロービス経営大学院で講師を務める鳥潟幸志さんが、各種ビジネスフレームワークの概要と利用シーンを解説する!

社会に出て数年経つと、“元気”や“かわい気”だけでは仕事はできなくなってくる。営業先や取引先からデキるビジネスパーソンとして信頼を得るためにも、新たな知識やスキルを習得する必要があるだろう。

その第一歩として最適なのが、「ビジネス・フレームワーク(経営の基礎知識)」を応用できるようにすることだ。この連載では、「グロービス学び放題」の事業リーダーを務める鳥潟幸志さんに、各種ビジネスフレームワークの概要と利用シーンを解説してもらう。

第一回目となる本記事では、「ビジネス・フレームワーク」を20代のうちに学ぶ重要性について紹介しよう。

株式会社グロービス グロービス・デジタル・プラットフォーム 事業リーダー 鳥潟幸志 さん

株式会社グロービス
グロービス・デジタル・プラットフォーム 事業リーダー
鳥潟幸志 さん

埼玉大学教育学部卒業後、サイバーエージェントでコンサルタントとして、金融・旅行・サービス業のネットマーケティングを支援。その後、デジタルPR会社のビルコム株式会社を共同創業。取締役COOとして、新規事業開発、海外支社マネジメント、営業、人事、オペレーション等、経営全般に10年間携わる。グロービス経営大学院経営研究科経営専攻修了、MBA取得後は、コンサルタントとして国内外での研修設計支援を行う。現在はEdtech推進部門において『グロービス学び放題』の事業リーダーを務める

ビジネス・フレームワークは「広くて・速くて・うまい」

そもそも、なぜ仕事において「ビジネス・フレームワーク」が必要だと言えるのだろうか。

「フレームワークとは、過去さまざまなビジネスを行ってきた人や、経営学の学者が築き上げた先人の知恵。ビジネスがうまくいくための物事の捉え方や視点といったエッセンスが凝縮されています」

先人たちの英知が濃縮されたこの概念を、若手ビジネスパーソンがうまく使いこなせるようになれば、「広くて・速くて・うまい」が実現すると、鳥潟さんは太鼓判を押す。

【ビジネス・フレームワークを習得すべき理由1】視野が広がる

「まず、『広くて』とは、『視野が広がる』ということです。例えば『3C分析』というフレームワークを知っていれば、営業する際に競合や市場環境、営業先の顧客まで分析し、企業が持つ課題について仮説を立てて訪問することができます。すると、営業先での議論の広がりや質が全く異なってくるはずです」

【ビジネス・フレームワークを習得すべき理由2】効率よく仕事ができる

「次の『速くて』とは、無駄な作業をしなくて済むということ。20代であればお客さまや上司から、初めて経験する仕事を任される場面が多々あるでしょう。その時、何から考えていけばいいのか悩むことも多いはずです。悩んだあげく、必要のない資料を作ったり、時間ばかりかかってしまうことも。しかし、適切なフレームワークを知っておけば、要点をおさえて資料を作ったり、作業を進めることができます。迷いが少なくなるので、効率よく仕事を進めることができるでしょう」

【ビジネス・フレームワークを習得すべき理由3】コミュニケーションがスムーズになる

「最後の『うまい』についてですが、フレームワークを知っていれば、仕事相手と共通認識を持って建設的な議論、つまり“ウマイ話”ができるということ。上司や自分よりも経験値の高いお客さまと議論を進める際、こちら側に分からないことがあるとその場で立ち止まってしまいます。しかし自社のことや競合、顧客のことをきちんと把握し、コストや利益まで理解した上で話ができるようになると、余計な話をせずに本質的な議論に重点を置ける。コミュニケーションがスムーズに進むようになるので、相手も安心して、議論や商談を進めることができるでしょう」

全てのビジネスプロセスにはフレームワークがある。
ポイントを絞って習得していこう

鳥潟さんは、ビジネス・フレームワークはビジネスシーンのあらゆるプロセスに使うことができると話す。

「例えば、新聞やニュースの内容をインプットする時に『PEST分析』を意識したら、自分にとって有益な情報の取捨選択ができるようになる。新規開拓先のアプローチリストを作成する時は、マーケティングの『STP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)』というフレームワークを使えば、効率よくリストを作成することができます。 さらにアポイントが取れて訪問をする際は、『3C分析』を使って準備ができる。あらゆるビジネスプロセスでフレームワークを活用するだけで、仕事の仕方やアウトプットはまるで変わってくるのです」

ただ、世の中に存在するフレームワークの種類は200を超える。忙しい毎日の中では、一つ一つのフレームワークを丁寧に学ぶことは難しいかもしれない。

しかし鳥潟さんは、「それぞれのフレームワークを用いる意味や使い方のポイントを知っておくだけでも、ビジネスパーソンとしてのレベルアップは可能」だと話してくれた。

「フレームワークを学び、何となくでも使えるようになれば、目の前の仕事だけではなく会社経営全体のことも理解できるようになってくる。そうすれば目線を上げて日々の仕事に取り組むこともできるはずです」

「若手のうちからフレームワークを使えることは、周りとの差別化にも繋がるので、ぜひ20代の人にこそ活用できるようになってほしい」と話す鳥潟さん。次回以降は、各フレームワークについて、具体的な使い方や事例を紹介していく。

Information

鳥潟さんが事業リーダーを務める『グロービス学び放題

ビジネススクールで有名なグロービスが提供する定額制の動画学習サービス。2300本以上の動画から、すべてのビジネスパーソンに役立つ情報が初級・中級・実践レベルまで体系的に学習できる。料金は1ヵ月あたり1485円〜と、書籍一冊程度。動画1本3分程度からなので、隙間時間に手軽に学ぶことが可能

フレームワークを学びたい方は、こちらから▶︎▶︎▶︎グロービス学び放題

取材・文/石川 香苗子 撮影/大室倫子(編集部)


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