“ロジカルなヒアリング”の秘訣は【問題解決4つのステップ】にあり!営業マンが覚えておくべきフレームワーク
営業活動では、顧客の課題を明らかにする「ヒアリング」が欠かせない。しかしいざ商談に入ると、焦って自分の話ばかりしてしまったり、情報をやみくもにもらって肝心な話が聞けていなかったり……というケースも。
もっとロジカルにヒアリングできるようになるための“型(フレームワーク)”はあるのだろうか? グロービスの鳥潟幸志さんに聞いてみた!
株式会社グロービス グロービス・デジタル・プラットフォーム 事業リーダー 鳥潟幸志 さん埼玉大学教育学部卒業後、サイバーエージェントでコンサルタントとして、金融・旅行・サービス業のネットマーケティングを支援。その後、デジタルPR会社のビルコム株式会社を共同創業。取締役COOとして、新規事業開発、海外支社マネジメント、営業、人事、オペレーション等、経営全般に10年間携わる。グロービス経営大学院経営研究科経営専攻修了、MBA取得後は、コンサルタントとして国内外での研修設計支援を行う。現在はEdtech推進部門において『グロービス学び放題』の事業リーダーを務める
「問題解決4つのステップ」概要
問題解決に関して、「What(何が問題か)→Where(どこに問題があるのか)→Why(なぜ問題が起きたか)→How(どう解決するか)」の順番で考えるフレームワーク。商談の際に相手のニーズをヒアリングし、整理するときに使うのが効果的。
クライアントに「HOW」を提案する前に
「What・Where・Why」を明らかにしよう
企業に訪問する時、いきなりパンフレットを出して「うちの商品は素晴らしいんです!」と話し始めても、当然ながら顧客は振り向いてくれない。常々言われることだが、改めて営業活動の肝は、クライアントへの「ヒアリング」なのだ。
「これは営業活動の基本ですが、商品の説明をする前に、顧客がどんな問題点を抱えているかを明確にする必要があります」(鳥潟さん)
そのとき使えるのが「問題解決4つのステップ」だ。
「このフレームワークに沿ってヒアリングを行えば、顧客が自社の売上をどう伸ばしたいのか、どの領域がネックだと感じているのかなど、『問題』を明確にすることができます。商談をする際に必要な情報を聞き漏らすことなく、整理された状態で、把握することができるのです」(鳥潟さん)
では、具体的にどのようなフレームワークなのか? 順序立てて説明しよう。
【ステップ1】<What>問題を明確化する
ヒアリングしていく上で、まずはじめに押さえたいのが「What(何が問題か)」の部分だ。
「顧客は今何が最も問題だととらえているのか、お互いの認識を合わせるプロセスです。このとき重要なのは、クライアントの『あるべき姿』と現状のギャップを『問題』と定義すること。例えば、10億の売上を『あるべき姿』として事業計画をしているのに、8億円で伸び悩んでいるとしたら、それは『あるべき姿』に対して2億円足りないので、それが『問題』となります」(鳥潟さん)
【ステップ2】<Where>考えられる原因を挙げる
次に考えるのは、「Where(どこに問題があるのか)」だ。
仮にステップ1で「想定よりもこの商品の売上が落ちている」ことが問題点だと明らかになったとする。それでもいきなり「では売上アップのためにこんな施策を行いましょう!」と提案しても、顧客は納得しづらい。
「商品やサービスの提案を焦る前に、しっかりと顧客が抱える問題の箇所を特定しなければなりません。例えば顧客の売上が上がらないという問題があったとき。どの領域が特に問題なのか、『商品カテゴリ別』『ユーザーの年齢属性別』『時間帯別』など売上が落ちている箇所をさまざまな角度から確認し、問題の核を探していきます」(鳥潟さん)
この売上を分解し問題の箇所を明らかにするプロセスでは、「漏れなく、ダブりなく」(=MECE)というフレームワークも効果的だと教えてくれた。
【ステップ3】<Why>なぜその問題が起こっているか、深掘りしていく
3つ目は「Why(なぜ問題が起きたか)」だ。ステップ1・2で明らかになった問題箇所について、深掘りしてヒアリングしていく。
「例えば競合からもっと良い商品が出たので自社の製品が売れなくなった、などの外部要因、あるいは採用が追いかずアフターサービスが手薄になり既存顧客が離れてしまった、といった内部要因など、なぜその問題が起きたのか、考えられる原因を紐解いてみるのです」(鳥潟さん)
【ステップ4】<How>自社商品でその課題をどう解決するのか
4つ目は、「How(どう解決するか)」だ。これまでの「なぜ・どこで問題が起こったのか」を把握して初めて、自社の商品やサービスを提案する段階にきたといえる。
「これまでの3つ、What、Where、Whyが明確になっていれば、不当な価格交渉をされたり、他社とのコンペになったとしても、改めて顧客と『抱えているその課題を解決できるのか』という本質的な議論へと立ち返ることができるはずです」(鳥潟さん)
競合の商品に搭載されている機能では、これまで洗い出してきた顧客の課題を解決できないのでは? そう気付ければ、情報を整理して、「この機能は当社の商品にしかありません」と顧客に提案し、商談を進めていくことができるのだ。
4つのステップは”やらされ仕事”をも減らせる
鳥潟さんによれば、営業活動以外にも「問題解決4つのステップ」が有効なシーンがあるという。それは「上司から仕事を振られたとき」なのだそう。
「例えば急に『資料を作っておいて』と言われたとき。上司は今、この資料を作る上でどんな課題を抱えていて、その課題の核となるのはどこで、なぜそこに要因があるのかが明確になれば、『もっとこういう資料にしましょう、こういう議事進行がいいんじゃないですか』など上司に進言できますし、自分も”やらされ仕事”を減らせます。しかも社内での評価も上がるので、一石三鳥だと言えますね」(鳥潟さん)
ただ言われたことをこなすために粛々と作業するのではなく、4つのステップを使って問題を明らかにしてみる。そうすることで「社内の何に問題があるのか」まで目を向けることができれば、一つ目線の高いビジネスパーソンになれそうだ。
鳥潟さんは「『問題解決のフレームワーク』を使えば、“ロジカルなヒアリングができ、必要な段階を踏んで商談を進められる営業マン”になれる」と言い切ってくれた。20’sはぜひ「問題解決4つのステップ」を効果的に使ってみてほしい。
取材・文/石川 香苗子 撮影/大室倫子(編集部)
Information
鳥潟さんが事業リーダーを務める『グロービス学び放題』
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