‟他部署に助けてもらえる人”って何が違うの? 社内調整をスムーズにする「バリューチェーン」3つのステップ
「クライアントから商品の仕様を変えてほしいと言われた」など、営業活動をしていると、自分だけでは解決できない問題に直面することもあるもの。企画の変更や仕様の書き換えが必要であれば、企画部やシステム部といった他部署への依頼は不可欠となる。
とはいえ、普段一緒に仕事をしていない他部署への依頼って、同じ会社の人でもなかなかハードルが高い……! どうすれば、20代の若手でもスムーズに社内調整ができるようになるのだろうか?
その型(フレームワーク)を教えてもらうべく、グロービスの鳥潟幸志さんに聞いてみた!
株式会社グロービス グロービス・デジタル・プラットフォーム 事業リーダー 鳥潟幸志 さん埼玉大学教育学部卒業後、サイバーエージェントでコンサルタントとして、金融・旅行・サービス業のネットマーケティングを支援。その後、デジタルPR会社のビルコム株式会社を共同創業。取締役COOとして、新規事業開発、海外支社マネジメント、営業、人事、オペレーション等、経営全般に10年間携わる。グロービス経営大学院経営研究科経営専攻修了、MBA取得後は、コンサルタントとして国内外での研修設計支援を行う。現在はEdtech推進部門において『グロービス学び放題』の事業リーダーを務める
本日のテーマ:「バリューチェーン」で社内調整をスムーズに!
<「バリューチェーン」とは>
自社が社会に提供しているバリュー(=価値)は、どのような流れで生まれているのかを把握するフレームワーク。企画・開発、マーケティング、製造、営業、販売、アフターフォローなど、自社が商品・サービスを提供するプロセスを分解して並べてみることで、各部署間がどのように連携し合っているのか明らかにする。
お互いの部署への理解が、スムーズな社内調整の第一歩
他部署への依頼や調整をお願いする際に必要となる「バリューチェーン」。このフレームワークを使うことで、社内のバリューがどのような流れで生まれているのかを理解し、各部署がどのようなゴールに向かって仕事をしているかを把握することができる。
「一つの会社の中にはさまざまな部署がありますが、日々働いていると、各部署間がどのように連携しているのか、自分の仕事が他の部署にどう影響を及ぼしているのか分かりにくいものです。特に、営業パーソンとして外回りをしていると、企画・開発部門などがどんな仕事をしているのか分かりづらいこともあるでしょう」
営業パーソンが、企画部門が開発した商品に「現場のことを全然分かっていない」と反発したり、逆に企画側が「営業部門が意図したクライアントにアプローチしてくれない」と嘆いたりと、お互いの部署を理解しきれていないケースは多いものだ。
「例えば商品について顧客から要望があって改良点を伝えたいと思っても、日頃あまり接点のない企画・開発部門には言いにくいもの。20代の若手であればなおさらですよね。実はそういうときにこそ、『バリューチェーン』のフレームワークは有効なんです」
バリューチェーンの3STEP
では実際に、バリューチェーンはどのようにして整理を進めるべきなのか。具体的には、以下3つのステップが重要だ。
1.組織図から、ビジネスの流れを整理する
商品・サービスを顧客のもとへ提供するために、例えばマーケティング部→企画・開発部→製造部→営業・販売部→アフターフォローのCS部がある、などと全体のビジネスの流れを整理。その際に、全体を統括する総務や経理などのバックオフィス部門は「支援部門」と定義する。
2.それぞれの組織にはどんな価値があるのか?
次に、各部署が提供している価値を理解する。「この組織は、顧客(場合によっては自分たちの組織)のどのような課題を解決しているのか?」を整理する。
3.それぞれの組織は何のために・どんな行動をしているのか?
2の価値提供のために、それぞれの組織がどんな目標をたて、何をやっているかを整理する。
3つを整理してみると、同じ会社にいながら部門ごとに全く異なるKPIやゴールを掲げて仕事をしていることがよく分かってくる。こうして、その部門の目的を整理した上で要望を伝えるのがいいと鳥潟さんは教えてくれた。
「例えば営業パーソンが企画・開発部門に要望や改善点を伝えるとき、彼らがどのようなゴールに向かって仕事をしているのか、自部署やその他の部署とどう接続しているのかが分かれば、相手の立場に立った伝え方ができるようになります。
それを営業目線で顧客の要望を伝えてしまうと、他部署からの反発を招いたり、『そんなこと実現できないよ』とはねつけられてしまう。あるいは、そもそも相談に行くべき部署は企画・開発部門ではなく、資材調達部門や設計部門だったということもあるかもしれない。そのためにも、社内の『バリューチェーン』を把握しておくことが大切なのです」
つまり他部署がどのように仕事をしているのか理解することができれば、営業部だけで解決できない問題が出てきたとき、該当する部署にスムーズに相談できるようになり、さらにポイントを押さえた連携が可能になるのだ。
自分がいる部署だけではなく、社内の横の繋がりを日々意識することができれば、困ったときに周りに助けてもらえる“一つ上”の人材になれるはず。20’sはぜひ『バリューチェーン』を効果的に使ってみてほしい。
取材・文/石川 香苗子 撮影/大室倫子(編集部)
Information
鳥潟さんが事業リーダーを務める『グロービス学び放題』
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