キャリア Vol.846

「転職先なんてたくさんある」時代だからこそ、20代は“エア転職活動”をしよう

専門家がトレンド指南!
数年前に“若手時代”を経験した上司のアドバイスって、もう古いかも? 20代が自分の望むキャリアを掴み取るために「イマ」何が必要なのか、最新事情に詳しいキャリア教育研究家・福山敦士さんに教えてもらおう!

20’s type読者の皆さん、はじめまして! キャリア教育研究家の福山敦士(ふくやまあつし)と申します。

この度、「イマの時代に、20代が自分らしく働くための考え方」をテーマにした連載を持たせていただくことになりました。

僕は経営者・キャリア教育研究家として活動していて、これまでに3000人以上から就職・転職相談を受けてきました。『新しい転職面接の教科書』(大和書房)『マンガでわかる入社2年目の教科書』(ぱる出版)などの本も出しています。

僕自身は、現在31歳で、20代までのキャリアを戦略的に築いてきたという自負があります。会社員をしたり経営者になったり、教育機関で教材開発や講師業もやってきました。

また、上場企業の人事本部長を務めた経験と、人材関連事業をやってきたこともあり、日々多くのビジネスパーソンからキャリアについての相談を受けています。

「会社の未来が見えない」「自分の30代以降のキャリアが想像できない」など、漠然とした不安を持つ20代は多いもの。そんな人たちには、時代の変化にうまく自分を合わせつつ、時代に流されない個性を発揮できる「自分」をつくることが大事だと伝えています。

強い者が生き残るのではなく、変化に適応してきた者が生き残る」というのは、この地球の歴史に裏打ちされた真実ですから。

今の時代だからこそ、会社名ではなく「個人の名前で社会をサバイブできる人」を応援したい

そこで、この連載では「今世の中でどんな変化が起きているのか」、「そんな時代に“自分らしく”働くために20代は何をすべきか」を具体的にお伝えしていきます。

「昔すごかったおじさん」ではなく、「今も現役で出世を目指すお兄さん」的立ち位置から、地に足のついたお話を展開していきたいと思っています(笑)

福山敦士

経営者/キャリア教育研究家 福山 敦士さん
学生時代は野球ひと筋。高校時代は甲子園ベスト8。慶應義塾大学環境情報学部卒業。新卒でサイバーエージェントに入社、グループ会社の起ち上げに参画。月100件アポを続け、セールス記録を更新する。25歳でグループ会社の取締役に就任。27歳で独立、人材紹介と職業・転職企業紹介を行う株式会社レーザービームを創業。28歳で東証一部上場企業である株式会社ショーケースに売却し、ショーケースでは取締役・人事部長を経験した。著書『新しい転職面接の教科書』など多数。累計10万部超。これまで3000人以上の就職・転職相談を実施。18年からは事業構想大学院・代ゼミにて講座開発を務める。20年から株式会社オープンハウス社長室。「学問をつくる」ことを人生の目標にしている
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世の中は「大転職時代」に突入している

今回は初回ということで、改めて「転職市場」の変化についてお話しましょう。

昨今、転職は容易なものになり、アルバイト先を変える感覚で仕事を探せる時代になりました。ネットを開けばたくさんの求人情報と出会えますし、年間で「20人に1人が転職」している計算となります(総務省統計局「労働力調査」)。

ではなぜこんなに転職する人が増えたのか。転職市場に関する大きな動きは3つあります。

1つ目は、求人数が上昇傾向にあること

今は、転職者にとっての売り手市場。平成30年12月の有効求人倍率は1.63倍、リーマンショック直後の2009年時は0.5倍(総務省統計局)でした。有効求人倍率とは、「求職1人あたり何件の求人があるか」を示すものです。

つまり有効求人倍率は「1」を上回っていれば、求職者に対して求人の方が多く、働き口が十分にある状況。逆に、有効求人倍率が「1」未満であれば、求職者に対して求人数が足りず、働き口が不足しているということです。

つまり、今は「求職者に対して求人が多い状態」で、それが年々上がってきているということです。(直近は、コロナウイルスの影響で今後の経済動向の先行きが見通しづらくなっていますが……)

2つ目は、求人情報の多様化です。

有効求人倍率が上昇するということは、同時に企業側の「人手不足」が起こり、採用に対するコストを増やさざるを得なくなるということ。

特に費用面で見ると、これまで主流だった求人サイトだと1名の採用決定に対して30~100万円、人材会社を介した場合は100~300万円程度は掛かることが多い印象です。この費用増は中小企業の経営にとってかなりの痛手。

そこで、より費用が少なくて済む「ダイレクトリクルーティング(企業が直接、求職者にアプローチする採用活動)」が台頭してきました。

企業は人材系のメディアへの露出、自社の採用オウンドメディア(SNS含む)の運用強化、YouTubeチャンネルの開設など、自社の情報を外部に発信する機会を増やしています。

これによって、転職者にとっては求人サイトのような定型フォーマットだけじゃない、多様な求人情報を見れるようになってきています。実際の職場の状況を見聞きしやすくなり、転職先を選びやすくなりました。求人がより一層魅力的に見えるように、企業もいろんな手法を使うようになったと言えます。

3つ目は、人材紹介事業所の増加

企業の採用コストが増えるというビジネスチャンスを狙い、HR関連事業に参入する会社が増えています。僕自身も、最初の起業はHR事業でした。

中でも「人材紹介事業所」が年々増えています。2011年時点では全国で1.6万事業所だったのに対し、今は約2.1万、約25%も増加しています。(東京労働局

その背景として、有料職業紹介免許の取得が以前に比べて容易になったこと、起業のハードルも下がり、資本金1円から会社を創業できるようになったので、在庫を抱えず低リスクで利益率の高いビジネスとして人気が高まったことが挙げられます。転職者を支援する会社が増えたことで、転職活動のハードルも一層下がっているといえるでしょう。

つまり3つをまとめると、
・求人数が増えた
・企業が発信する「魅力的な求人」も増えた
・さらに転職支援サービスも増えた

ことで、これまでにないほど「転職市場」が盛り上がっているのです。

20代がやりがちな「安易な転職」にご用心

転職市場が活発化し、魅力的な求人も増えている。サポートしてくれる人材紹介会社も多いことから、「隣の会社に転職した方が、給料が上がるのでは?」と考える人も増えています。

ただ、いくら良さそうな転職先がたくさんあるからといって、安易に行動してしまうのはもったいない。僕が見ていて、気を付けてみてほしいと思うことは大きく2つあります。

1.年収を上げることだけを目的に転職する

転職で年収を上げることだけを目的にしている人は、後のキャリアでボロが出ることが多いです。年収がいいからと転職すると、「年収の分だけ自分の実力も高いんだ」と思いこんで、その後努力を続けるのが難しくなってしまうからです。

たしかに、20代でそこまで年収が高くない時期に、転職サイトを見れば、目先の年収を上げることがいかに簡単なことなのか気付いてしまいます。

僕も経験があります。他社に行けば年収が100万円上がる事実を目の当たりにした時、心が動きました。しかし、今の職場で出せていない成果を、他の職場でできる理由がどこにあるんだ? と、自問自答して、転職しないことを決断しました。

実力が付く前に目先の給与に飛びついて、それが自分の実力だと勘違いしてしまうと、その後の伸びが鈍化してしまうからもったいない、というのが僕の考えです。

2.目の前の仕事が“嫌”だから辞めてしまう

「転職先なんてたくさんあるんだから、嫌なら辞めちゃおう」というのは、正しくもあり、逃げ癖がついてしまうことでもあります。

もちろん体力的、精神的に追い込まれている場合、逃げることを推奨します。ただし、成長にはある程度のストレスが不可欠であることも事実です。

ノンストレス、ノンプレッシャーで20代を過ごし、30歳を過ぎてから初めて追い込まれると、それはそれでつらいものです。そんな人を、僕はこれまでたくさん見てきました。良くも悪くも、世の中を知らないうちに、強いプレッシャーの環境下に身を置くことをおすすめします。

転職は「嫌だから辞める」のではなく、「新しい挑戦をする機会」だと思いましょう。

「私は何が提供できる?」 “エア転職”で自分に問いかけてみて

「魅力的に見える求人は増えた」けれど、「安易に転職するのはNG」な時代。ではそんなとき、20代はまず何をすべきか。僕の答えは2つです。

1.「エア転職活動」をしてみよう

「自分は何が提供できる人なのか」。これを自問自答するために、転職をするにしても、しないにしても、「エア転職活動」をしてみることを強くすすめます。興味がなくてもいいから企業に応募してみよう、ということではなく、転職活動に必要な「自己分析」をしてみようということです。

普段、会社内にいると、「自分は何が提供できる人なのか」という問いに向き合う機会は減る一方です。顔馴染みになり、暗黙知を共有していれば、あえて問われることはないですから。入社後、自己紹介をする機会が減ると、自問自答する機会は減ります。

初対面の人に自己紹介をする機会が、「自分は何が提供できる人なのか」を問い続ける最良の手段です。就活時代に行った自己分析のようなものです。

転職エージェントに相談する、実際に気になる企業のカジュアル面談を申し込んでみるなど、「転職活動」をすることによって強制的にそのアウトプットの機会は創り出せます。

そうすればおのずと「自分がは何が提供できる人なのか」、「どんなところを伸ばしていくべきか」が分かり、安易な転職も防ぐことができます。

2.「目の前の仕事で結果を出すこと」を考えよう

転職活動を続ければおそらく気付きます。転職はキャリア形成の一つの手段。それ自体に正解はありません。

キャリア形成とは「やりたいことを本気で叶えるための実力づくり」です。

実力がないと、本当にやりたいことをやれる自分にはなれません。本当に助けたい人、本当に大切にしたい仲間と付き合いを続けるためには、自分に実力と信頼と多少のお金が必要なのです。

中には「やりたいことが見つからない」という人もいますが、今の自分にできることが少ないから、できるレベルが高くないから、見つかってないだけかも知れません。

今、1000人の会社の社長になったらどうしますか? 100億円手にしたら何がしたいですか? きっと今よりかは「やりたいこと」が見つかる確率は高まるはずです。

だから「やりたいこと」がない20代ほど、目の前の仕事で結果を出すことが、実はキャリア形成の第一歩になるのです。

では実際にどうすれば目の前の仕事で成果を出すことができるのか。次回はその方法をお話させていただきます!

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