キャリア Vol.875

withコロナ時代を見据えた“複業準備”のススメ「パラレルキャリアは、今後の働き方に悩む20代にこそ取り入れてほしい」

20's type2周年特集
世の中全体が「働き方」を見直さざるを得ない状況だ。そこで「今後の自分はどう働くか」を改めて考えるべく、話題の働き方の実態を調査。“withコロナ”の新時代に備えて、自分が納得できる働き方を選び取る準備を始めよう

この数カ月で、ビジネスパーソンを取り巻く環境はガラッと変わった。外出自粛の影響で家にいる時間が増えたこともあり、「今後自分がどう働いていきたいのか」を改めて考える人も増えただろう。

とはいえ、経験の浅い20代にとって「自分に合った仕事や働き方」なんて、なかなかイメージしづらいもの。

そんな人に「自分に合った働き方やキャリアを探す手段として、パラレルキャリアをすすめたい」と話すのが、複業研究家の西村創一朗さんだ。

「パラレルキャリア」とは、本業を持ちながら別のキャリアを築く「複業」という考え方。なぜパラレルキャリアが「自分に合った働き方を探す手段」なのか、そしてそれはどうやって始めたらいいのか。

「withコロナ時代」を見据えて、いま準備できることを西村さんに聞いた。

株式会社HARES代表取締役 複業研究家 西村創一朗さん
株式会社HARES代表取締役 複業研究家 西村創一朗さん
「二兎を追って二兎を得られる世の中をつくる」ために日々奮闘するパラレルアントレプレナー(複業起業家)。2011年にリクルートキャリアに入社、会社員時代に株式会社HARESを設立。著書に『複業の教科書』 Twitter:@souta6954

20代こそ「複業」で自分の生き方を考えやすい

――なぜパラレルキャリアが20代にとって「自分に合った働き方やキャリアを探す手段」なのでしょうか?

パラレルキャリアを実践すると、いろいろな仕事を“お試し”できるので、自分に合うものを見つけやすいんです。

ベテランの複業だと、自分自身のスキルや経験を生かしてキャリアに厚みを持たせるとか、広げていくようなものが多いです。一方で若手の複業は、フットワーク軽く未経験の分野にも飛び込める。

複業であれば、挑戦と失敗を気軽に繰り返すことができます。一つの道しかないのに、起業や転職にチャレンジをするのって勇気が必要だし、失敗したらそれなりにダメージを負うことになる。でも複業の場合は、失敗したとしてももう一つの軸があるのでダメージが少ないんです。

――でも複業というと「ある程度スキルがある人が、どこかの団体や企業に複数所属している」みたいなイメージがあります。そもそも経験の浅い若手に仕はあるのでしょうか……。

いや、いまは組織に所属しなくても、本業とは違うキャリアを築く手段はいくらだってありますよ。クラウドソーシングでライター業を始めてみてもいいし、スキルシェアサービスに登録してカウンセラーになってもいい。複業仲介のサービスもたくさんありますしね。

あとは例えば仲間内で何か始めてみるとか、自分の得意なものでオンラインショップを出してみるとか、経験がなくてもスタートする方法はたくさんあります

――なるほど。企業に雇われる仕事に限ったことじゃないから、特にスキルや人脈などがなくても、パラレルキャリアをスタートさせることはできるんですね。

これができれば、いまの仕事を捨てることなく、しかしそれだけにしがみつくこともなく、スキルアップの機会を増やすことができます。だから、実績のあるなしに問わず、自分に合ったキャリア探しをするのに有効的な手段だと言えるんです。

――実際にこのタイミングで、パラレルキャリアに興味を持ち始める人は増えているのでしょうか?

僕はいくつかの複業系サービスでアドバイザーをやっているのですが、2月下旬頃からどのサービスも登録者数が軒並み増えていて、特に20〜30代の方が多いです。

在宅勤務になった人も増え、飲みに出歩くこともなくなった結果、家で自由に使える時間が増えたことが大きいのでしょう。

その上、このコロナ禍で自分の会社やクライアントの状況が変わっていくのを見て、「1つの会社に依存すること」の怖さを実感し、収入源やキャリアを分散させようとパラレルキャリアに興味関心を持つ人が増えたのだと思います。

1つの会社に依存することが怖い、というのは今に始まったことではありません。ただ、コロナ禍により、より身近なことだと自分ごと化する人が増えたのでしょうね。

――新型コロナウイルスの感染拡大はまだ終息の目処が立っていませんし、これからもパラレルキャリアに興味を持つ人は増えていきそうですね。

そうですね。僕は今回のコロナ禍をきっかけに、2020年代のキャリア観は「複業ありき」になっていくのではないかなと思います。

昔は銀行に預けるだけだった資産運用が、いまは分散投資するのが当たり前になったのと同じように、収入源や自分のキャリアを分散させながら、個人の“社会的資産価値”を高めていく動きが加速していくでしょう。

自分の「will・can」を書き出すことから始めよう

――パラレルキャリアで「何かやってみたいな」とは思うものの、その“何か”を見つけることが難しいですよね。複業になりうる“何か”はどのように見つければいいでしょうか?

まずは、できるかどうかはいったん置いておいて「制約なく自由に何でもやっていいよ」と言われたらどんなことがやりたいかを書き出してみましょう。これを「will(やりたい仕事)」と言います。

「好きなことなんてないから分からない」という人もいるかもしれませんが、この時は「○○業界に行きたい」など具体的な答えである必要はありません。「こういう生活がしたい」とか「こんな人たちと働いてみたい」という抽象的なものでも構わないのでまずは箇条書きしてみましょう。

その上で、仕事やプライベートを問わずこれまでやってきたことの中から、自分ができそうなことや役立ちそうなこと、即ち「can(できる仕事)」を考えてみる。これは営業でもいいし、会社の忘年会で余興ムービーを作った経験などでも構いません。

こうしてまずは「will」と「can」を見える化することで、どんな複業を始めるかの指針が見えてくると思います。

――まずは「できるかどうかは置いといて、やりたいこと」と「いまやれること」を整理して、方向性を定めると。

複業の指針を決めたら、それをもし事業で扱うとしたらどんな層にニーズがあるのか、その層に売り出すためには、どんな手法やサービスを使うのがいいのかをリサーチしてみましょう。

例えば「モノを生み出す仕事がしたい(will)×ムービーが作れる(can)」だとしたら、初心者向けの「動画編集の始め方」を資料にして『ココナラ』で500円で売れそうだとか、『ストアカ』で初心者向けのワークショップをするなら一人300円で5人は集められそうだとか。

ムービーの技術に自信がなければ、「営業スキル(can)」を使って誰か講師になってくれないか口説いてみる、仲間を集めて作品作りを始めるなど、やり方はいくらでも考えられます。

――自分でビジネスにするにはどうすればいいのか、まで考えるんですね……!

世の中に出回る多くの新商品は、まず企画をし、市場に出す前に試作品を作ります。そしてその試作品は、本当にニーズがあるのか、改良の余地がないかをマーケティングリサーチして、フィードバックを重ねた後で、β版や限定商品として売り出される。それが好調だったら、そこから大きくリリースされますよね。

それと同じように、まずは自分を商品化してみるんです。そして、友人や家族などに試してもらうなどしながら小さく始めていって、何度も改善を重ねる。それをひたすら繰り返すことが重要です。

――いきなり「自分を商品化」ですか!? スモールスタートだとしても「始めてひたすら続ける」がかなり難しい気が……。

もちろん大それたことじゃなくてもいいんですよ。例えば、学生時代に就活をめちゃくちゃ頑張った人の中には、後輩たちからエントリーシートの添削を頼まれる人もいますよね。

その経験をもとに「エントリーシートを添削する事業」をするとしたら「『ココナラ』にノウハウを出品しよう」「キャリア相談に乗るブログを作って広告収入を得た方がいいかも?」など、ビジネスになり得る可能性を考えればいいのです。

そして、お試しでいくつかやってみた中で、続けられるものを大きくしていくイメージです。

――続けられるもの、がポイントですか?

そうですね、「複業は1日にしてならず」ですから。無理なく続けられる範囲で、小さなハードルを設定し乗り越えていくこと。小さく始めて、小さく続けることが大事です。最初から大きなことを成し遂げようとする必要はありません。

――いろいろ試したいと考えると、なかなか一つのことを続けられなそうです……。

仰る通り、「一つのことを突き詰められない」というのは、小さな挑戦を気軽にできてしまう「複業あるある」なんですよ。

でも、それは多少散漫になるのは仕方がないと割り切るしかありません。その中で「なんだか楽しくて続いちゃうんだよな」という自分にとっての天職が見つかればラッキーです。

どんなに能力や才能があったとしても、続けない限り花は咲きませんから、細々とでも何かしらの行動を続けることが大切だと思います。もし失敗したとしても、AとBの経験が組み合わさって全く別の複業が意図せず生まれる可能性もありますからね。

一つのことを続けるというよりは、「何かしらの行動を続ける」ことを意識できるといいと思います。

株式会社HARES代表取締役 複業研究家 西村創一朗さん

「小さく始めて・小さく続ける」をやってみよう

――これから複業を始めたい人たちが「良いパラレルキャリア」をつくるにはどんなスキルや経験を積むのがいいと思いますか?

それは人それぞれではあるので、まずは「自分がどうなりたいか」を言語化することが大事だと思います。

もちろん時代の流れや、世の中から求められているスキルに敏感になることも大事だとは思います。例えば、最近だとエンジニアやデータサイエンティストが不足していることもあって、プログラミングスクールが流行っていますよね。

でも、最初に話した通り、若手の複業って天職を探すための手段ですから、あまり時代に左右される必要はないと思うんです。

それよりも自分がどうなりたいのか(will)を言語化した上で、自分の持っているスキル(can)と、いまはまだないけど必要なスキルを整理することが大事。そうすることで、足りないスキルや経験を埋めるためにはどう行動するべきかが見えてくるでしょう。

――複業を始めるにあたって、本業との両立も難しそうだなと感じています。特に本業でちゃんと成果を上げているわけではなかったりすると、複業を始めるにはまだ早いのかなって……。

もちろん、複業を楽しみすぎるがゆえに本業がおろそかになってしまっては本末転倒ですから、そこには注意が必要ですよね。ただ複業の経験が本業にプラスの影響を与えることもあるので、「複業を始めるのは、本業で一人前になってから」と気負いすぎなくても大丈夫です。

また、パラレルキャリアは理想に辿り着くための「手段の一つに過ぎない」と理解することも大事だと思います。

僕自身、パラレルキャリアを実践しているし勧めているけれど、一番理想的なのは「自分のやりたいこと」と「本業」がぴったりと一致している状態だと思っています。例えばイチローのように「will」と「can」、さらに「must(やるべきこと)」がすべて一致していて、一つのことを極めていくって理想的ですよね。

とはいえ、社会人になって最初の会社で「will・can・must」のすべてが一致しているっていうのはなかなか難しい。だからこそ本業とは別で、パラレルキャリアでいろんなことを試しながら、自分の道を探すんです。

――あくまでも「手段」だと理解していれば、複業を始めるのに早すぎることはないんですね。

特にいまの危機的状況は、ネガティブな要素がありながらも、自分自身のキャリアを見つめ直すチャンスとも言えます。

これまでに比べていますぐに動けることは限られているかもしれませんが、パラレルキャリアは「小さく動いて小さく続ける」ことが大事です。

まずは本当に小さいことでいいので、何かやってみることから始めてみてください。もし実際に動くことが難しくても、自分が誰かの役に立てるとしたらどんなことができそうか、自分の「will・can」は何なのか、じっくり考える機会をつくってもらいたいと思います。

――自分の「will・can」を整理して、小さくてもいいから何かを始めてみること。いまのうちに、そうやってパラレルキャリアの準備をすることが、「今後自分がどう働いていきたいか」を見つけるための第一歩になるわけですね。お話ありがとうございました!

取材・文/於ありさ 企画・編集/大室倫子(編集部)

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