「25歳で年収50万円アップ」で後悔。転職のプロが教える“妥協ライン”のつくり方とは?【20代の転職失敗談】
25歳(男性・年収450万円)松田さん(仮名)のケース
22歳 地方の私立大学を卒業後、不動産の営業職として勤務(年収350万円)
25歳 大手不動産会社に営業職として転職(年収400万円)
転職活動期間:1カ月
希望条件:年収アップ
妥協した条件:特になし
応募社数:1社、書類選考通過:1社、1次面接通過:1社、内定社数:1社
紹介されたのは「年収50万円アップ」の好条件求人
地方の私立大学を卒業後、不動産会社の営業職として働き始めた松田さん。しかし、仕事量の多さと、その量に見合った給与がもらえないことに、フラストレーションが溜まっていたという。
「毎日終わりが見えない仕事をして、毎月給料明細を見てはがっかり。せっかく新卒で入った会社だからと、我慢してはいたのですが……。とうとう耐えきれなくなり、25歳で転職を決意しました。その時、ちょうど同業他社にいた知り合いに『うちの会社に来ないか?』と誘われたんです」
紹介されたのは、業界でも有名な大手企業。同業・同職種のため仕事内容は変わらないし、年収は50万円アップと言われ「こんな良い話はないだろうと、飛びつきました」という松田さん。
しかし入社初日から、転職を後悔することになったという。
「その会社はノルマがかなり厳しく、仕事が驚くほど多かったんです。『どうせ働くなら、給料が高い会社』と思っていましたが、年50万円アップでは納得できないくらいの仕事量でした」
前職よりも残業が増え、プライベートの時間も減ってしまった。転職前は定時で帰れる日が月に数回あったが、今では連日深夜まで残業続き。頭の中はいつもノルマのことでいっぱいになってしまったそうだ。
type転職エージェント キャリアアドバイザーからのアドバイスをCHECK!
今回の松田さんの転職活動は、どのような点に気を付けるべきだったのか。type転職エージェントのキャリアアドバイザー・植草武尊さんに解説してもらった。
松田さんは、「転職によって何を叶えたいのか」の優先順位を決めていなかったことが失敗の要因になったのではないかと思います。
転職によって仕事量を減らしたいのか、給与を上げたいのか。松田さんはどちらの優先度が高かったのでしょうか。それによって、選ぶ企業も変わってきたでしょう。
転職後に「給与アップを望んでいたけれど、実際に転職してみたら業務量が少ないことの方が大切だった」など、自分の本心に気付いて後悔する人は多いです。そのようなミスマッチを起こさないために、自分が大切にしたいことを棚卸ししたり、複数社応募して他社と比較したりして、「優先順位を決める」ことは転職活動においてとても大事な作業なのです。
また松田さんのように、前職より給与がアップする場合、いわゆる「アップ転職」で気を付けたいのは、「上がるのは年収だけではない」という点です。
仕事の負荷が増えたり、責任が重くなったりするなど、「給与が上がる」にはそれ相応の理由があることがほとんどです。給与が増えて嬉しい気持ちになるのは分かりますが、「年収以外の何がアップするのか」は事前にしっかり確認しておくべきでした。
また、私が求職者の皆さんによくお伝えしているのは、自分の労働単価を「時給換算」して考えてほしいということ。例えば「年収400万円/残業10時間」の仕事と、「年収450万円/残業40時間」の仕事では、1時間あたりの労働単価は前者の方が高くなるわけです。後者は一見、年収が高いように見えますが、時給は下がっていますよね。
自分が「年収が上がれば残業が増えてもいい」と捉えるタイプなのか、「年収は据え置きでもいいから、残業時間は少ない方がいい」タイプなのか。時給換算で考えてみたときに、どこまでが「妥協できるライン」なのかを考えた方がいいでしょう。
「妥協ライン」を定めておくことで、求人を選ぶときに「ここは自分の条件が満たされないからダメ」などと判断できるようになりますよ。
取材・文/石川香苗子
RELATED POSTSあわせて読みたい
「サービス残業がないこと」が絶対条件! 25歳で気付いた転職活動の落とし穴【20代の転職失敗談】
「どこでもいい」でスピード転職は絶対NG! 23歳の“軸ナシ女”が妥協して転職した先に待っていたもの【20代の転職失敗談】
“1社しか受けない”転職活動は危険?「同業・同職種転職」の失敗事例をプロが解説!
“とりあえず大手”に新卒入社した25歳が、3年目でベンチャー企業の営業職に転職して分かったこと
「ジョブホップ」って本当によくないの? 20代で3回以上転職した3人の覆面座談会から探る