“卑屈ブス”やめた20代YouTuberエミリンに聞く、自分を好きになるヒント
人気YouTuber・エミリンこと、大松絵美さん。
元気いっぱいの動画で視聴者を笑顔にしてくれる彼女は、初のエッセイ本『ここは負けても死なないテーマパーク』(宝島社)を出版し、自身のアパレルブランドを立ち上げるなど、仕事は絶好調。人生を思いっきり楽しんでいるように見える。
しかし、エミリンさんは著書の中で、もともとは自己肯定感が低く、ネガティブな性格だったこと、数々の挫折を味わってきたことなどを明かしている。
「自己否定地獄の中にいた頃は、仕事も、プライベートも、何もかもうまくいかなかった」
そう語る彼女は、どのように人生の転機を呼び込んだのだろうか。過去のエミリンさんと同じように、自己否定地獄にいる20代に向けて「いますぐやめるべきこと」を聞いた。
人付き合いで無理するのをやめて、ネガティブ地獄を脱出
――ご著書の中で、エミリンさんはご自身のことを、「もともと自己肯定感が低く、ネガティブだった」と書かれていました。それはいつ頃のことですか?
芸人だった頃もそうですし、YouTuberになったばかりの頃もかなり自虐的でした。
「私なんて」ってずっと思っていて、自分の仕事に全く自信が持てなかったんです。
YouTubeを始めたばかりの頃は、自分に自信がないから、必要以上に自分を下に見せるような発言をしていたんですよ。
「何か爪痕を残そう」という気持ちが強過ぎて空回りして、自信をなくして……っていう負のループの中にいました。
「お仕事は何されてるんですか?」って聞かれても、「YouTuberです」って言えなかったんですよ。それは、自分に自信がなかったからなんですけど……。
――そうなんですね。ちなみに、職業を聞かれたときは何て答えていたんですか?
「動画を作ったり、編集したりしてます」って。嘘はついてないけどにごす……みたいな(笑)
――それだけ聞くと「Web系の制作会社で働いているのかな」っていう雰囲気が出ますね(笑)
――そんな自己否定のスパイラルの中にいたエミリンさんが、人生を前向きに、楽しく生きられるようになったきっかけは何だったんでしょうか?
特にYouTuberとして活動し始めてからなんですが、周りの環境の変化が一番大きかったです。卑屈な人とか、ネガティブな人じゃなくて、前向きに楽しそうに生きている人と付き合うようにしたんですよ。
そうしたら、自然と「私もこんなふうに生きたいな」って思えるようになりました。
仕事で関わる人は自分都合では変えにくいと思うんですが、プライベートで付き合う人は、いくらでも変えられますよね。
――確かに。
あと、友達って多ければいいってもんでもないなって気付いたんですよ。
例えば「友達の人数は7人です」って言うと、少ないように感じるかもしれませんが、7人もいたら、1週間毎日違う人と会えますからね。自分にとっての「神7」がいたら十分なんですよ。
――でも、付き合う友人を変えるというのも、勇気がいることなのかなとも思うのですが……。
私の場合は、ある日ふと「そんなに仲良くない人と当たり障りのない会話をするのって、何の意味があるんだろう。無理に付き合うのやめよ~」って思って、結構ガラッと変えちゃったんですよね。
――「そんなことしたら、嫌われるかも」という心配はなかったんでしょうか?
確かに、人付き合いが悪くなったことで、一部の友達からは嫌われるかもしれないとは思いました。
でも、今後の人生を考えた時に「その程度の友達なら、私の人生になくてもいい存在だから、時間を割く必要もないな」と思って。
――なるほど。人から嫌われることや非難されることを恐れて、無理に人付き合いするのをやめたわけですね。
そうですね。自分に良い影響を与えてくれる人と過ごす時間を大事にしようと思いました。
――自分に良い影響を与えてくれる人というのは、具体的にどんな人ですか?
一緒に過ごして楽しいと思える人ですね。別に、何か学びになるとか、得られるとか、生産的なことがあるとかじゃなくていいんです。意味のない話でワイワイ盛り上がって楽しめるならそれも全然ありです。
楽しい仲間だけが自分の周りに残ったら、自分も自然とポジティブになっていきました。人から受ける影響は大きいですね。
年齢を言い訳にしない!子ども返りすると自己肯定感がUPする?
――エミリンさんは、無理して人付き合いをすることをやめて、ネガティブ地獄を抜け出す転機を呼び込んでいますよね。他にも、自己肯定感を高めるために“やめた方がいいこと”ってありますか?
①何か一つを選ぶことをやめる
②自分磨きに投資しないことをやめる
③正論を振りかざすことをやめる
④年齢を理由にすることをやめる
⑤大人ぶることをやめる
の5つですかね。
①から理由を説明しますね。
私の場合、女を捨てて面白い路線でいくべきなのか、女らしさを出してかわいくなろうとしてもいいものなのか、キャリア選択で悩んでいた時期があったんですけど、どっちもやりたいことなら、どっちもやればいいと思うんです。
それこそ私の周りでも「仕事は続けたいけど、結婚もしたくて……」って言っている子がいるのですが、何でどっちか一つだけを選ぼうとするんだろう、「どっちも」で別にいいんじゃないかなって。
何かを両立することで、しんどいときもあると思うんですけど、何かを諦めるとどんどん卑屈になっちゃうし、自信をなくすんですよね。「私には無理だった」とか「私にはできない」って。
「私にはどちらかしかない」っていう発想を捨てて「私はどっちも手にできる」って思っちゃった方が、ずっと前向きになれそうじゃないですか?
私ね、最初になりたかった職業が声優だったんですけど、養成所に受かった後に親から反対されちゃって、あっさり自分の夢を諦めたんですよ。
でも、それから10年経ったいまでも「もしあの時、お母さんをちゃんと説得して、養成所に通ってたら未来が変わってたのかな」みたいな、もしもの世界を想像しちゃう。それってすごい後ろ向きですよね。
――なるほど、では②の「自分磨きに投資しないことをやめる」というのは?
私、オタク気質があるので、趣味にお金を使い過ぎてしまうことがあるんです。でも、時々ふとわれに返ると、何だか満たされないお金の使い方をしてしまってるな、と感じることがあります。
自己肯定感を高めたいなら、お金をもっと「自分をより良くする」ために使うといいですね。いわゆる自分磨き。例えば、美容院に行くとか。「イケてる自分」をつくるためにお金をちゃんと使うといいです。
――そうか。“私、ちょっとイケてる”って思えると、自分のことが少し好きになれますよね。
そうなんですよ。結局のところ自己肯定感って、その「ちょっとイケてるかも」の積み重ねなんです。
いつもよりいい化粧品を使う、小物だけ憧れのブランドのものにしてみる、好きな香りの香水を付ける……毎日なんでもいいから一つずつ「ちょっとイイかも」を取り入れたらいいと思います。
――では、③の「正論を振りかざすことをやめる」というのはどういうことですか?
例えば、不倫してる子に対して、「不倫はダメだよ」って言う、みたいなことです。ただその子に寄り添って悩みを聞くだけでいい場面もあるのに、つい「あなたがいけない」って責めてしまうことってありませんか?
要は、本来であれば正しいはずの正論が時に相手を苦しめてしまうってことですね。そういう自分は好きになれないはずですから。
――人に優しくあれ、ということですね。では、④の「年齢を理由にすることをやめる」についてはどうでしょうか?
年を取るのはみんな一緒。でも、それを悲観的にとらえてしまったら、年齢を重ねるごとに自分が嫌いになってしまうと思うんです。
例えば、「この服を着てみたいけど、もう年だし、痛いよな……」って言う人がいるとしたら、来年、再来年は「もっと痛い」ってことになっちゃいますよね。だったら、いま着たい服を着る方が一番いい。
だから、年齢を理由に何かを諦めるのはやめた方がいいんじゃないかなって。
――すごく前向きで素敵な考え方ですね。最後に、⑤の「大人ぶるのをやめる」について教えてください!
みんなもっと、子ども返りしちゃっていいと思うんですよ。
子どもの頃って嫌なことを言われたら、「なんでそんなこというの? ○○ちゃん」って言えたじゃないですか。そんな感じで、自分が嫌だと感じる言葉を向けられたときには、嫌だって言う。
――自分が傷付く言葉を向けられる機会を減らしていくわけですね?
そうです。マウンティングされたり、嫌なこと言われたら、明るく「それ言われたら傷付く~」「そんなこと言われたら悲しい~」って私は言っちゃうようにしています。
そういえば最近ダイエットを始めたんですけど、いざ痩せたら「前の方が良かった」とか「ぷにぷにしててかわいかったのに」って言われたんですよ。
そういうときは、わざと悲しい顔して「えー、本当に頑張ったのに悲しい。そんなん言わんとって~」みたいな感じで冗談っぽく返す。そうすると、友達も意外と「あ、ごめん!」ってなるし、気まずい空気にもならない。
――明るく無邪気に本音を伝えるのって大事ですね、子どもみたいに。
そうそう! 「ちっちゃい子戦法」は意外と使えますよ! 子どもの言葉って、嫌味がないですからね。
働きながら「楽しく生きる」を実践するためのアクション
――ここまでで、自己肯定感を上げるヒントをたくさんいただけましたが、それを継続するのって難しいんですよね。エミリンさんが、仕事が忙しくても毎日を楽しく生きるために工夫していることってありますか?
ワクワクする予定を、先々に入れておくことですね。
それこそ、旅行とかも1カ月ぐらい前から決めて予約しておいて、ちょっといいご飯を食べにいくとか。ディズニーランドに行くとか、前から決めておいて、その日を楽しみに生きてますね。
あとは、自分と境遇が同じ人や気の合う人が周りにいると楽しく生きられるので、そういう人を積極的に見つけに行くことですかね。
――そういう人は、どうすれば見つかりますか? 大人になると、プライベートで出会いがなくて……。
SNSを活用してください! SNSを見ていると、「この人、自分と似てるな」って思える人が表れることがありますよね?
そういうときに、自分から「会いたいです」って勇気を出してDMしてみるのもありだし、「あの人に会ってみたいんだよね」ってつながりのある友達に言ってみるのもあり。
いまって、SNSを見たら、誰と誰がつながってるかすぐ分かるので、自分で声さえあげれば誰とでもすぐつながれると思うんですよ。
それに、SNSだと、相手の素の部分が出やすいから、どんな人か分かりやすいですしね。
――なるほど、一緒に過ごす人から受ける影響は大きいですよね。自分がなりたい姿に近い人にも、どんどん声をかけてみるといいのかもしれませんね。
そうですね、憧れる人、共感できる人とSNSでつながることができると、いい刺激をもらえると思います。
――“ネガティブ地獄”を脱したエミリンさんは、今後どんなことにチャレンジしていきたいのでしょうか?
これまで人生で何かの一番になった経験がないので、女性YouTuberの中でチャンネル登録者数トップを目指したいと思っています。
――超前向きな目標ですね! これからがますます楽しみです。ありがとうございました!
取材・文/於ありさ 撮影/竹井俊晴
Profile
エミリン(@oomatsuemi)
本名・大松絵美(おおまつ・えみ)。チャンネル登録者数150万人超(2020年10月現在)の大人気YouTuber。元芸人。兵庫県明石市出身。ニュースキャスターを目指して上京し、アミューズのオーディションを受けるが、応募者3万人以上の中からなぜか女芸人として採用される。芸人としては芽が出ずUUUMの社員採用試験を受けたが、社員ではなくYouTuberとして採用され、一気にトップYouTuberに上り詰める。20年6月にUUUMを退所し、現在フリー。UUUM退所後、テレビ局からオファーが殺到しており、バラエティ出演多数。
◆YouTubeチャンネル
Information
エミリンさんの新著『ここは負けても死なないテーマパーク』(宝島社)
YouTubeチャンネル登録者数150万人超!大人気YouTuberエミリン待望の初エッセイ。
YouTubeの枠を越えTVでも活躍中の彼女が、豆腐メンタルを鍛え、誰もが明日からポジティブに生きるサクセスルールを語ります。
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