キャリア Vol.986

副業するより「好きなこと」一本で。チャンネル登録者数40万人超えのYouTube配信者・さばいどるを生んだ“捨てる勇気”

周囲と自分を比べたときに、「自分らしさ」を明確に語れる人は多くないだろう。個性を重んじる現代、「自分らしさって何?」という問いに立ちすくんでしまうこともあるのでは?

サバイバル活動をするアイドル=「さばいどる」として、YouTubeを中心に人気を集めるかほなんさんも、かつては自分の強みや個性が分からず「自分らしさ」に悩んだ一人だ。

かほなん

撮影:北村勇祐

「さばいどるの活動も、最初は全然上手くいかなかった」と振り返る彼女だが、いまやチャンネル登録者数40万人超の人気YouTube配信者。

「さばいどるで生きていく」と腹を決め、自分らしいキャリアを歩み出すことができたきっかけは一体何だったのだろうか。

※この記事は姉妹媒体『Woman type』より転載しています。

会社員とアイドルと。兼業時代に感じた「中途半端な自分」への焦り

アイドル活動を始めたのは、約8年前。学生時代、アルバイト先のメイド喫茶で「アイドルグループをつくろう」という企画があるのを知って、手を挙げたのがきっかけでした。

昔からアイドルに憧れていて……というわけではなくて、動機も「面白そうだな」というふんわりとしたもの。今もそうですが、好奇心だけは人一倍だったんですよね(笑)

その後、『おーだーめいど138』(2018年に『おーだーめいど』に改称)というご当地アイドルグループの一員に。地元のお祭りやイベントの会場でのライブを中心に活動していました。

最初はとても楽しかったですね。人前でパフォーマンスをする機会なんて、普通に生活していたらそうそうないですし、応援してもらえるのもうれしかった。

ただ、お仕事がたくさんあるわけではなくて。アイドル一本で食べていけるほどの収入もなく、学校卒業後は企業に就職して「兼業アイドル」として活動していました。

YouTubeで積極的に動画を配信し始めたのは、アイドル活動開始から3年ほど経ったタイミング。事務所とアイデアを出し合い、もともと趣味だったアウトドアと、アイドルとして生き残る=サバイブすることを掛けた「さばいどる」という企画が生まれました。これが、今の「さばいどるチャンネル」の原型です。

これも、初めは全く上手くいかなかったんですよ。チャンネル登録が一向に増えなくて、2年続けても200人いくかいかないか。どうしたらもっとたくさんの人に見てもらえるんだろう、と悩みました。

考えた結果、それまで勤めていた会社員としてのキャリアを捨てて、YouTubeでの活動に専念することに。

うまくいってないYouTubeのために会社を辞めるなんて、普通に考えたら無謀ですよね。でも、それまでずっと兼業を続けてきたことで、心のどこかで「このままでは仕事もYouTubeも中途半端になってしまう」という焦りがあったんです。

「そんなにやっても芽が出ないんだから、YouTubeの方を辞めればいいのに」と思う人も多いかもしれません。でも、私自身がやっていて楽しいのはアイドル活動やYouTubeでの動画配信だった。せっかく楽しいと思えるものがあるのに、安定だけを求めてそっちを捨ててしまうのはもったいない。今だからこそできること、挑戦できることなんじゃないかって思って。

中途半端なまま終わりたくない。だから私は、自分が楽しいと思えること一つに集中する。他は全て捨てようと思い、腹をくくりました。

「まずは3カ月」マイルールを決めて動画を自作。初めて得られた手応え

会社を辞めてからは、YouTubeの取り組み方を変えました。当初は企画、撮影、編集まで事務所がやってくれていましたが、それだと時間が掛かってしまって。月に2本程度しか新しい動画を公開できていなかったんです。

それまでは兼業だったこともあり、私自身の時間の掛け方も努力も足りていなかった。結果を出すにはもっとコミットしなくちゃダメだ。そう思って、YouTubeに関するすべてを自分の手で担当することに決めました。

まず取り組んだのは「1週間に3本動画を投稿する」こと。正直、かなり大変でした。撮影も編集も不慣れで時間が掛かるし、収入はないどころか、手持ちのお金は減っていく一方。なかなか結果も出なくて、やっていることは楽しくても、現実を見ると「しんどいな」と感じることの方が多かったですね。

それでも、3カ月間はやってみよう、って決めていました。理由は、YouTubeのチャンネル運営のコツを勉強する中で「最低3日に1本動画を投稿すれば、3カ月くらいで成果が出るようになる」って一文を見たから。単純ですよね(笑)。でも、あの頃は藁にもすがる思いでした。

3カ月間、1週間に3本コツコツと動画を投稿し続けると、本当に少しずつですが再生回数やチャンネル登録者数が増え始めたんです。最初に手応えを感じたのは、19年1月に公開した『【キャンプ料理】ソロ女子キャンパーの山ごはん 登山編【冬キャンプ】』という、雪山の山頂でオムレツやパスタを作って食べる動画。これが話題になってYouTubeの「おすすめ」欄に掲載されるようになり、他の動画の再生回数も増えていきました。

YouTubeの楽しいところは、結果が数字として目に見えるところ。孤独でつらい日々だったけれど、「続けてきて良かった」と心から思えるようになりました。

ずば抜けた個性じゃなくていい。「普通」や「平凡」の掛け合わせで「自分らしさ」をつくっていく

きっと私は、歌って踊るアイドル活動だけでは多くの人に知ってもらえなかったと思います。かといって、ただアウトドアやサバイバルに関する情報を発信するだけでもダメだったでしょう。

アイドルも、アウトドアに詳しい人も、世の中にはたくさんいます。でも、「サバイバルをする女性アイドル」は私だけです。

なにか一つにずば抜けている人って、きっとそんなに多くない。だからこそ「私の個性って何なんだろう」って悩むんですよね。でも、一つ一つの要素は強くなくても、掛け合わせることで唯一無二の個性はつくられていくんだと思います。そのおかげで、「さばいどる」というキャラクターが生まれたわけですから。

あと、目標を持つことの大切さもひしひしと感じています。それも、5年後、10年後とかじゃなくて、目の前の「近い目標」の方がいいですね。

かつての私が「1週間に3本動画投稿」というミッションを続けられたのは、「3カ月間」という期間を決めていたから。これが3年間で、その間ずっと無収入だったら、途中で折れていたんじゃないかな。

高い目標や将来的なビジョンを持つのもいい。でも、先のことなんて正直分からないよね、というのが私の考え。そもそも、先々のことをきっちり考えるタイプだったら、YouTubeに専念しようだなんて思っていなかったかも。だって、どう考えたってリスクの方が大きいじゃないですか(笑)

この仕事を続けていけるだろうか、食べていけるだろうか、と不安に思いだしたらキリがありません。ただ、目の前のことに没頭して取り組んでいたら、いつの間にか今があった。ちょっとずつ目標を積み重ねてきた結果かな、と思います。

自分で無人島を買って毎日サバイバル生活。今の私ならできるはず

唯一持っている大きな目標は、無人島を買ってそこで暮らすこと。初めは冗談半分だったんですよ(笑)。でも、YouTubeでいろんな経験をするうちに、「本当にできるかも」と思えるようになって。そのために今は、釣りや狩猟などのスキルを磨いているところです。

もとから負けず嫌いなので、目標を追うのは嫌いじゃない。むしろ燃えますね。動画でも、いつも何かしらのミッションを自分に課すようにしているんです。例えば、わざと道具を減らしてキャンプに行ってみたりとか。

ミッションをクリアして、一つ、また一つとできることが増えていく充実感はたまらなく幸せなものです。これからも少しずつ成長して、「さばいどる」を続けていきたいですね。

プロフィール画像
プロフィール画像

さばいどる かほなん幼少期からキャンプや野遊びをして育ち、キャンプ歴は約20年。学生時代にご当地アイドル『おーだーめいど138』の一員に。2016年9月より「さばいどる」としての動画配信を開始。その後、企画、撮影、編集など、YouTubeチャンネル運営の全てを自身で行うように。現在はYouTubeを中心に各メディアで活動中 YouTube:さばいどるチャンネル/Twitter:@survidol_kaho/Instagram:survidol_kaho

書籍情報

最強クッカーでおいしいソロキャン時間!
飯ごうレシピマスターブック

かほなん

著者:さばいどる かほなん
発売日:2021年8月26日
出版社:立東舎

「キャンプ飯のクッカーはこれ一択!」
さばいどる かほなん一押しの飯ごうを使ったキャンプ飯&スイーツレシピを60点以上収録。焼く、ゆでる、揚げる、煮る、炒める、蒸す、炊く、燻す……さまざまな調理に対応できる万能クッカー・飯ごうの魅力が詰まった、キャンプ飯デビューにもオススメの一冊。

>>詳細はこちら

【かほなんオススメ! 自粛期間に楽しむ「おうちアウトドア」】

本格的な器具がなくても、食器をキャンプ仕様に変えてみるだけでも気分が上がりますよ。スキレットなどであれば取り入れやすいですし、フライパンよりもおしゃれなので食卓も華やぎます。

あとは、最近はやりのベランピングも手軽にアウトドア気分を楽しめておすすめ。遠出はできないけど、家の中にこもりきりなのも息が詰まる……という方は、ベランダにレジャーシートや椅子を出して食事を楽しんでみてくださいね。

取材・文/太田冴 編集/秋元祐香里(編集部)


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