新川優愛が実践する、無理しない・肩肘張らないサステナブルな働き方「楽しく仕事に挑戦できる自分でいたい」
昔から大きな夢や目標があるタイプではないのですが、今は早く30歳になりたいです。
これからチャレンジしたいことは? という質問に、少し意外な答えを返してくれたのは、モデル・俳優として活動する新川優愛さん。
映画『老後の資金がありません!』では、主演の天海祐希さん演じる後藤篤子の娘、まゆみ役で出演。ほとんど経験のないコメディー作品への参加だったが、気負いはほとんどなかったと振り返る。
※この記事は姉妹媒体『Woman type』より転載しています
大先輩・天海祐希さんから学んだ現場をまとめる力
同作で新川さんが演じた後藤まゆみは、一見どこにでもいそうなフリーターの女の子。だが、その中身は「ぶっ飛んでいる」キャラクターだ。
監督とは「まゆみは見た目は普通だけど、ナチュラルに爆弾を落とす子だよね」と衣装合わせの際に話しました。
普通にご飯を食べていて、携帯を取り出して、次のシーンではいきなり……っていう、見た目と中身のギャップを意識しましたね。
新川さんが話してくれたシーンでは、どこか浮ついた様子で幸せそうなまゆみの微笑みと、そこはかとなく漂う不穏な空気が印象的。携帯を取り出した直後、まゆみは家族の食卓にとんでもない爆弾を落とす。
彼氏の琢磨を演じた加藤諒さんの見た目のインパクトがとにかく強烈で……。
事前に控室でコミュニケーションをとって、目を慣らす時間を取ってもらいました(笑)。演じていて、すごく楽しかったです。
まゆみは、天海祐希さん演じる篤子の娘。大女優・天海さんとの初めての共演について、「昔からテレビで見ていて、大好きな方」と新川さんは目を輝かせる。
現場でガチガチに緊張している私に話し掛けてくださったり、お芝居のことを気に掛けてくださったり。
天海さんから歩み寄ってくださって、「甘えてしまっていいのかな」という思いもありつつ、すごくうれしかったです。
「天海さんは座長として現場をまとめる力がとにかくすごい」という。テレビでは見られない、カメラが回っていない場面での立ち振る舞いから、新川さんは多くを学んだ。
例えば、撮影が連日続くとだんだんみんな疲れてきますよね。すると、眠くてうとうとしてしまったりして。
そういう中で天海さんが「頑張ろう!」と声を掛けている姿が印象的でした。全体を見渡せる余裕がすごいなって。
ご経験はもちろん、お人柄や作品への思いがあってこそできることだと思います。
最近は後輩も増えてきて、新川さん自身も「先輩の背中」を見せなければいけない現場が増えてきた。
「私はまだまだ自分のことで精一杯になってしまいがちで……」と苦笑いしながらも、今回の現場を経験して「なりたい姿」のイメージが湧いてきたという。
天海さんから学んだことを生かして、誰に対しても自分から歩み寄ったり、話し掛けたりできる人にこれからなりたいです。
後輩や年下の方は特に、私に対して話し掛けることを遠慮してしまう人もいると思うので。
自分から垣根を取っ払ってコミュニケーションを取って、現場の雰囲気を良くしていけたら。
「プライベートでの挑戦は苦手」仕事が与えてくれるAnother Actionの機会
コメディー映画の出演経験はほとんどないという新川さん。『老後の資金がありません!』の撮影は、「現場にいた皆さんが和気藹々としていて明るい雰囲気だったので、ナチュラルにコメディーの世界に入っていけた」と当時を振り返る。
普段から物事に対してあまり気負わない方ではあるのですが、初対面の方との撮影はやっぱり緊張します。
でも、そういうときに緊張をグッと我慢しようとすると固まってしまうので「緊張する~」って口に出しちゃうようにしているんです。
そうすると、少しずつリラックスできるようになるので。
どの作品でも、常に自然体。そうして挑戦する中で得られるものは、「新たな人生の価値観」だ。
俳優のお仕事は、自分ではない人間を生きられる仕事。「こういう世界があるのか」と、役を通じて自分とは全く異なる人生について学べます。
それは、この仕事だからこそ味わえる感覚。私はそれが好きなんです。
昨年出演した、漫画原作のドラマ『ギルティ〜この恋は罪ですか?〜』(読売テレビ)も、新川さんに新たな価値観をもたらした作品の一つ。
作中に「結婚するまでは両目で相手を見つめなさい。結婚したら片目を閉じて相手を見なさい」というセリフが出てきてハッとしました。
自分の結婚生活を見つめ直すきっかけになりましたし、これからも長く「いい夫婦関係」を築いていくための真理だなと思えたので。
以前登場した筧美和子さんと新川さんは親友同士。「チャレンジには新しい発見がある」という答えも、なんだか共通している。
美和子ちゃんは多趣味なので、会うたびに違うことをしているんですよ。でも、私はどちらかというと保守的で、プライベートでは新しいことにあまり手は出さないタイプ。
そういう意味では、お仕事があるからチャレンジを重ねられているんですよね。
楽しく働き続けるために、「無理をしない」を心掛ける
新川さんはもうすぐ28歳。「もう30歳」と口にする女性は少なくないが、「早く30歳になりたい」と明るく言い放つ。
周りの先輩たちから「30歳になると楽になる」という話をよく聞くので、感覚として、ふっとそぎ落とされるものがあるのかなぁと想像しています。
20代の今がイヤなわけではないですが、また違ったステージから新しい景色を見るのも楽しみ。
30代になったら、お仕事でもプライベートでも、新しい自分や新たな価値観と出会えるような気がしてワクワクしています。
新川さんが年齢を重ねることにポジティブでいられる理由は、周りの人の存在が大きいという。
一緒にお仕事をしているスタッフさんをはじめ、周りの30代の女性たちに素敵な方が多いんです。
結婚している・していない、恋人がいる・いないに関係なく、お仕事を楽しんでいる方がたくさんいる。
自分らしくいきいきと働く先輩たちの姿に憧れているのかもしれません。
どんな仕事であっても、大変なことやつらいことはある。それでも「なるべく達成感を味わって、楽しんで仕事をしたい」と新川さん。そのために意識しているのは、「無理をしない」ことだ。
仕事でもプライベートでも、無理をしても良いことってないと思うんですよ。
例えば、体力的に無理して働きすぎたり、我慢して人付き合いしたり。無理をしている時間が増えれば増えるほど心も病むし、体にも不調が出てくる。
今できないことでも、できることをちょっとずつ毎日重ねていけば、いつかはできるようになるかもしれない。
それなのに、その「いつか」が来る前に自分が潰れちゃったら、もったいないじゃないですか。
「無理をしない」は、自分を甘やかすこととは違う。頑張らなければいけない場面はもちろんある。そこで大切なのは、自分の心の状態にちゃんと目を向けることだ。
年齢とともに「これ以上食べたら気持ち悪くなる」みたいな自分の限界値って段々と分かるようになるじゃないですか。
それと同じように、「これ以上無理したら、潰れちゃうかも」という感覚も学んでいけるはず。
そうやって自分の心の状態にちゃんと目を向けて、「無理してるな」と思ったら、一呼吸置いたり一人でほっとする時間をつくったりして過ごす。
そうやって息抜きしながら働くことで、仕事を楽しめる自分をキープしています。
新川さんが仕事で最も好きなのは、作品の撮影が終わる瞬間。撮影が終わる寂しさを感じるほど、何とも言えない達成感を味わえるからだ。
ドラマや映画の撮影が終わると、心にぽっかり穴が開いたような感じになります。「もうみんなと一緒に仕事ができなくなる」と思うと寂しいけれど、その感覚が好きなんです。
だって、寂しいってことは、みんなで過ごした現場が楽しくて離れがたいほど素晴らしい撮影期間だったということだから。
スタッフさんも含めると、同じメンバーで作品を作ることはほぼ100%ありません。だからこそ、一期一会の大切な瞬間だったんだなって思えます。
仕事が終わることで寂しさと達成感を味わえるのは、その仕事に全力で向き合った証拠。気負わず、でも、無理もせず。そんな自然体な姿勢が、サステナブルに“Another Action”を楽しむことにつながっていくのだろう。
取材・文・構成/天野夏海 撮影/洞澤 佐智子(CROSSOVER)編集/栗原千明(編集部)
作品情報
『老後の資金がありません!』大ヒット上映中
出演:天海祐希/松重豊/新川優愛/瀬戸利樹/加藤諒/柴田理恵/石井正則/若村麻由美/友近/クリス松村/高橋メアリージュン/佐々木健介/北斗晶/荻原博子(経済ジャーナリスト)/竜雷太/藤田弓子/哀川翔/毒蝮三太夫/三谷幸喜/草笛光子 ほか
原作:垣谷美雨
監督:前田哲
脚本:斉藤ひろし
音楽:富貴晴美
ⓒ2021映画「老後の資金がありません!」製作委員会
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