【ゆりやんレトリィバァ】45キロ減量で考え方まで激変「ますますイケてる自分になるんちゃう?」
芸人・ゆりやんレトリィバァ。可愛らしい声とおっとりした話し方に、相反する奇抜なネタ。『R-1グランプリ2020』で優勝するなど、芸人として確かな評価を受けている。
一方、最近では45キロの減量が話題になり、「自分らしさ」を体現する人としてファッション誌に登場することも増えた。
芸人という枠を超えてジャンルレス縦横無尽に活動しているけれど、どんな場面で見ても、そこには揺るぎない「ゆりやんレトリィバァ」がいる。
この日も、文才と想像力を武器に大人社会に飛び込んだ高校生・ジョアンナが、失敗や挑戦を繰り返しながら、がむしゃらに成長していく青春ストーリーを描いた映画『ビルド・ア・ガール』のイベントに登壇。
取材では、多くの人をエンパワーメントし続ける存在として、主人公・ジョアンナに扮しながら、いつもの口調で時におどけ、時に英会話を交えながら、サービス精神たっぷりに話してくれた。
「自分がやりたいことを『絶対できる』って信じてやることが、自分らしさかなって思います」
ゆりやんさんの生き方を支えるのは、とてもシンプルな考え方ことだった。
※この記事は姉妹媒体『Woman type』より転載しています。
「なりたい自分」に向けて突き進む姿に共感
――今日の衣装は『ビルド・ア・ガール』の主人公・ジョアンナが音楽ライター「ドリー・ワイルド」として活動するときのスタイルですね、素敵です!
ありがとうございます! 映画を見て「ジョアンナみたいに夢に向かって行動したいな」って勇気をもらったし、「こうなりたい」って憧れたので、今日は彼女になれてめっちゃうれしいです!
ジョアンナは16歳ですけど、行動力も考え方もすごいんですよ。ティーンエイジャーの話としてではなくて、自分に置き換えて映画を見ていましたね。
――『ビルド・ア・ガール』は、冴えない高校生のジョアンナが数々の失敗や挫折を乗り越えながら成長する、前向きでパワフルな映画でした。ゆりやんさんはジョアンナのどんなところに憧れました?
ジョアンナはライターで、もともと本をたくさん読んでいる女の子。どんなときでも自分の世界を言葉で表現できるのが、素敵やなと思いました。
あとは、なりたい自分になるためにまっすぐ突き進むところ。失敗したときの落ち込む感じなんかは「めっちゃ分かるわ~」って思いましたし、そこで諦めずに頑張るのも共感できます。
あと、ジョアンナがめっちゃセックスしたがっているところも「分かるわ~!」って思いました。
「オッケーあとは好きなように生きてく」R-1で優勝して、自由になった
――映画の中では、ジョアンナが「自分らしさ」を見失ってしまう場面もありました。ゆりやんさんにもそういう時期はありましたか?
4~5年前は特に悩みましたね。仕事も生き方も「何がいいのか」とか、「もっとちゃんとした方がいいのかな」とか、いろいろ考えてました。
でも周りの先輩の姿を見たり、話を聞いてもらったりすると、「やっぱり自分が楽しいと思うことを疑わずにやることが一番やな」って思うようになって。
(レイザーラモン)RGさんとか、なかやまきんに君さんを見ていたら、すごいなって思います。ずっと自分らしい芸を貫いていて面白いし。
――たしかにお二人とも自分が楽しいことを疑わずにやっている印象です。
私が落ち込んだときは、RGさんが「ええねん、あれを1個やったからよかった」みたいに言ってくれて。
尊敬する先輩方はみんなそうなんですけど、どんな嫌なことあっても、全部ポジティブな方に捉えて声を掛けてくれるんです。
私もそうありたいし、いまだに悩むことはありますけど、今は「まぁ自分が楽しいからええかな」と思えるようになりました。
――自分が楽しいと思うことを疑わずにやった結果の『R-1グランプリ2020』優勝だったんですね。
R-1の優勝はずっと目標で、ずっと欲しかったんです。
もしかしたらR-1優勝がゴールだと感じてる人もいるかもしれないですけど、逆にR-1をとって「オッケー! 今後は私の好きなように生きていくぞ!」って思えました。今はちょっと自由になった感じです。
――自由になって、これから挑戦してみたいことはありますか?
コロナ禍なのですぐには難しいですけど、海外でオーディションを受けたいです。コメディーはもちろんですけど、ドラマも映画も、どんどん挑戦したいです。
――2019年にはアメリカのオーディション番組『America’s Got Talent』にも出演されてましたね。本格的なアメリカ進出に向けて、準備していることはありますか?
Ah……I’m always training my imagination every single day, every single second. You know what I mean?
(そうね……私はいつも、毎日、毎秒、イマジネーションのトレーニングをしてるの。分かる?)
For example, before sleeping, I image my future in Hollywood. If I live in Hollywood, every celebrity is my neighbor. Billie Eilish, Justin Bieber, everyone!
(例えば眠る前、私はハリウッドでの未来をイメージするの。もしハリウッドで暮らしたら、全てのセレブは私のご近所さん。ビリー・アイリッシュもジャスティン・ビーバーも、みんなね!)
太った体を捨てるのは不安だったけど、捨てて出会えた新しい自分
――最近のゆりやんさんは自分らしく、以前にも増して楽しんで生きている感じがしますね。
ありがとうございます!
――「自分らしさ」に悩んでいた20代の頃と今で、仕事への向き合い方や内面など、何が一番違いますか?
20代の時はがむしゃらで、とにかく「売れたい」っていう思いでやっていたんですけど、自分の行動や夢に制限をかけていたような気がします。
でも、今は無限に「やりたいことをやればいいじゃないか」って思えるようになった感じがしますね。
――なぜそう思うようになったのでしょう?
番組をきっかけに始めた、トレーニングが大きいかなと思います。
最初は「太った体を捨てるのは芸人としてどうなんだ」って考えたこともあったんですけど、「できなくなることもあるけど、逆にできることもあるか」と思って。
例えばコントをするとき、いつ見ても「私」だったんですよ。どのコントを見ても、どんな役をしてても「私がやってる」っていう感じやったんです。前の体型だと、逆にそれしかできないというか。
でも最近単独ライブをやらせてもらって、あとで映像で見たら「何にでもなり得るな」と感じました。もちろん、そこにいるのは私なんですけど。
――太った体がなくなって、むしろ芸人としてプラスになったんですね。
「ダイエットしてから面白くなくなった」って言う人もいますけど、「あんた絶対おもろないって前から思ってたやろ!」と思ってますし、そういう人に何言われても構わないかなって。
信頼する人たちが見て笑ってくれたら、それでいいやって思います。
あとは、トレーニングで体が健康になって、「時間が経てば経つほど、イケてる自分になるんちゃうか」って思えるようになりました。
これまでは器の中に自分がいて、時間が経つにつれてどうしようもなくなっていく感覚があったんですけど、今は自由に自分を育てていってる感じがします。
「来年の方がもっとイケてる私になるんやろうな」「80歳になったときに、イケイケになってたい」って思えるようになったから、そういう意味でも制限なく行動できるようになった気がします。
――45キロ減量して体が変わっただけではなくて、考え方も変わった?
めっちゃ変わりました。しんどいことがあっても「あのトレーニングよりマシか」と思えたら気持ちがちょっとは軽くなります。
それに見た目が変わる以上に、体力がついたりできることが増えたりすることが単純にうれしいし、自分に自信もつきました。
そもそも、まさか自分がこんなにトレーニング中心の生活をするなんて思わなかったです。仕事でどうしてもお菓子を食べないといけなかった時に、帰ってから私、泣いたんですよ。「今までこんなに頑張ってきたのに、なんで食べなあかんかったんや!」って。
今までの自分やったら考えられへんなって思います。前はちょっと行き過ぎてるくらい食べてたんですけど、今はトレーニングが楽しくて、興味もあって、止める気はないですね。「一生やるんやろな」って思いますし、それは自分でも驚いてます。
やったらできるし、疑わなければ夢は絶対にかなう
――今のゆりやんさんにとって「自分らしさ」とは何だと思いますか?
「自分がやりたいから絶対できる」って信じてやることですかね。
私はアメリカでも芸人になって、映画を撮って、出演して、アカデミー賞を受賞したいっていう夢をずっと持っていて。
「そんなんできるん?」「何言ってんの?」って言われるし、絶対無理って思われてるけど、自分が疑ったら絶対にできないって思います。
――なぜ自分を信じられるんですか?
小学3年生の時に、鉄棒ができなくて。絶対自分にはできないって思ってたんですけど、練習したらできるようになったんです。その時に「人間にできないことはないんや」って。
芸人にもなりたいって思って、少しも疑わずに思い続けていたら、なれました。やったらできるし、疑わなかったら絶対なれるなって、そう思ってます。
――とはいえ、ジョアンナのように失敗したり落ち込んだり、弱気になってしまうことってありませんか……?
私、めっちゃ落ち込んだりするんですけど、そういうときはナダルさん(コロコロチキチキペッパーズ)や先輩、家族やマネージャーに電話します。一人で抱え込むことは昔からあまりないですね。
「こんなことやってもうて、こうなってしまいました。でも、でも!どうせ私アメリカ行くし!!」ってアメリカに行った時の構想を喋って、「こんなことで落ち込んでる場合じゃなかったわ」ってなることが結構あります。
「自分はこんなところで留まってる人間じゃない」って思うくらいがいいのかもしれないですね。「あれもして、これもして」って考えていったら、落ち込んでいる原因なんて「なんやこんなしょうもないこと」って思います。
――そういう意味でも、自分を信じて、疑わないことが大事ですね。
私は『ビルド・ア・ガール』を見て、「挑戦するのにいつでも遅いことはないから、私も夢をかなえたい」って強く思いました。
私も絶望することはあるし、みんなもあると思うんです。でも映画を見たら、「できることをやってみよう」って思えることが一つは出てくると思うので、「自分には何もできない」って人にこそ見てもらいたいです。
私は芸人以外の仕事を経験してないので偉そうなことは言えないですけど、もしも今の仕事が嫌だったら、辞めて新しい職場を探すことだってできるんちゃうかなって思います。勉強したら資格も取れるし、いつから何だってできるって思ったら可能性は広がりそうですよね。
私が憧れる女性は、年齢を感じさせないというか、年齢を考えずに「こうなりたいからやる」っていうのをずっとやれる人。恐れ多いですけど、皆さんにも自分の可能性を決めないでほしいなと思います。
……いや、めっちゃエラそう(笑)。でも、それが一番大切な気がします。
取材・文・構成/天野夏海 撮影/洞澤 佐智子(CROSSOVER) ヘアメイク:菅野典子(株式会社マハロ)、スタイリスト:小出えり(株式会社マハロ)
作品情報
映画『ビルド・ア・ガール』大ヒット公開中!
公式HP:https://buildagirl.jp/
© Monumental Pictures, Tango Productions, LLC, Channel Four Television Corporation, 2019
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