キャリア Vol.993

俳優・芳根京子を育てた“来るもの拒まず”の仕事スタンス「なんで私? と思う役も、全部やってみる」

NHK連続テレビ小説『べっぴんさん』で主人公・坂東すみれ役を演じて以降、多くの話題作に出演している芳根京子さん。

芳根京子さん

芳根さんの活躍は、俳優業だけにとどまらない。

アニメ映画『ボス・ベイビー』(2017)の続編『ボス・ベイビー ファミリー・ミッション』(2021)には、前作から引き続き日本語吹き替え版キャストとして出演。しかも、前作とは異なる役柄で、という異例の抜擢だ。

※この記事は姉妹媒体『Woman type』より転載しています

「役の心に寄り添う」姿勢が、声の仕事にも生かされた

映画『ボス・ベイビー』の25年後を描く今作。かつて芳根さんが演じていたボス・ベイビーの兄であり相棒のティムは成人し、声優の宮野真守さんが吹き替えを務めている。

芳根京子さん

今作で芳根さんは、ティムの長女である7歳の女の子・タビサ役に抜擢。大ヒットアニメーションの続編、さらには前作と異なる役柄へのチャレンジだけあって、プレッシャーも相当なものだったはず。

しかし、芳根さんは「うれしさの方が大きい」と笑顔を見せる。

芳根さん

前作の公開当時から、ボス・ベイビーの声を担当したムロツヨシさんと『もし続編ができたとして、俺たちキャスティングされなかったらどうする?』って冗談半分で言ってたんです。

でも、実際に続編の制作が決まって、しかもそれがティムが大人になった時代の話だと知り、本当に私の出番はないかも、と思いました。

なので、まさか別の役で呼んでいただけるなんて! 『また出られる』という喜びでいっぱいです。

芳根京子さん

『ボス・ベイビー』シリーズでは声の演技だけでなく、歌も披露している。これまでにも役を演じながら歌うことはあったが、ほとんどが自身の年齢に近い役柄だ。そのため、7歳の女の子を演じながら歌うことに少し戸惑いもあったと明かす。

芳根さん

タビサは“7歳だけどちょっと大人っぽい女の子”。子どもらしさと大人っぽさのバランスを取るのが難しくて……。

そんな芳根さんを救ったのは、監督の「上手く歌おうと思わないでいい」というアドバイスだった。

芳根さん

その言葉で、肩の力がスッと抜けました。

実はタビサは歌が得意ではないんです。それでも、自分なりに精一杯歌う子。

だから、上手く歌うことよりも、そんなタビサの心にしっかり寄り添って、感じたままに歌うことが大切だと思うようになりました。

芳根さん

この考え方は、普段役を演じるときと同じ。これまでも俳優として『役の心に寄り添うお芝居』を意識してきたから、それを生かしていきたいなって。

人見知りの殻を破った、2クールドラマへの出演

芳根さんは2018年公開の映画『累 -かさね-』『散り椿』での演技が評価され、第42回日本アカデミー賞の新人俳優賞を受賞。

以降、映画『Arc アーク』(2021年)では不老不死の女、ドラマ『バイプレイヤーズ』(テレビ東京系)ではまさかの本人役と、さまざまな役柄に挑んできた。

芳根京子さん

そんな彼女が最近のAnother Actionとして挙げるのは、意外にも「人見知りの克服」だ。

芳根さん

今、『真犯人フラグ』というドラマの撮影をしているんですけど、2クール放送のドラマに出演するのは初めてで。

通常のドラマ撮影は2~3カ月で終わるのに比べて、今回は撮影期間も約半年と長いので、心地よく働くためにも共演者の皆さんと一緒にいい現場をつくっていかないと、という気持ちになりました。

芳根さん

それで、スタッフ・キャストの皆さんと仲良くなれるように、現場に入った初日から、自分でたくさん話し掛けに行くようにして。

ドキドキしながら声を掛けに行って、今まで自分がコミュニケーションを人任せにしてきたことを痛感しましたね(笑)

この意識の変化には、芳根さんが「若手俳優」の枠から抜けてきたことも大きく影響している。

これまでは自身が最年少の現場が多かったが、最近では年下の共演者も増えてきた。だからこそ、「自分自身で、次の突破口を開いていきたい」と力強く語る。

芳根京子さん
芳根さん

私自身、まだまだ俳優としては未熟だけど、現場で年下の方が慕ってくれたり頼ってくれたりする機会も増えてきて、すごくうれしいんです。だからこそ、相手の立場に立ってどう接したら安心してもらえるかを考えるようになりました。

せっかく縁があって一つの現場に集まったメンバーだから、気持ち良くお仕事がしたい。それは周りの人たちのためでもあるし、結果的に自分がいい仕事をするための環境づくりにもなると思っています。

「経験値が爆上がりする感覚、たまらない」来るもの拒まずで突き進む俳優道

今後のキャリアプランについて尋ねると「20代は仕事中心でもいいかな」とあっさりと言う。

芳根さん

ちょっと大げさな言い方ですけど、個人的には『倒れるまで突き進む!』くらいの気持ちでお仕事をしたい。

たとえハードな日が続いても、それは今しかできない働き方なのかな、って。もちろん多少のお休みは欲しいですけど(笑)

そこまで芳根さんを突き動かすもの。それは「芝居が好き」という原動力だ。

芳根さん

周りの人からは『そんな無茶な働き方をしていたら寿命が縮まるよ』なんて言われるんですけど、『いいじゃん! 本望じゃん!』 と感じていて。だって、10代から好きなことを仕事としてやらせてもらえて、すごく幸せだから。

芳根京子さん
芳根さん

俳優としてお仕事をするようになってから、すごく幅広い役に挑戦させてもらいました。中には『何で私に?』という役もたくさんあったけど、『まずはやってみよう』と挑戦してみると、毎回発見がいっぱいありました。

芳根さん

自分が思いもしなかったような仕事に挑戦して、そこで一生懸命くらいつくうちに『経験値が爆上がりする感覚』がたまらなくて、辞められないんですよ。

こんなに仕事が楽しいんだから、やっぱり寿命も縮まらないんじゃないかと思います(笑)

大きな瞳を一層輝かせながら芝居の楽しさを語る芳根さん。『ボス・ベイビー ファミリー・ミッション』でタビサを演じたことで、また新しい発見があった。

芳根さん

私、7歳の女の子もできるんだ! って(笑)。『できない』と思うことで本当にできなくなってしまうことってあるから、気持ちだけは負けないようにしたいなと改めて思いました。

今後も、どんなお仕事も来るもの拒まずのスタンスで突き進んでいきたいです。

「自分らしさ」や「得意なこと」に仕事の価値を置く人も多い中、「来るもの拒まず」の芳根さんのスタンスは、その逆とも言える。けれど、そのスタンスがあるからこそ、常に新しい挑戦の扉が開く。

可能性に蓋をしないことが、より良い未来を切り開く一歩につながる。芳根さんの仕事観は、そんな気づきを与えてくれた。

芳根京子さん

芳根京子(よしね・きょうこ)さん

1997年2月28日生まれ。東京都出身。2013年、ドラマ『ラスト♡シンデレラ』で女優デビュー。2015年にはドラマ『表参道高校合唱部!』で初主演を務め、翌年のNHK連続テレビ小説『べっぴんさん』でヒロインに抜擢。2019年に映画『累-かさね-』『散り椿』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。現在放送中のドラマ『真犯人フラグ』、22年公開予定の映画『峠 最後のサムライ』に出演
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取材・文/阿部裕華 撮影/竹井俊晴

作品情報

『ボス・ベイビー ファミリー・ミッション』12月17日(金)全国ロードショー!

芳根京子さん

ドリームワークス・アニメーション史上、日本歴代No.1。『ボス・ベイビー』待望の続編が、パワーアップして日本上陸!!

声の出演(吹替):ムロツヨシ、多部未華子、芳根京子、宮野真守、乙葉、石田明(NON STYLE)
製作:ジェフ・ハーマン
監督:トム・マクグラス(『ボス・ベイビー』)
配給:東宝東和、ギャガ 
公式HP:bossbaby.jp 
公式twitter: @BossBabyJP 
公式instagram: @bossbaby_jp 
公式Facebook: http://facebook.com/BossBabyJP
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