スキルアップ Vol.997

【営業の極意】「#家で売ろう」発起人に学ぶオンライン商談の進行&クロージングの凄技

コロナ禍で、“リモート営業”はもはや一般的なものになった。

一方で、いまだオンライン商談に苦手意識を持っている営業マンも少なくないのでは?

そこで話を聞いたのは、営業代行事業を行いながら、「#家で売ろう」のハッシュタグを用いてリモート営業ノウハウをSNSで発信する営業ハック代表の笹田裕嗣さん。オンライン商談をスムーズに進めるコツや、クロージングに役立つ「リモート営業の達人」の技を伝授してもらった

前半の記事はこちら:2カ月でクビ、売上げゼロ…“ガムシャラ営業”で自爆した僕が、100社以上を営業支援する会社の代表になれたワケ

株式会社営業ハック 代表取締役社長 笹田裕嗣さん

株式会社営業ハック 代表取締役社長 笹田裕嗣さん(@sasada_36

1988年生まれ、千葉県出身。大学在学中、20歳でダスキンの法人向け飛び込み営業をスタート。その後、新卒で大手人材系企業に入社し、半年で営業成績トップに。社会人3年目に社内ベンチャーの立ち上げを行うも失敗に終わる。社会人4年目にメガベンチャーへ転職後、営業フリーランスとして独立し、営業代行事業・コンサル事業を行う。営業フリーランスから事業内容はそのままに、株式会社ウレルを創業。その後、株式会社営業ハックに社名変更。「営業の悩みを0にする」をビジョンに営業支援を法人向け・個人向けに行なっている

「オンラインが苦手」それって本当? リモート化で顕在化した営業の課題

――そもそも、笹田さんはなぜSNSでオンライン営業のノウハウを発信し始めたのでしょうか?

コロナ禍のタイミングで、クライアントから「オンライン商談を始めるにあたって何を意識すればいいのか」「オンラインだとヒアリングが上手くいかない」「プレゼン相手の反応が分からない」といった相談をいただくことが増えたんです。

私自身は約5年前からリモート営業を実践していたため、そのノウハウを少しでも提供できたらと考え「#家で売ろう」というハッシュタグで発信を始めました。

特に「リモートセールスチェックシート」では、営業プレーヤーやマネジャーの方だけでなく、経営層の方からも反響をいただきました。チェック項目が182個もありかなり膨大なので、すべてを実践するのは難しいとは思うんですけどね……。

――笹田さんが5年前からリモート営業を実践するようになった理由は?

端的に言うと、移動している時間がもったいなかったからです。当時は「営業は会いに来てナンボ」と言われるご時世でしたが、ちょっと家庭の事情が……とか理由をつけてオンラインで商談をしていました(笑)

そもそも対面で営業しないといけないことは、基本的にないと考えています。取り扱う商材が有形の場合は体感していただく必要があるため、対面の方がいい時もありますけどね。

僕の場合は無形商材を取り扱っているので、オンラインで事足りるんですよ。

――「対面」と「オンライン」で成約率に差は出ていませんか……?

商談相手の業界でどれだけIT化が進んでいるかに起因しますが、成約率だけ見れば対面での商談の方が高いと思います。

これは人間のバグだと思うんですが、「会いに来ない営業担当」と「わざわざ会いに来てくれる営業担当」だと、後者の方が自分のことを大事にしてくれそうだと思ってしまう。

――営業スキルの問題ではなく、顧客の心理的な部分が大きいと。

ええ。私が見る限り、「オンライン商談だと上手く成約できない」と言う人の多くは、対面でも商談が上手くできていないなと。

商談の場がオンラインになったことで、その人が持っている潜在的な課題が顕在化されただけだと思います。

――特に、20代などキャリアの浅い営業については、どのような課題を抱えていることが多いのでしょうか。

営業の仕事の中身を分解すると、基本的に「ラポール(関係構築)」「ヒアリング」「プレゼン」「クロージング」という4項目があります。それぞれの項目でいろいろな課題を抱えているケースが多いですね。

また、オンライン商談においては「相手の反応が見えづらい」という課題を抱えているケースが非常に多いので、上記の4項目に加えて「オーガナイズ(合意形成)」の項目を入れる必要があります。

オンライン商談で成果を出すために意識すべきポイント

――今回は、オンライン商談をスムーズに進行し、成約まで持っていくための重要なポイントを教えていただきたいです。

先ほどお話しした「ラポール(関係構築)」「ヒアリング」「オーガナイズ(合意形成)」「プレゼン」「クロージング」の5項目で、それぞれ意識してほしいポイントがあるので、一つずつ説明していきますね。

1.ラポール(関係構築):自己開示と目的の共有で商談相手のモチベーションを高めよ

オンライン商談は常に時間やチャットツールなどの通知が見える状態にあり、外的要因で集中力が削られやすい。そのためラポールの段階では、商談における相手のモチベーションをいかに高められるかが鍵となります。その上で意識すべきポイントは三つあります。

一つ目は「リスク要因をなくす」。まずはちゃんと挨拶をする、動画の背景や音声、ネットの接続などオンラインの環境をしっかり整えておくなど、基本的なことで不信感を与えることがないようにしましょう。序盤に違和感や不快感を与えると、相手の集中力が著しく欠如してしまいます。

対面であれば、相手のリアクションや話すスピード、動作に合わせて臨機応変に対応できます。しかしオンラインだと相手の反応が分かりづらいので、先にリスク要因をなくしておくことが大事なのです。

二つ目は「自分が何者であるかを伝える」。何の相談に乗れる人なのか、何ができる人なのかを最初に定義付けておくことです。

「営業ハック」のように分かりやすい社名であれば何となく察してくれる可能性もありますが、多くの場合は判断がつきません。相手は何も知らないていで、自分が「何屋なのか」を記憶してもらうように心掛けましょう。

三つ目が「事前に商談の目的を提示する」。オンライン商談前のメールで、何を目的とした打ち合わせの時間なのかを送っておきましょう。

例えば、「デモを見せる機会」なのか「デモを見せて、意見を言ってもらう機会」なのかによって、オンライン商談に臨む相手の心持ちは変わってきます。

「お客さまが何も質問してくれなかった」とこぼす営業マンの多くは、事前に質問を求める機会であることを伝えていないから。相手に意識してもらうためにも事前に商談の目的を提示することが必須です。

2.ヒアリング:質問は相手に丸投げしない。商談では必ず「仮説」を検証せよ

ヒアリングでは「質問を丸投げしないこと」を前提に置きましょう。

いきなり質問をしたり、相手の反応にまかせっぱなしになっていたりしては、会話のキャッチボールが生まれません。

そうならないためには、自分の仮説や考えを確認し、承諾を得てから質問を投げ掛け、相手に意見をもらうことを意識してみてください。

例えば、顧客の採用ページに「営業急募5名採用」と記載されていた場合、「急募で営業を5人も採用したいということは売上げを伸ばしていきたいのだろう」と仮説を立て、その認識が合っているか確認する。

さらに、売上げを伸ばしたいということは即戦力となってくれる人が必要だろうと再度仮説を立て、認識をすり合わせる。

そこで初めて「御社で即戦力として活躍する営業マンはどんな人ですか?」と、相手からフィードバックをもらえるようなヒアリングを進めることができるのです。

株式会社営業ハック 代表取締役社長 笹田裕嗣さん(@sasada_36)

3.オーガナイズ(合意形成):相手の言葉を使って、口頭で確認をする

対面では五感をフルに使って営業ができますが、オンラインは相手の反応が見えづらく察することが難しいため、「口頭で都度確認を入れる意識」が重要です。

そして、認識をすり合わせるときはできる限り、相手の言葉を使うこと。

例えば、顧客が「資料請求率」という言葉を使っているのに対し、営業が「コンバージョンレート」とわざわざ自分たちが普段使う言葉に置き換えてしまう。相手からしてみると「コンバージョンレート」は別の用語として解釈されてしまうこともありますから、合意形成を取る際は必ず相手の言葉を使うべきなのです。

4.プレゼン:見せ方にオンラインならではの工夫を

プレゼン(提案)は、「顧客の実現したい世界と、提供したいベネフィットが合っているか」の確認を取りましょう。その確認が済んでいることを前提として、オンラインでは三つ意識してほしいポイントがあります。

一つ目は「プレゼン時間を短くする」。一方的に長く話してしまうことで、相手の集中力を削ぎ、何が重要だったのか伝わらないまま終わってしまうケースはとても多いです。対面でも同様ですが、オンラインではさらに「短い時間で課題解決のイメージを持たせるか」を重視しましょう。

二つ目は「ディスカッションのアンテナを張る」こと。

特に、1回目のプレゼンでは成約を取ることよりも、ディスカッションをして顧客用の提案内容を作っていく意識を持つといいです。

顧客が提案に対して興味を持ってくれたら「こういうことできないの?」「これってどうなの?」と質問が飛んできて、どんどん提案内容がブラッシュアップされていきます。

もし質問が飛んでこなかった場合は、顧客の「やりたくないこと」を教えてもらい、それを避ける提案をすると売れるケースも多いです。プレゼンは100発100中を狙いにいくのではなく、1勝9敗で最後の1勝をもぎ取りにいくといいでしょう。

そして三つ目に「提案資料の見せ方を工夫する」。具体的には、一番記憶してほしいことが伝わるような資料を作ることです。

情報量としては1スライドに1メッセージ。対面の商談以上に情報を削る必要があります。そうすると「聞かないと分からない状況」になるので、プレゼンに耳を傾けてもらいやすくなるメリットもあります。

ただ、社内で展開してもらう用の資料は、資料だけを見れば全部が分かる状態にまとめておくこと。社内検討用の情報盛りだくさんな資料を作成し、そこからプレゼン用に削っていくといいかもしれません。

5.クロージング:オンラインでも「熱意」を伝えよう

まずは先ほどもお話した通り、「解決したい課題内容に合意を取り直すこと」を意識してください。その上で、クロージングの際にはもう二つ意識したいポイントがあります。

一つ目は「納品物が必要なスケジュールを把握しておく」。いつ契約をするかではなく、いつから納品物が必要なのか。そこから、逆算した契約日や金額を提示するようにしましょう。

二つ目は「お願いしきる」こと。オンラインだとどうしても熱意が伝わりづらいと感じる人もいるかもしれませんが、対面時と変わらず「私にやらせてください。お願いします」と言えるかどうかが大きな差に繋がります。

私が見てきた多くの営業マンは、それだけで成約率がだいぶ変わるという印象があります。

「オンライン」「対面」を適切に使い分ける営業マンを目指そう

株式会社営業ハック 代表取締役社長 笹田裕嗣さん(@sasada_36)

――今後は「オンライン」「対面」、どちらも使いこなす営業が主流になっていきそうです。営業マンはこれらをどのように使い分けていけばいいでしょうか?

「プレゼン」後のディスカッションまではオンライン、「クロージング」など最終判断は対面がいいのでは、と考えてます。

商談回数を刻んだ方がヒアリングの質は上がるので、短時間でミーティングを設定するとなると、オンライン商談の方が進めやすいですから。

一方で、冒頭にもお伝えした通り、まだまだ対面の方が「わざわざ来てくれた」という意識の強さもあります。オンラインで“ほぼ決め”の提案まで持っていき、お会いして「この人にお願いしたい」と思わせる。そういった使い分けの意識があるといいかと思います。

――最後に「オンライン」「対面」どちらでも売れる営業マンになるために大事なことを教えてください。

今はオンラインでも営業ができてしまうからこそ、対面における期待値が上がっています。そのため対面でわざわざ話すにも関わらず、質の低い情報を持っていくと「そのためだけに来たの?」と思われてしまいますよね。

一方でオンラインは、話しづらさや認識のズレが起きやすいので、ストレスを感じるクライアントもいます。

そういった前提やコミュニケーションの性質の違いを理解した上で、適切な打ち手は何なのかを考え続けることが「売れる営業」になれる第一歩ですね。

取材・文/阿部裕華 編集/大室倫子(編集部)


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