キャリア Vol.1010

構成づくりが苦手でも大丈夫! セールスコピーライティング初心者が短時間で「人を動かす文章」を書くための四つのポイント

文章を書く時に、やたら時間がかかってしまうことはないでしょうか。取りあえず勢いで書き始めたものの、うまく伝えることができず、二転三転。

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迷走して何度も書き直すことになってしまうなら、その原因の一つは、構成を考える前に、いきなり書き始めているからでしょう。

まとまった文章を書くためには、先に構成を考えることが大事だと言われています。

特に、読み終わった後の「読み手の行動」を期待するセールスコピーライティングの世界では、ストーリーボードと言われる全体の設計図のようなものを作ってから書くのが一般的です。

けれど、いきなり「構成を考えてから書け」と言われても、何から始めればいいのかよく分からない人も多いはず。

そこで今回は、構成づくりが苦手な人に向けて「どんな風に考えれば短時間で魅力的な文章を書けるのか」についてのヒントを、四つのポイントでご紹介します。

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【記事執筆者】 株式会社グローアップマーケティング 代表取締役 谷本 理恵子中小メーカーの通販部門の運営責任者を経て、合格率1%といわれる「ダイレクト出版認定セールスライター」となり独立。主に、30代以上の女性をターゲットとする化粧品や健康食品のネット通販で、「無理なくリピート購入されるメール」や「チラシ」などの制作を通して、売上2倍・利益5倍など高い実績を出す。「女性特有の購買心理」を活用した効果的な文章やデザインのコツを、セミナーや講演、社内研修などで伝えている。主な著書に『ネットで「女性」に売る』(エムディエヌコーポレーション)『女性に「即決」される文章の作り方』(ぱる出版)『プリンセス・マーケティング』(エムディエヌコーポレーション)がある。現在は、オンライン学習プラットフォーム『Udemy』でセールスコピーライティングなどの講座を持ち、人気を博す

※この記事は姉妹サイト『Woman type』より転載しています。

①「会話」しているように書く

基本的に「文章で説明する」ときには、一方的に話を進めていくことになりますよね。あえて「話す」場面で例えるなら「結婚式のスピーチ」や「朝礼でのあいさつ」と同じようなもの。

うっかり独りよがりの展開になると、本来伝えたかった内容すら届かないまま終わってしまいかねません。

一方通行のコミュニケーションにおいて、まとまりのある話を成立させるのは、それほど簡単なことではないのです。

けれど、逆に言うなら、一方的に話し続けてしまうから難しいとも言えます。もし、すぐ目の前に知っている誰かがいて、あなたが説明するたびに何らかの反応があるとすれば、どうでしょうか。

リアクションに応じて、その先の説明を続ければいいだけなので、ぐっと簡単になると思いませんか。

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目の前の人は「へー、なるほど、それで?」と言ってくれるかもしれませんし、時には「え、ちょっと待って。この前、ニュースで違うこと言ってたけど?」と返ってくるかもしれません。

つまり、目の前にいる人と自然な「会話」が続くように、一人二役をこなすようにして、話を進めていけば良いのです。

常に、読んでいる人が今どんなリアクションをしているのかに思いを巡らせて、「ならば、次はこう伝えればいいんじゃないか」と続けていけばいいという発想です。

②読み手の気持ちを「代弁」する

読者が次にどんな内容を期待しているのかを予想するだけでなく、今この瞬間の「心のつぶやき」をそのまま文章に書けば、より読みやすい文章にできます。

例えば、読者が「まさか、そんなうまい話ないでしょ?」と思うタイミングで、その気持ちを代弁するように「そんなうまい話あるはずがないと思われるかもしれませんが……」と書かれていれば、きっと「そうそう、まさに今そう思っていたの! それで?」と前のめりになって読むことができますよね。

多くの人は、ただ読んでいるわけではなく、頭の中で「でも、〜なんでしょ?」と反論したり、「それで、他とどこが違うの?」とツッコミを入れたりしています。

実際に聞こえてくることはありませんが、それらの心の声を逃さず、そのまま文章に反映させることができれば、疑似的な会話のキャッチボールを作り出すことができます。

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つまり、「よく聞かれる質問」や「ありがちな反応」をあらかじめ織り込んで、読者を巻き込んで話を進めていくことができれば、よりスムーズに読み続けられる文章になるのです。

これは、企画書やプレゼン資料などを作る場合でも同じです。ちょうど疑問が浮かぶだろうタイミングで、相手の気持ちを代弁しながら進めていけば、どういう順番で何を伝えれば良いのかに迷うことはないでしょう。

③読み手の「常識」を覆す

だらだらと退屈な自己満足の説明ではなく、より分かりやすく説得力のある提案にするには、「当たり前」「普通」という感覚が人によって違っていることにも留意する必要があります。

人間は、物事をまっさらな状態で見ることはできません。これまでに得た知識や経験をもとに「きっとこうに違いない」といった「思い込み」や個人的な「信念」を持って生きています。

そして、多くの場合、その人が今もっている「常識」のままでは「今すぐ買いたい」気持ちになることはありません。

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だからこそ、単に分かりやすい、読みやすい文章では足りないのです。読み終わった後に「今すぐ買いたい」気持ちになっていただくためには、今持っている強固な前提条件を変えるインパクトのある情報が求められています。

そもそも売り手が語る話は、売り込みのためのセールストークにすぎないと思われ、なかなか信用されないのが普通です。ただただ「最高に素晴らしいものなんですよ」と言うだけで「証拠」を示さなければ、いくら本当のことであっても信じられないでしょう。

読者が「信じられない!」とか「本当かな?」などと不安に感じるだろうタイミングで、必ず「証拠」となる情報を提示することで、疑念をきれいに払拭し、安心して続きを読めるようにする必要があります。

④「信頼」につながるための証拠を提示する

購買につながる情報、つまり「この話を信用してもいい」と思える情報には、いろいろなものがあります。

例えば「お客さまの声(ユーザーボイス)」があれば、少なくとも、すでに「他に誰か使った人がいるらしい」という安心感は得られるでしょう。

「雑誌の掲載歴」や「ランキング受賞歴」「SNSで紹介されている様子」などがあれば、はじめて知った商品やサービスであっても「もしかすると、私が知らなかっただけで、有名なものなのかもしれない」という推定が働き、もう少し読んでみようという気持ちになるかもしれません。

他にも「専門家の推薦の声」や「効果効能試験の結果」など、第三者による評価が「信頼」を築くために有効である場合もあり得ます。

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けれど、何を見た時に「信用できる」と考えるのかは、人によって変わるものです。著名人が推薦していれば、きっと良い商品に違いないと思う人もいれば、かえってうさんくさいと思う人もいます。

他にも、性能やスペックの比較表がある方が親切だと感じる人もいれば、細かく比較することに意味を感じない人もいます。テレビや雑誌に載っているだけで信用できると感じる人もいれば、まったく買う理由にならない人もいるのです。

ですから、自分が誰に向けて書いているのか、その人にとっては、どういう情報があれば「信用できる」と思えるかを知っていることが重要です。

「一般的にこれを書けば良いと言われているから、この程度の情報があればじゅうぶんだろう」と考えるのは危険なのです。

世の中の評判、未来を疑似体験……男女で重視する要素が違う傾向も

また、同じ情報を受け取っても、読み手の性別などによって異なる受け取られ方をする場合や「信頼」を感じる要素が異なるケースもあります。

例えば「お客さまの声」を見るときに、多くの男性は「真実らしさ」と「数」を重視する傾向があります。

「社会的証明」という言葉があるように、男性の場合には「世の中にこの製品やサービスを良いと言っている人がたくさんいる」という事実にこそ意味があると感じる人が多いのです。

つまり、文章の中に製品やサービスの利用者・購入者の「評判が高いこと」を示す証拠が数多く載っていると、より効果を生みやすいということですね。

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さらに、「万が一、これを選んで失敗したとしても、自分のせいではない。多くの人が良いと言っていたせいだ」と感じられる見せ方にすると、期待する行動を引き出しやすくなります。

一方で、女性読者には違った傾向が見られます。女性は「お客さまの声」に自分を重ね合わせることで「未来の自分」を疑似体験し、自分にも効果やメリットがあるのかを確認しています。

そのため、できるだけ自分に近い状況の「お客さまの声」をじっくり読めるようにしておくことが大切です。

時には、書き手が売り込みたい製品やサービスの対象者が男女両方である場合こともあるでしょう。そんなときは、万人に響くように複数の要素を折り混ぜながら文章を書く人が多いと思います。

そういう場合には、女性のお客さまは興味がない箇所は飛ばして読む傾向が強く、男性のお客さまはすべてに目を通す方が多いことを利用して、女性のお客さまにとって重要なポイントを大きく目立つように表示し、男性が必要とする情報を読み飛ばしやすくしておくとよいでしょう。

また、男性向けの製品・サービスの紹介だったとしても、女性に読みやすい文章を意識しておくと、間接的に男性の購買を後押しすることにつながります。

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というのも、買い物をするときに、妻やパートナー、女ともだちなどの意見を参考にする男性も多いからです。

また、ビジネスにおいても女性が決裁権を持っている場面も増えていますから、どんな人にとってもスムーズに読めて、必要な情報がすべて入っている文章づくりを心掛けられるといいですね。

いずれにせよ、書き手の皆さんが情報を届けたい相手との「会話のキャッチボール」を意識することが分かりやすく説得力のある文章を短時間で作るための近道です。

ぜひ試してみてくださいね。次回のコラムもお楽しみに!


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