現役アナウンサーが伝授する「興味がない相手」に興味を持ってもらうためのプレゼン術その3【連載:長谷川豊】
フリーアナウンサー
長谷川 豊フジテレビ出身のフリーアナウンサー。13年間、朝の情報番組「情報プレゼンターとくダネ!」で、現場取材やニュースのリポートを担当。ニュースプレゼンテーションのプロフェッショナルとして活躍。現在はアナウンサーだけではなく、講演・執筆など、多方面で活躍中
公式ブログ:http://ameblo.jp/yutaka-hasegawa/
「サービスに興味を持っていない顧客に、興味を持ってもらいたい」
そんな多くの営業マンが共有して抱えているであろうお悩みにお答えすべく、僕がセミナーなどでお話しているプレゼンの時に使えるテクニックをご紹介します。
前回に続いて、今回は「世論誘導」の効果的な使い方を詳しく分析してみましょう。
■第3回「アンケートの効果的な使い方」
その1:話し出しに使ってみる
あなたが商品を売り込みに行った先で、プレゼンをするとします。その話し始めにこう言ってみましょう。
「皆さんはこの商品をご存じないかも知れません。でもこのリストを見てください。現在、弊社のこのサービスを使っていただいている顧客の皆様のリストです。どれだけ人気か分かりますね? 今、一番注目を浴びている商品が今から紹介する○○です」
けっこう効きます。特に効果的なのは「他の人たちも使っている」という部分にできるだけ「有名な人」「ステータスのある人」を持ってくる方法です。
皆さん、見たことあるでしょ? 「あの有名人も使ってる!」みたいなの。あれ、この「誘導」という技術を使った宣伝ですね。わりとみんながCMなどで使っていることが分かります。
この方法を話の初めに持ってくることにより、強めの注意を引きつけることができます。ただし、この話し出しに使う技術は、
「その後に、もう一歩強い武器を持ってこられる時」
に有効と覚えておいてください。ん? 分かりにくかったですか? 僕はあんまり、この「話の初めに誘導を持ってくること」をお勧めしていないんですが、要はこの世論調査で誘導する方法よりもずっと強い何かアピールポイントがあれば、有効ですよって話です。
この程度の方法でいきなり全ての人が「じゃあこのサービスを使おう、この商品を買おう」とはならないということです。なぜって? そもそもの「説明」がちゃんとできていないからです。それが抜け落ちているので一気に囲い込むところまではいかないはずです。
よく電車内の宣伝や新聞の広告でこの手法を見かけますが……、まだまだですね(←上から目線)。宣伝としては二流です。それによって売り上げがいきなり上がるって所まではいかないはずです。所詮、有名人が使っている、それでおしまいですから。宗教じゃないんで。その有名人のまんま生きる人って少ないです(いるけど)。
ではどのように使うのが一番いいか? それはやはり、正攻法で、終盤の決め手のところだと思われます。
その2:話の終盤に持ってくる
例えば、安保法案のニュースがありますよ、と。こんな法案なんです。なので嫌ですよねー。こんな事もあるかもしれませんよ、驚きですねー、怖いですねー。信じられないですねー。
そこまで話をして、十分な知識(かなり偏ってても良しとする)を相手に与えた段階で、持ってくるわけです。
「世論調査の結果、70%の人々が反対と言っています」
もはや30%もの人々が賛成なんてことは無視します。10人中3人が賛成って言ってる場合、十分検討の余地のある話だったりするんですが、日本人相手なら十分通用します。それくらい、日本人、長いものには巻かれないと気が済まない気性の民族です。
これはいわば、最後の一押しです。散々悪口を聞いた段階で、日本人の多くは「そんなもんなのかなー」くらいに考えます。決断できない人、多いんで。特に最近の若い男性諸氏。そんな日本人にピッタリな言葉が、
「みんなこっちですよ~」
という誘導です。これはデータを出してあげれば一番です。上手いことすれば、かなりの確率で誘導できます。
まとめると、こんな感じになります。
1、自社サービスの利用者データを調べる
2、「他の人たちも使っていること」をアピール。その際、有名人やステータスのある人の利用実績があればなおよし
3、使いどころは、話の終盤に最後の一押しとして!
繰り返しますが、日本はニュースでこれをやっています。ホント、やめた方がいいと思いますが。アメリカとか、国の東と西で時差があるんですけど、ニューヨークで選挙が終わってもまだロスでは投票してたりするんですよね。でも、ニューヨークで締め切っても、ロスがちゃんと締め切るまでは速報も絶対に出さない決まりになってます。それくらい、この世論誘導って技法はけっこう効果があるってことですよね。
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