最近のSI業界では、金融機関や官公庁など公的機関の大規模システムをオープン化するプロジェクトがトレンドになっている。ケタはずれの人数を要し、長期間かかるプロジェクトになるため、大手、中堅SIerでは業界知識に長けたエンジニアの確保が急ピッチで進んでいる。そしてもうひとつの注目プロジェクトが、中堅・中小企業向けの特定業務に特化したERP導入案件だ。  

「最近は外資系ベンダー各社が中堅・中小企業にターゲットを絞ったパッケージ製品を積極的にリリースしていますから、顧客業務の知識を持つ人は転職でも引く手あまたです」(キャリアデザインセンター人材紹介事業部・板高氏)



こうした流れを受けて、受託開発を行うアウトソーサーではシステム開発・ソフト開発を問わず第二新卒・未経験者採用に積極的だ。アウトソーサーは業務の特性上、若いエンジニアでも短期間で一人前になれるように育成していく必要があるため、教育・研修制度が充実している企業が多い。「採用活動は10月から12月がピークになる見込み」(板高氏)なので、技術面でスキルアップを考えている若手エンジニアはこまめに求人情報をチェックして動く準備をしておきたい。  

通信事業会社やコンサルティング会社なども参入して、業種の枠を超えたシェア争いが激化しているSI業界。その分、SIer出身のエンジニアが他の業界から求められる、または異業種からこの業界に参入してくるエンジニアが増えている。このチャンスに便乗してキャリアチェンジに挑戦するという選択もアリだ。



IT業界のなかでもっとも勢いのある業種だが、構造改革特区などを活用して必要なWeb技術者を育成する教育機関まで民間企業が運営するなど、人材の動きは業界内だけで完結してしまうという傾向がある。「異業種から参入の実現度」がさほど高くないのはこのためだ。  

「ただ、慢性的な人材不足が続いているため、若手エンジニアに対する門戸は幅広く開かれています。最新・最先端の情報収集とスピーディな情報発信がビジネスモデルの核になっている業界だけに、適応能力のある若者であれば異業種エンジニアでもポテンシャルで採用しようという考えの企業が多いですね」(板高氏)

また、「Web2.0」や「Ajax」などに代表される新技術・新サービスをいち早くキャッチアップしていくには、技術力以上に思考の柔軟さを持つエンジニアでなければならない。そういう意味でも、この業界に興味を持っている異業種エンジニアは、できるだけ若いうちにキャリアチェンジの決断をするべきだろう。



採用市場で旬な領域としては、Web2.0に関わる仕事やストリーミング、eコマース、オンラインゲームなどが挙げられる。これらはシステム自体が商品になっているため、エンジニアにもサービス開発寄りの発想が求められるという。これらのサービスを提供している企業に応募する際は、単に「技術力に自信がある」「この領域に興味がある」ということを伝えるだけでなく、ビジネスの視点で「どうすればサービスが良くなるか?」の持論をアピールすることを心がけたい。そうすれば、内定獲得の可能性もグッと高まるだろう。



2005年に国がNGN(次世代IPネットワーク)の標準化と整備の方針を強く打ち出したため、他のジャンルと比べてもっとも将来性が期待できる分野だ。  

国の方針によれば、現在は個別に敷設されている固定電話、携帯電話、IP電話すべてのネットワークをIPで統合するという壮大な計画が基盤になる。将来はテレビ放送もこのIP網に含まれていく可能性があるため、そうなれば巨大なマーケットが生まれるだろう。すでにNGNに対応するために設備投資を始める企業が出てきており、ネットワーク・サーバエンジニアの転職市場はどんどん拡大していくと見られている。

また、それに伴ってセキュリティの強化が課題になるため、セキュリティ関連エンジニアにもスポットライトが当たっている。個人情報保護法の施行や日本版SOX法対策もあり、すでに採用側の動きが盛んな状態にあるが、求職者からすればさらなる追い風が吹く格好だ。



MVNO(仮想移動体通信事業者)の登場やVOD(ビデオ・オン・デマンド)などに代表されるようなサービスの多様化で、異業種転職がしやすくなっているというメリットもある。たとえばインターネット業界ではサーバに関する知識を持つエンジニアの採用ニーズが高まっており、そこに飛び込むことで新たな見識を広げることが可能になる。逆に、ネットワーク業界ではストリーミングのベース技術を知るエンジニアを求める声が数多く上がっている。

仕事の幅を広げるという意味では、エンジニアにとって望ましい環境ができつつあるわけだ。



大手SI会社やコンサルティング会社が専門部署を設けて積極的に営業活動を展開するなど、需要と供給がもっとも高いレベルで推移しているのがこの分野。

以前は運用・保守というとエンジニアの仕事ではないというイメージがあったが、最近はさまざまな知識や技術の応用が求められるようになっているので、運用のプロとしてのキャリアもエンジニアの有力な選択肢になってきた。

分野別に見て特に注目すべきは、リスクマネジメントに関するもの。情報の漏えいやウィルスの感染を防ぐソフトは数多いが、やはり決め手となるのは運用・保守を通しての監視と防御なのである。業務としては、仕組みさえ理解すればある程度こなせるようになるため、未経験者でもシスコ認定資格の勉強をしていれば採用されることがある。

運用を通じて技術を学んでいけば、いずれ開発エンジニアへとステップアップすることも不可能ではない。キャリアアップの登竜門として一考の余地があるだろう。



また、新たなビジネスモデルとして普及し始めているのが、アウトソーシング型で運用や保守を請け負う専門企業。あえて専門分野に特化することで、上流からすべての行程を手がける企業よりも着実に実績を上げている。顧客と中・長期的な関係を築けるので、顧客業務について学ぶ機会も豊富だ。

需要が高まっているだけに、第二新卒や未経験者を含めて大量採用に乗り出す企業は多い。業界全体がエンジニアの育成に力を入れているので、1度企業研究、業界研究をしてみる価値はある。



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