松下電器産業株式会社は2008年10月1日よりパナソニック株式会社へ社名変更いたしました。
| ここまでトレンド発信メーカーに転職するメリットを述べてきたが、具体的に仕事のやりがいはどう変わるのか。実際にトレンド発信メーカーへの転職に成功した技術者に聞いてみた。 |
![]()
そう話す河原崎秀司氏が転職を考え始めたのは2004年のこと。より自分の仕事のインパクトを感じたい、と強く思うようになったことがキッカケだった。 「会社選びの基準は会社がどれだけプラズマディスプレイパネル(以下PDP)事業に力を入れているかでした。事業が縮小していくなかでの開発がエンジニアにとってどれだけつらいかは身をもって感じていましたから。その意味では、迷わず松下電器への入社を決められましたね」 PDP市場でトップの世界シェアを持つ松下電器産業(以下松下電器)。転職後、河原崎氏がまず感じたのは開発チームの士気の高さだった。 「難しい研究テーマでも、何とかするのは自分たちだというムードがありましたね。松下電器には膨大な研究成果があり、経験豊富なエンジニアたちもいる。最初は自分の実力で通用するかなという不安にも駆られました」 河原崎氏に与えられたテーマは、パネル内のガス純度を上げるというPDPにおけるキーテクノロジーの開発。入社当初こそ雰囲気に飲まれかけたが、仕事を進めるうちに思いのほか前職の経験が活きることがわかってきた。 「同じ製品を開発していても、組織が違えば研究開発に関する考え方もノウハウも違う。松下電器が持つ研究成果やノウハウに、自分が前職で培ったエンジニアリングの視点を組み合わせることで、技術的課題を解決できるようになっていったのです」 ほどなくして河原崎氏の所属するチームは、特別な設備や材料を必要とせずにコストダウンを可能にする新技術を開発。この成果が評価されて、現在、河原崎氏はPDPのコア技術である2次電子放出膜に関する研究開発に携わっている。 「2次電子放出膜がPDPの性能を大きく左右します。ただ、PDPの開発にはアナログ的な要素が多く、たとえばプラズマの放電現象の全容をつかむことは不可能に近い。さまざまな検査、測定からプラズマの状態を推定し、そこから理論的な裏付けをする必要があります。そのバックグラウンドとなる理論をどこまで詰められるかが実用化に向けて重要になりますね」 前職では会社の経営戦略で自社生産がなく、「やや学術的な研究開発で成果が見えにくかった」という。一方、松下電器では比べ物にならないほど仕事に“張り”がある。 「自分の開発成果はいずれ数100万台というプラズマテレビとなって市場に出回ることになる。絶対に市場不良を出せないという責任を感じる反面、うまくいったときの喜びは本当に大きい。今後は、いま取り組んでいるプロセスや材料の研究をさらに深めて、いずれはPDPをトータルで設計していきたいですね」 どうせやるならナンバーワンを目指したい。そんな環境を松下電器で見つけた河原崎氏。いずれ世界に出荷されるパネルと、今日も格闘し続けている。 |
|
![]()
「フリーだと、技術以外の余計な仕事がどうしても増えてしまう。だから、好きな『音』の分野で技術を突き詰められる環境を探していました。いくつかの企業を探すなか、独自の音響技術を持つアルパイン技研の存在を知ったんです」 アルパイン技研はクオリティの高い音響技術で根強いファンを持つ、モービルメディア専業メーカー。多くのメーカーがしのぎを削るAVN(Audio Visual Navigation一体の車載システム)においても、その音に対するこだわりで独自の存在感を誇っている。音響や映像の技術を磨きたいと考えていた佐藤氏にとっては、まさにうってつけの開発現場だった。 入社後に配属されたのは構想設計チーム。商品企画が立案した多彩な機能を、技術面を考慮しながら製品仕様へと反映させていく重要なセクションだ。 「AVNはコア技術の集合体ともいえる製品で毎日が勉強です。音響や映像に関する技術面を担当していますが、当社のエンジニアはこだわりが強いと感じますね。回路設計の段階から検証を繰り返し、ノイズを減らしていくような地道で堅実な開発を根気強く行なっています」 アルパインのAVNは、いち早く『iPod』とのリンクを実現するなど、エンターテインメント性でもユーザーから高い支持を獲得している。佐藤氏が目指すのも世界初、業界初の製品作りだ。 「今後、ハイビジョンへの対応などさらなる高機能化や多機能化が期待されているのがAVN。自分の手でユーザーをアッと言わせる製品を作ってみたいですね」 |
|
![]()
「生産設備の仕様をまとめ、あとは設備業者に任せる仕事では、充分な満足は得られない。自分で設計して自ら作り上げた設備が工場に収まり、そこから新しい製品が生まれる。その流れを作り出せることが自分の求めていた仕事だと改めて実感しています」 関川氏の入社と時期を同じくして、サンケン電気では、生産設備の内製化を強化する方針を決めていた。関川氏の要望と同社の方針がピッタリと重なった。 現在、関川氏が生産設備を手がける冷陰極蛍光放電管(以下CCFL)とは、ノートパソコンや薄型テレビの液晶パネルに不可欠なバックライトに使われる光源である。サンケン電気は、このCCFL市場で業界トップクラスのシェアを誇る。 関川氏に求められるのはその製造コストを下げ、高品質な製品を短時間で生産できる設備を作ることだ。今年の年末には、入社以来携わってきた設備が稼働を始める予定である。 「頻繁に工場へ足を運び、CCFLの製造装置に求められるノウハウを吸収してきました。詳しくは言えませんが、前職で培ったメカの知識とCCFL独自の製造ノウハウを合わせた新しい試みにも挑戦しています。自分が手がけた設備から生まれたCCFLが世界中のテレビやパソコンに搭載されるという期待もあります」 自らの手で製品を生み出しているという実感に加え、間もなく携わった製品が世界中で使われるというやりがいも関川氏の仕事に加わりそうだ。 |
|
>> 今週の新着求人を見る <<







