シチュエーション別に見る技術が伝えられる人伝えられない人の天国と地獄
コミュニケーションの場でちゃんと技術が伝えられるエンジニアと、伝えられないエンジニアの差は何なのか? ここではコミュニケーションにおける“ 天国と地獄”を紹介。成功のためには何が必要か、体験談から学ぼう!
Word/KOJI URANO.YASUNORI NARAHARA(E-type)
Photo/MAKOTO OSAWA.GENKI.TAKASHI TOGAWA
Illustration/SHOBU TSUCHIYA Styling/CHIKARA NAKAMURA Retouch/SHINYA |
● situation 01 顧客への提案
イータス株式会社
村上高徳 氏
アジア・太平洋地域 エンジニアリングサービス部
システム・エンジニア
村上高徳 氏
アジア・太平洋地域 エンジニアリングサービス部
システム・エンジニア
私はこの失敗から学びました
あいまいな内容で仕事を受注して満足度の低い結果に |
うるさがられるほど細かく条件や情報の開示を求める |
「前職ではモーターやそれを含めた駆動系に関する回路設計からテスト、評価まで全般を学んできたので、次は制御系のスキルを磨きたかったというのが転職の理由。お客さまからのニーズに応じたオーダーメイドに近いカスタマイズやソフト開発、仕様変更などが業務範囲です」
『LABCAR』は、PC上でエンジンやトランスミッションの性能や機能をシミュレーションできる開発用ツール。顧客は商用車メーカーが多く、受注から納入まで4?5カ月かかる上に、平均価格が数千万円という高額かつ特殊な製品だ。
「新卒で自動車メーカーに就職した時にも感じましたが、クルマの心臓部に関わることはとにかく機密事項が多く、なかなか条件や情報が把握しにくい。それでは当社にとってもお客さまにとっても満足度の高い製品やサービスが提供できないと、自分なりにいろいろ工夫してきました」
左図にあるように、村上氏はまず入手できる限りの資料や情報を集めて徹底的に読み込んだ上で、顧客との話し合いに臨む。その後もうるさがられるくらい確認や催促をするという丁寧なプロセスにこだわり、業務を遂行するスタイルを貫いてきた。その根底にあるのは、プロとしてより良い製品をベストな状態で提供したいというエンジニア魂だ。
「前職では素材選びから材料の調達、試作品づくりからテスト、評価まで一連の流れを経験してきました。部品が1つ欠けてもクルマが完成しないように、当社にとってはお客さまが望む条件や情報がすべて。何が何でもお客さまを巻き込んで、お互いが満足できる結果になるよう努力しています」
決して完璧主義者ではないが、モノづくりに携わるエンジニアとして安易に妥協したばかりに後悔するような結果だけは絶対に招きたくないという思いが強い。
「こちらが真剣な姿勢と態度で臨むことで、我々のツールを十二分に活用してより良いクルマづくりに役立ててほしいという思いを伝えています。方法や策ばかりではなくて、強い意欲と熱意を持ってお客さまと向き合うことが大切ですね」
顧客とより良いパートナーシップを築いて、自社の製品にも自分自身にも高い評価と信頼を持ってほしい。次世代のクルマづくりを支える最前線で活躍するエンジニアにふさわしい、コミュニケーション方法の理想型がここにある。
+ 顧客とのコミュニケーションを成功させる 3step +
step 1 事前準備
入手できる限りの資料を集め、顧客の要望やニーズを把握。足りない条件や情報をピックアップし、想定される質疑応答をシミュレーション
step 2 提案当日
時には顧客と議論に近い雰囲気になるほど、望む条件や情報について細かく詰める。次回までに互いがやるべきことはその内容と期限をしっかり決める
step 3 フォロー
打ち合わせから戻ったらすぐ議事録や確認事項をメールで送る。期限までに入手できなかった条件や情報は、入手できるまでしつこく催促する
● situation 01 顧客編
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プロとして最高の製品を提供すべく必要な条件と情報はすべて入手する
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● situation 02 部下への指導
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● situation 03 転職面接
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● situation 04 プライベート
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