どの道を選んでも、最後は「組織貢献」が求められる
主にIT業界向けの人材紹介で実績のあるキャリアプランネットワークの竹田勇孝氏がまず指摘するのは、国内企業と外資系とでは人材の能力やスキルに対する評価基準が大きく異なるということ。
「外資系はきっぱりと、その人のスキルをいくらで買うかという判断基準を持っています。その人が仕事を通してどれくらい自社のビジネスに貢献し、どれくらい利益をもたらすかという期待値を、待遇・報酬として提示します。一方、国内企業の場合には、これまでに培ってきた経験やキャリアの長さも考慮するという違いがありますね」
同じ傾向はエンジニアを中途採用するメーカーにも見られると、メイテックネクストの河辺真典氏は言う。
「特に国内企業は、裁量労働制や成果主義を導入していても、大手ほど依然として年功序列的な人事評価制度がある。転職希望者にアドバイスするのは、『32歳前後』というボーダーラインで、業務や製品のマネジメント経験は当然だということ。さらに、人や組織のマネジメントの経験があるか、または自身のミッションとして遂行していくことが求められるという点です」IT業界でもプロジェクトはもちろん、人や組織も含めたマネジメント経験の有無は、大手や中堅・中小を問わず企業側が重視するポイントになる。
「大手の場合は、PLやPMとして活躍できる人材は当然、その後のキャリアアップの方向として人や組織を統括していくことを求められる。さらに中堅・中小やベンチャーでも少数精鋭、ギリギリの人員で経営しているところが多いので、経営面や総務・人事面でも手を発揮してくれる人材ほど優遇される傾向はあるでしょうね」(竹田氏)
IT業界、モノづくり業界で共通しているのは、エンジニア自身の技術力やマネジメント能力を持って自社の成長に貢献する人が高年収を得られるということだろう。エンジニアの場合、若手のうちなら知識や技術を身に付けて意義あるスキルアップが“稼ぐ技術者”への一つの道といえる。しかし、30代から40代、50代へとキャリアを重ねていくにつれて、経験やノウハウを活かして若手を育成して組織全体のステップアップに貢献していくことが求められるだろう。
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