ASPとは、「アプリケーションサービスプロバイダ(Application Service Provider)」の略。1998~1999年ごろ欧米で登場しました。
ASPIC(特定非営利活動法人ASP・SaaS・クラウド コンソーシアム)の定義では、「特定及び不特定ユーザーが必要とするシステム機能を、ネットワークを通じて提供するサービス。あるいは、そうしたサービスを提供するビジネスモデルのこと」となっています。
WEBページにスクリプトと呼ばれる簡単なプログラムを埋め込み、ページを閲覧した人の指示に沿って、ページを生成、処理結果を送信します。利用者はサービスの利用状況に応じて、利用料金を支払います。
ASPの利点はなんといっても、サービス導入の障壁の低さ。あるサービスを利用したいと考えたときに、自前で構築するには膨大な費用や時間がかかります。その点、ASPであればすでに構築されたシステムをネットワークを介して導入し、利用料金を払うだけなので手軽に導入できます。
SaaSとASPはどう違う?
ところで、「SaaS」という言葉はご存知でしょうか。SaaS(サース)は、Software as a Service(サービスとしてのソフトウェア)という意味で、最近よく耳にするようになった「クラウドコンピューティング」の1つです。クラウドサービスは、「SaaS」、「PaaS」、「IaaS」の3つに分類されます。
SaaSは、パソコンにインストールする必要なく、WEBブラウザ上で閲覧・利用できるサービスのことをいいます。例えば、WEBメールやスケジュール管理のカレンダーなどがあります。こちらも、利用者はサービスの利用状況に応じて、利用料金を支払います。とすると、「SaaS はASPと一緒じゃないの?」という疑問が浮かぶかもしれません。
本来、ASPはインターネットを経由して、アプリケーションをユーザーに提供する仕組みやサービスの事業者を指します。一方、SaaSはそのソフトウェアそのもののことです。しかし、実際のところ日本では、どちらも同じ意味合いで利用されていることが多いようです。
SaaSはASPの進化版
ただ一点両者が異なるのは、ASPはユーザーごとにシステム環境が構築されている「シングルテナント・アーキテクチャ」であるのに対し、SaaSは複数のユーザーが同じシステム環境を共有している「マルチテナント・アーキテクチャ」であることです。
マルチテナント・アーキテクチャでは、サーバー、データベースなどのリソースを複数のユーザー間で共有することで、サーバーやデータベースの運用や保守、アプリケーションのバージョンアップなどのコストを削減することができます。こうした点から、SaaSはASPを一歩進化させたものとみてよさそうです。