仮想化とは、1960年代に提唱された技術ですが、メジャーになったのは2000年代になってからです。近年、ハードウェアが高性能になりサーバの処理能力が飛躍的に向上した反面、リソースの余剰が増えています。仮想化では、コンピュータのプロセッサ、メモリ、通信回線などのリソースを抽象化し、物理的な構成に頼らないことでリソースを柔軟に利用できます。
現在、仮想化技術の中でもっともポピュラーなのは、サーバの仮想化です。1台のサーバハードウェア上で複数のOSを動作させます。本来OSは、CPUやメモリ、HDDなど、ハードウェアに完全に依拠して動作をするので、理論上では1つのハードウェアで複数のOSを動作させることはできません。
この不可能を可能にしているのが仮想化ソフトウェアで、OSが動作するために必要なCPUやメモリ、HDDなどをコピーしハードウエア上で見せかけの再現をすることで、複数のOSが競合しないようにして仮想化を実現しています。
リソースを柔軟に割り当てることで、処理のピークを分散化し、効率を高めることができます。そのサーバのほかに、ストレージの仮想化やデスクトップの仮想化、ネットワークの仮想化などもあります。
仮想化で得られるメリット4つ
仮想化で得られるメリットには、以下のようなものがあります
・リソースの有効化
余ったリソースを複数のOSに分配することで、有効活用できます。稼働率の低いサーバを統合することで運用を効率化します。
・省コスト
複数のサーバを導入すると、それだけ導入コストが発生しますが、仮想化であれば1台のサーバで複数のOSを動かすので、コストを削減できます。
・障害に強い
複数のOSは完全に競合しないため、1台に障害が発生しても、他の仮想マシンに影響することはありません。
・旧世代マシンの有効活用
最新のサーバマシン上に旧世代の既存サーバソフトウェアを稼働させることで、パフォーマンスが向上できます。
仮想化はクラウドを支える技術
最近よく聞くIT用語に「クラウドコンピューティング」というものがあります。クラウドコンピューティングは、ネットワークを介して世界中のユーザが同じサーバにアクセスしサービスを利用します。Googleの提供しているストレージサービス、Salesfoceなどがこれにあたります。そして、このクラウドコンピューティングを支えているのも仮想化技術なのです。
クラウドでは、不特定多数のユーザからのさまざまな要求に対し、柔軟かつスピーディーに対応しなくてはなりません。そのため、システムの負荷・リソースの効率化がより求められるクラウドでは、ハードウェアの余剰リソースを分散させ効率的に利用する仮想化技術が欠かせないのです。