UNIX(ユニックス)は、1968年にアメリカAT&T社のベル研究所で開発されたOS(オペレーションシステム)です。C言語という汎用性の高い言語で記述されているため、ハードウェアへの移植性も高く、ネットワーク機能や安定性に優れ、セキュリティー強度が高いことで知られています。
また、UNIXは開発当初から、1台のコンピュータを複数の人間で同時に使用するマルチユーザー/マルチプロセスのオペレーティングシステムとして設計されました。
そのため、学術機関や企業の研究所などを中心に広く普及しており、データベースなどの大規模なアプリケーションソフトが豊富なことから、企業の基幹業務用のサーバとしても多く採用されています。
UNIXは学術機関やコンピューターメーカーによって独自の拡張がなされたため、様々な派生OSが存在します。オープンソフトウェアOSであるLinuxも、UNIXを参考として1991年に開発されました。
こうしたUNIX風のシステム体系を持ったOSを総称的にUNIXと呼ぶことも多くあります。しかし、現在公式にUNIXを名乗れるのは、UNIXの商標を管理する団体The Open Group(オープン・グループ)よりSingle UNIX Specification(SUS:UNIXを名乗ることができるOSの標準規格)を満たすことの認証を受けたOSのみです。
UNIXとWindows、その違いは
UNIXは、例えばマイクロソフトのWindowsと同じOSです。OSはコンピュータを動かすためのソフトウェアで、基本ソフトともいいます。
しかし、両者の間には決定的な違いがあります。それは、Windowsが主にマウスによってアイコンやメニューといった図形を操作し、要求を実現していくGUI(Graphical User Interface:グラフィカルユーザインタフェース)と呼ばれる方式をとっていることです。これは視覚的で直感的にイメージしやすいため、操作方法の習得が比較的容易です。そのため、コンピューターの技術者ではない一般の人々にも普及させやすいといえます。
一方UNIXは、CUI(Character User Interface:キャラクタユーザインタフェース)という、キーボードで入力を行い出力される文字(コマンド)中心で、UNIXを操作するためにはコマンドを覚える必要があります。ただし、CUIはGUIに比べて、複雑な操作を行ったり、それらを連続して処理させるといった操作が簡単に行えます。また、CUI のシステムは比較的ハードウェアの性能が低くても動くことができます。
実際、インターネットを始めとする世の中のコンピューターネットワークを支えている仕組みは、基本的に CUI ベースのソフトウェアで構成されています。
開発当初からその根本的な思想は変わらず
UNIXは、Windows やMacintosh もまだこの世に出ていない1970年代に登場しました。新しい技術が追加されることはあっても、当時から現在まで、UNIXの根本的な思想はほとんど変わっていません。これは、変化の速いソフトウェア業界では、驚くべきことです。
それだけ開発当時からのUNIXの思想が優れているという証でしょう。