HTML5(エイチティーエムエル・ファイブ)は、Webページを記述するためのマークアップ言語であるHTMLの15年ぶり5回目の改定版です。これまでの4回の改定に比べ、大幅にパワーアップしたとして注目を集めています。
HTMLが誕生したのは1990年頃で、まだインターネットが黎明期の時代です。HTMLで記述されたWEBページを閲覧できるブラウザの開発により、インターネットは爆発的に普及していきます。この当時、ブラウザはNetscape Navigator(ネットスケープ ナビゲーター:ネットスケープコミュニケーションズが開発していたウェブブラウザ)とInternet Explorer(IE)がそれぞれの覇権を競って、熾烈な戦いを繰り広げていました。
2005年ごろから、インターネットではインタラクティブ(双方向)性の高いサービスが志向されるようになります。ここで大きな役割を果たしたのがJavaScriptです。また、この頃からWEBの標準化(Webブラウザをはじめとする閲覧環境に依存せず、どのような環境においても同様の表示・表現を行うことができる技術)が叫ばれるようになりました。
次いで、大きな潮目となったのがスマートフォンをはじめとするモバイル端末の登場です。スマートフォンに搭載されたブラウザでは、Flash (フラッシュ:Adobe Systems社による、音声や動画、を組み合わせたWebコンテンツ)、Silverlight (シルバーライト:Microsoft社のWebブラウザ拡張機能。Webブラウザ上で動画やアニメーションを再生可能)と言ったの動画の再生などに必要なプラグインに対応していない反面、2004年ごろから策定が始まっていたHTML5への対応は進んでいました。
WEBブラウザでは、最大のシェアをもつIEがHTML5対応に消極的だったこともあり、HTML5はスマートフォン専用ページの開発技術として注目を集めるようになりました。
HTML5が優れている2つのポイント
HTML5が従来のバージョンに比べて大きく優れている点は、以下の2つです。
1.今まで複雑だった処理が簡単にできる
2.HTMLを構造的にすっきりと記述することができる
1.については、例えば画像の埋め込み。これまではJPEGやGIFといった画像ファイルを用意しなくてはいけませんでしたが、HTML5でcanvasタグを定義すれば、図形の描写を自由に行うことができます。
また、動画や音声データなどのマルチコンテンツメディア(動画・音声・静止画・文章などを組み合わせたマルチメディアタイトルを作成するための素材)に対する利便性も圧倒的に高まりました。以前はFlash、Silverlightなどのプラグインでしか実現できなかった動画の再生やベクター画像の取り扱いが、HTML5ではブラウザのみで実現できるようになりました。そのため、プラグインのインストールやアップデートの手間がなくなり、プラグインがないモバイル端末でも同じようにWEBを利用することができます。
2.については、doctypeタグ(その文書がどのバージョンのHTMLで、どの仕様に従って作られているのかをブラウザに伝えるためのタグ)、metaタグの一部、linkタグ、styleタグ、scriptタグなどの記述が簡素化されたこと、加えて要素の定義の見直しや要素の追加などがあります。
他にもvideoタグのサポートで簡単に動画を公開できるなど、これまで制作側が苦労していた箇所をHTML5ではあらかじめ実装されたり、見直したりしたといえます。
WindowsXPのサポート終了とともに、HTML5も普及する
2014年、長らく普及していたWindowsXPがサポートを終了したことが大きな話題となりました。XP搭載のPC(パーソナルコンピュータ)ではHTML5に非対応のブラウザである、IEバージョン6、7、8が主に使われていたため、サポート終了とともにこれらが急速にシェアを落とすことで、HTML5のシェアも高まると予想されます。
WEB開発の現場ではHTML5が当たり前、という時代はすぐに訪れるでしょう。