2018.03.20
有名クリエイターが語るメディアの未来【動画付き】
ゲームクリエイターのイシイジロウ氏とバラエティプロデューサー・角田陽一郎氏が、テレビやゲームの未来を語る中で行き着いたのは、「現代は全てのビジネスの幕末である」という結論。その言葉が意味するところとは?対談最終回は、二人が思い描く業界の未来像を探る。
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【プロフィール】
ゲームクリエイター、原作・脚本、映画監督
イシイジロウチュンソフト(2000年入社)、レベルファイブ(2010年入社)において、主にアドベンチャーゲームのシナリオ・監督・プロデュース、ディレクションを務めた後、2015年に株式会社ストーリーテリングを設立。アニメシリーズ「モンスターストライク」のストーリー・プロジェクト構成を担当した他、映画監督や舞台原作など、活躍の場を広げている
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バラエティプロデューサー
角田陽一郎1994年、TBSテレビに入社。TVプロデューサー、ディレクターとして「さんまのスーパーからくりTV」「中居正広の金曜日のスマたちへ」「EXILE魂」など、主にバラエティ番組を制作。2009年にはネット動画配信会社goomoを設立し、2016年にTBSを退職。現在もバラエティプロデューサーとして活躍中
流行を作り上げたクリエイター予想する、業界の未来
――今回は、お二人が活躍されているゲーム業界、テレビ業界が、それぞれ今後どのように変化していくかという予想を聞いていこうと思います。まずイシイさん、ゲーム業界は今後どのようになっていくと思いますか?
イシイ 今、スマホゲームの業界では『Fate/Grand Order』というアプリが『モンスターストライク』と一位二位を争っているんですよ。『Fate』というのは、10年以上前に登場したPCゲームなのですが、当時のPCゲーム業界の中では大ヒットだったんですね。それが今、市場規模がさらに巨大なスマホゲームで成功しているんです。
さらに、『Fate/Grand Order』は小説のようにストーリーを読み進めていくのですが、人気の作家さんがストーリーを担当しているんです。その方の新作がスマホで読めて、しかも同時にゲームも楽しめる。これが、従来のスマホゲームと違うところですね。
これまで、オリジナルストーリーが生まれる場所は決まっていました。小説やマンガがそれですね。それが今後、演劇やゲームでも可能になっていくと思います。
――角田さんは、今後のテレビ業界はどのように変化していくと思いますか?
角田 今後はテレビとネットの戦いになる思うんですが、テレビ局側はまだ気付いていないんですよね。テレビ局は、まだテレビ局同士でシェア争いをしている。ですが、全てのモノが競合になり得るはずなんです。スマホ、ゲーム、映画、テーマパーク、友人との食事……テレビを視聴する時間に置き換わる全てのものが競合ですよね。ネットの業界には、すでにその発想があるように思うので、テレビ局にもそういう思考があれば戦っていけるのではないでしょうか。
私は「面白原理主義」と呼んでいるんですが、面白ければいいじゃん、という考えを持っています。面白ければテレビでやろうが、ネットでやろうがかまわない。ですが、テレビで面白いものを作ろうとすると、いろんなしがらみが出てきて面白くならないというジレンマもあるのかなと思います。なので、今は幕末なんです。調子が悪いのを不況のせいにしていますが、違うんですよ。情報革命やIT革命は黒船がやってきて、革命が起こっている真っ最中だと言うことに気付くべきですね。
変革期だからこそ「リアル」な体験を
――最後に、お二人の今後の展望を聞きたいなと思います。
イシイ やることがたくさん残っているので、淡々とやっていくって感じですよね。さっき角田さんが言っていたように、次々と新しいものが出てきて変化しているからこそ、新しい物語の作り方が、まだたくさんあると思います。
――続いて、角田さん今後の展望をお願いします。
角田 TBS辞めた時、「何で辞めたんですか?」と聞かれたら「TBSが好き過ぎて」って答えていたんです(笑)でも最近は「身体性を取り戻したいから」って言っているんですよ。自分で時間を割いて体験しないと、リアルな発想は生まれないな、って。今まではテレビ局の中でバーチャルに物事を考えることが多過ぎた。なので、会社というフレームワークの外に出て、もっとリアルな体験をして、かたちにしていきたいと考えています。
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※このコンテンツは、2017年にtypeメンバーズパークに掲載された動画を新たに記事化したものです。
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