2018.03.10
今のリーダーに足りないもの【動画付き】
各業界の「異端児」という共通点で集まった3人の、行動の軸となるポリシーとは何か。会社や環境などに依存して生きるのではなく、自分で生きていける状態になるとはどういうことなのか、今求められるリーダー像について語る。
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【プロフィール】
freee株式会社 代表取締役
佐々木大輔一橋大学在学中にスウェーデンへ留学。卒業後は博報堂へ入社し、マーケティング・PEファンド業務に従事。株式会社ALBERT、株式会社Googleを経て2012年7月にfreee株式会社を設立。企業のバックオフィスを効率化するサービスを提供している
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“MC型”教師/小学校教諭
沼田 晶弘東京学芸大学教育学部卒業後、インディアナ州立ボールステイト大学大学院で学び、スポーツ経営学の修士を修了。同大学職員などを経て、2006年から東京学芸大学附属世田谷小学校教諭へ。児童の自主性・自立性を引き出す斬新な授業が読売新聞に取り上げられて話題に
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株式会社麺屋武蔵 代表取締役
矢都木二郎「革新的で上質」なラーメン店作りを目指しコラボレーション商品も多数提案。ロッテ、獺祭をはじめ、自治体などとも幅広くコラボして斬新なラーメンを生み出す。職場環境・待遇の改善にも積極的で、「料理ボランティアの会」を通じてのボランティア活動などにも取り組んでいる
「異端」とは「先駆者」であるということ
――各業界の「異端児」という共通点でお集まりいただいたわけですが、実際、皆さんはご自身のことを異端児だと感じていらっしゃいますか?
沼田 普段から企業の方ともよく関わりますし、私のクラスの子どもたちは自分で企画書も書く。それって普通の社会人と一緒ですよね。小学校教諭としては異端なのかもしれないですが。
矢都木 私はとにかく新しいことをやりたいと思っているので、誰かの真似は絶対にしたくないんですよ。逆に、真似されたいんですよね。50年後、100年後にラーメン業界の年表があったとしたら、そこに載っている名前を麺屋武蔵だらけにしたいです。
佐々木 その気持ち、わかります。「これは自分たちから始まった」って言われたいという感覚は私もありますね。
――では皆さん、大切にしている仕事のこだわりやポリシーなどはありますか?
佐々木 ユーザーの意見を聞くことはもちろん大切なのですが、それをそのまま実行するのが危険なこともある。なので私の会社には、「ユーザーにとって本質的に価値があるかどうか」と自分たちが信じられることを実行する、という方針があります。それを「マジ価値」と呼び、考えながら行動していますね。
沼田 私も佐々木さんに似ていると思います。教師は子どもに「これをやりなさい」と伝えることが多い。相手の受取り方によっては、「任されている」とも「やらされている」とも感じられてしまいますよね。「任されている」のも「やらされている」のも、実際には同じことなんです。それでも、子どもたちに「任させているんだ」と感じてもらえるように、毎日全員と交換日記して生徒たちの感じ方を知っていこうと思っています。
矢都木 やらされている仕事は楽しくないですからね。自らの意志で仕事するっていうマインドを持つことがテーマだと思います。
他業界からの意見に耳を澄ませよ
――皆さんには、影響を受けていたり尊敬している異端児の方はいますか?
佐々木 私はAmazon創業者のジェフ・ベゾスですね。Amazonは、単なるeコマースっていう枠を超えて、お客さんがベネフィットを得られるためのクリエーティブなやり方を全て実現している会社だと思うんです。
沼田 私が最近すごいなって思ったのは、新任の先生のこと。1年生の生徒たちが書く朝顔観察の作文に、インタビューの形式を取り入れていたんですよ。朝顔にインタビューした、という設定で「種はどんな形ですか?」「種は丸いんだよ」といった構成になるのですが、見てみるときちんと観察できている。いいこと考えたな、と思いましたね。
――身近なところにもいるんですね。矢都木さんはどうですか?
矢都木 スマホで世界を変えたスティーブ・ジョブズですね。彼は細部にまですごくこだわるんですよ。作り込みが全然違う。スマホとラーメンで物は違えど、作り込む作業は大事だと思っています。
業界をけん引する力の正体とは?
――まず一つは、会社や環境などに依存して生きるのではなく、自分で生きていける状態になること。もう一つは、理想像があるのであれば、近しい人となるべく触れ合っておくこと。それによって、自分の考え方の基準が少しずつ変わってくるんですよね。
沼田 いろんな業界の人と話していると、自分の知らない話が聞けるので楽しいですよね。同じ業界の人といても、同じ話しかしなくなってしまうので。違う業界の人からの意見は、すごく刺激になったりするんです。
――皆さんが思う、今いる社会のリーダーたちに足りないことはなんだと思いますか?
佐々木 ユーザーが今欲しいと思っているものをそのまま作るだとか、他社がやっていることに追従するようなことから一歩外れて、独自の世界観を構築しづらい環境があるのかもしれないですね。ゼロから新しいアイデアを作り出すわけじゃなくても、新しい考え方を持ち込んだだけでもイノベーションになることはある。それは、ユーザーニーズや他社事例からは出てこないことですよね。
沼田 今の社会のリーダーは、ある程度年齢を重ねていて、自分より下の世代の人たちを自分の若い頃と比べますよね。ですが、今の時代は自分たちの頃と違うっていうことを理解してあげないといけないのかなと思います。大先生と言われている方々の十数年前の映像を流して「伝説の授業」と言われても、「それは伝説ではなく古典だよ」と、私は思うんですよね。
矢都木 うちでいうと店長たちがリーダーにあたるんですけど、よくやってくれてるんで足りないことはないと思います。ただ、チームメイトとなるスタッフにはいろんな人がいるので、変化に対応することが大切ではありますね。
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※このコンテンツは、2016年にtypeメンバーズパークに掲載された動画を新たに記事化したものです。
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