全体最適の視点を持てば、世界が変わる~「私はこんなに頑張ってるのに」という不満を取り払うには【連載:太田彩子】
「営業部女子課」主宰 太田彩子女性営業を応援するコミュニティ「営業部女子課」主宰。早稲田大学法学部卒業後、リクルート『Hot Pepper』創刊期にメンバーとして携わり、営業として数々の社内表彰制度に表彰されたのちに起業。「女性営業の人材育成」や「女性の働き方」を専門とし、女性営業プロジェクトやダイバーシティプロジェクトの立上げ・企画支援を精力的に行う。「1億売るオンナの8つの習慣」(かんき出版)や「成功できる人の営業思考」(PHPビジネス新書)など
「営業部女子課」主宰の太田彩子です。
視野が狭まり、自分に余裕がなくなってしまうと、どうしても自分視点でしか物事を見ることができなくなります。しかしながら、仕事を続けていく上では、より全体的な視点で物事をとらえることが必要になってきます。
ワンランク上の視点で物事を考察し、俯瞰するように全方位的に確かめてみる「全体最適」の視点を持つことで、日々の業務がよりうまくいくようになります。
今回のテーマは、「全体最適の視点を持てば、世界が変わる」です。
自分視点だけの仕事には限界がある
例えば、「これなら絶対に顧客に喜ばれる!」と自信を持って提案した企画が、上司に否決されたとします。本人としては「顧客に支持されているのになぜ?」と疑問や不満を抱くかもしれませんが、これはあくまで、自分や顧客の視点で物事をとらえた「部分最適」でしかありません。
同じ企画を、会社や経営者的な視点から、より広く俯瞰して見てみると、「効率が悪い」、「費用対効果が低い」、「極端に赤字続きのプロジェクトである」など、何らかの問題点が浮かび上がってくることはよくあることです。
実際に先日、ある企業のプロジェクトで女性社員側から経営者に対して「女性活躍を進めるために」というテーマで発表してもらいました。しかし、経営者側の評価は散々。理由は、発表内容が、会社に「●●してください」というお願いばかりで、自分たち側からの自発的な行動変革がなかったからです。
確かにごもっともなことで、取り組み内容の役割分担は必要ですが、自分たちの行動を棚に上げて相手に要求するばかりではうまくいきません。その後、もう一回プレゼンの機会があり、今度は「経営者側から見ても納得いくように、全体をつかんだ上で、私たち社員は何を変えていくか、そのために経営者にはどのような支援をしてほしいか」に切り替えました。
結果、評価はうまくいきました。全体をつかんだ上での発言は、単なる感情論で終わることのない論理が生まれるのです。
人は、今取り組んでいる物事の目の前、つまりは自分の足元だけを見て、何かを判断したり、一喜一憂しがちですが、そういった自分視点だけの仕事しかできていなければ、物事の全体を良くしていくことはできません。
自分視点から全体の視点へ、より広いレンズで世界を眺めることができれば、世界が変わって見えてきます。
会社というチーム全体をよくするためには?
仕事というのは、決して自分1人でしていることではありません。強い当事者意識を持って、がむしゃらに個人の業務で成果を達成したとしても、部署や会社といったチーム全体がうまく回っていなければ、無理や無駄が生じたり、生産性が悪くなったりする事例はたくさんあります。
会社というものは、利益を上げて成長しなければ生き残れませんから、「自分1人だけがいい」論理はNGです。自分のアウトプットするパフォーマンスを最適化することは大切ですが、同時にチーム全体をも俯瞰した調整が必要なのです。
例えば、今働いている職場にて、自分の役割について明確に把握していない場合があります。そうすると、自分のしている仕事そのものに対してモチベーションが下がり、「私が今やっている仕事は本当に意味があるのだろうか?」と不安を抱くようになります。
そんなときは、遠慮なく上司や先輩、経営者に聞いてみてはいかがでしょうか? 組織の中でも自分の存在意義、どう組織に貢献できるのかを尋ねてみるのです。
自分1人の視点では狭くなってしまいがちな見方を、上層部から教えてもらうことで、視界が広がります。
自分が取り組んでいる業務が、そして自分のいるチームが、部署や会社全体において、どんな意義や役割を担っているのか? 全体のミッション達成に向けた中で、自分の業務はどんなアウトプットを提供できるのか? 全体との関連を意識すれば、見えてくる世界が変わり、プレーヤーとして自分がどう動くべきか、自ずとベストな選択が導き出されるはずです。
ワンランク上の立場で考える癖をつける
とは言っても、個々の業務に追われる日々の中で、いきなり全体の視点を持つことは、なかなか難しいことかもしれません。
そんな方に、私は、何か物事を判断するときに、例えば自分が平社員であれば「係長だったらどういう判断を下すだろう?」と考える癖をつけて下さい、とお話しています。つまり、何か意思決定するときは、今いる自分のポジションよりも、ワンランク上のポジションの立場だったら、どうなるのだろう? と考えるのです。
自分が課長であれば、部長だったらどう考えるだろう? 部長であれば、社長だったらどう考えるだろう? という風に、自分よりワンランク上の立場から、全体を見渡して考えると、それまで気付かなかった物事の一面に気付き、それまでうじうじと悩んでいたことが、実はたいした問題ではないと気付くことも少なくありません。
もし想像できないのであれば、直接相談してみるのも良いですし、普段はチャレンジしないそのポジション向けの本を読んでみてイメージするのも得策です。
自分だけが正論を振りかざすのではなく、全体を見渡して決めていくのです。この全体最適の考え方を、早いうちから仕事に取り組むことで、周囲との人間関係の円滑に寄与することはもちろん、自分が目の前の仕事に対する姿勢や働くモチベーションが、驚くほど変わってくるものです。
構成/井口啓子
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公式HP:営業部女子課: http://eigyobu-joshika.jp/
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