キャリア Vol.48

未来の奥さんにダメ出しされないために!? 今こそすべき男の“任活”

共働き夫婦が一般的となっている現代の日本社会。家庭を大事にするイクメンこそが、21世紀の理想の男性像ともうたわれがちな昨今だが、正直、自分が今すぐ目指せるかと言うと難しい気がしてしまう人も多いのでは? 例えば、最近話題の「妊活」も、女性だけの問題じゃないと分かりつつも、いざそのときになるまで「何も考えていないだけ」というのが大半だろう。でもいつかは結婚してハッピーな夫婦になりたい! そのために、男性は今、何を考え実践していけばよいのだろうか?

男がいきなり妊活するのは正直ハードルが高い
だからこそ若いうちから「任活」を!

そのヒントとなりそうなのが、最近巷で広がりつつある「任活」なる言葉だ。2015年2月17日に行われたイベント『“妊活”を知ろう、考えよう、ぼくたちの“任活”座談会』には、女性向けサービス『ルナルナ』を運営する株式会社エムティーアイと『みんなのウェディング』の男性社員約20名が参加し、盛り上がりを見せた。

未来の奥さんにダメ出しされないために!? 今こそすべき男の“任活”

女偏の「妊」ではなく人偏の「任」? 見慣れない字面だけれど、はたしてその意味は?

このユニークな新語の提唱者で、イベントの企画者でもあるissue + designの小菅隆太氏に「任活」という言葉が目指す世界について聞いてみた。

未来の奥さんにダメ出しされないために!? 今こそすべき男の“任活”

issue+design
小菅 隆太(こすげ・りゅうた)氏

1998年大学卒業後、自動車ディーラーを経て、2000年ディー・エヌ・エーに入社。その後、人材派遣業などを経て、2010年独立。issue+designの広報のほか、日本愛妻家協会主任調査員、群馬県嬬恋村観光大使といったさまざまな顔を自在に使い分け活躍中

「今の妊活のトレンドを見ていると、やっぱり女性が孤独に頑張っているという場合が多いのではないでしょうか。しかし、妊娠と聞くと、どうしても他人事のように感じてしまうのが男の本音。もっと言えば、『妊活』という言葉の持つ負荷の大きいイメージにちょっぴり腰が引けてしまう男性も少なくないかもしれない。これを解決するために、まずは男性が主体となっていつでも女性をリードしたり、サポートできるようになりたい。そして妊活も男性自身が自然と自分ごとととらえられるようになってほしいと思って生み出したのが、この“任活”という言葉です」

よく「男性が女性を“手伝う”とは、そもそも平等じゃない!」という意見もあるが、小菅氏自身もそこに対する課題意識は強い。

「こういうテーマを語ろうとすると、女性に優しくだとか、女性が活躍するために男性はここを我慢すべきだといった傾向が強い。もっとお互いに寄り添って尊重しながらパートナーシップを築いていくのが、僕たちの掲げる“任活”なんです」

夫婦やカップルが互いに何かを任し任され合う関係づくり

では、その“任活”とは具体的にどんなものなのだろう。女性を思いやっての行為が怒りの逆噴射を招いたというケースに心当たりのある人も多い気がするが……。

「よくあるのが『お皿洗っておこうか』など許諾を求める一言。たとえ男性に労わりの気持ちしかなかったとしても、女性はその言葉に“やってあげよう”というスタンスを見てカチンときてしまうんですね。“任活”のテーマは、夫婦やカップルが互いに何かを任し任され合う関係づくりというものです。男性は子どもを産むことはできない分、別の何かを相手から任せてもらおうというシンプルな考え。妊娠や家事に限らず、デートプランの決め方もお互いに任せあいましょうよ、と」

任せるという行為そのものを、パートナーシップを築くコミュニケーションツールにしていきたいというのが小菅氏の考えだ。先ほどの失敗談もほんの少しの心がけで劇的に変化するという。

「小さなことですが、『お皿洗っておくね』と語尾を“~~ね”に変えるだけで、ぐっと主体的な印象になります。そうすると女性側も『ありがとう』と言いやすくなりそうだと思いませんか? 結局僕たち男性もご褒美がなければ続かないし、感謝をされたら気持ち良くなりますよね。大事なのは素直さと可愛げ。今までより少し素直に、今までより少し可愛くコミュニケーションをとることで、男女のパートナーシップに男性主体で新しいムーブメントを起こせたらと思います」

そもそも100点満点の男は求められていない!?
パートナーとの関係は、肩肘張らずにのびのびと

今はまだ独身でバリバリ働いている世代でも、30代にかかるころには結婚する男性も多いだろう。理想の夫婦像を築くため、今からできる任活の第一歩はどんなものだろうか。

「『今日の仕事はどうだった?』なんていう何気ない会話を大事にすること。それが一番です。実践してみてほしいのが、お互いに何をされたら嬉しいのかを確認し合うこと。夫婦間でよくあるすれ違いが、男性は率先してお風呂掃除や料理をしているけど、実は女性側はそんなことは別に大してありがたいとは思っていなくて、それよりも使った食器を水につけておくことの方が何倍も嬉しいなんてこともある(笑)。まだ生活を共にしていなくても、お互い何をされたら嬉しいかが分かり合えるだけで、二人の関係はぐっと良くなると思います」

決して無理をせず、一生懸命にならず、自然体でニュートラルに実践していくのが、“任活”のコツ。

「そもそも家事も育児も何でもできる100点満点の男性を、女性も求めているわけではありません。僕だってこんなふうに常日頃からいろんな人に夫婦関係や子育てについて話をしていますが、ちっとも完璧なんかじゃありません(笑)。夫婦関係ほど難しいものはない。ゴールがないからこそ面白いって思えるくらいが、ちょうどいいんじゃないでしょうか」

カップルや夫婦のカタチは人それぞれ。だから一律にこうあるべきという“任活”のカタチはないのだ。

彼女や奥様のいる人は今夜帰ったら、一緒に晩酌でもしながら「何をされたら嬉しい?」なんて聞くところから始めてみるといいかもしれない。

取材・文/横川良明 撮影/柴田ひろあき

information
“妊活”を知ろう、考えよう、ぼくたちの“任活”座談会』
“妊活”を知ろう、考えよう、ぼくたちの“任活”座談会』
イベント協力: 株式会社エムティーアイ「ルナルナ」 
http://pc.lnln.jp/PC/index.html
株式会社みんなのウェディング
http://www.mwed.jp/
「社会の課題に、市民の創造力を。」issue+design
http://issueplusdesign.jp/
※次回開催予定は未定

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