スキルアップ Vol.340

メンタルヘルスコンサルタントに聞く、営業マンがプレッシャーとうまく付き合う方法とは?

メンタルヘルスコンサルタントに聞く、営業マンがプレッシャーとうまく付き合う方法とは?

From セールスハックス
※この記事は2016/6/10にセールスハックスに掲載された記事の転載です

新年度になり、気持ちを新たに仕事に取り組んでいる方も多いのではないでしょうか?

ですが、頑張るということは同時にプレッシャーを感じるということでもあります。

そんなプレッシャーと上手に付き合う方法をビジネスメンタルコーチの岡田法悦さんに伺いましたのでご紹介します。

営業マンの世間のイメージと実際のギャップとは?

私の企業研修プログラムを売ってくださっている営業マンの方と一緒に、客先を訪問させていただくことがあるのですが、彼らの仕事を見ていると、営業というのは大変な仕事だなぁと、つくづく思います。

好意的な態度で接してくれる担当者もいますが、時折、「何様だ!」と腹が立つほど横柄な担当者に出会うこともあります。

あまり営業という仕事に馴染みのない方は、営業マンはお客様にゴマをすって、うまく取り入って、場合によっては相手を丸め込んで商品を売りさばくようなイメージを浮かべるかもしれません。

でも、それはずいぶん古いイメージだと言えるでしょう。実際の営業マンはそんなことはなく、自社商品の説明やプレゼンを真面目に行い、誠意を持ってお客様のニーズに応えようとしているのです。

このように一生懸命仕事をしている営業マンのプレッシャーは、大きく分けて2つあると考えられます。
1つ目は数字のプレッシャー、2つ目は人間関係のプレッシャーです。

(1)数字のプレッシャー

売り上げという自社からの「must」と、お客様の「もっといいものをもっと安く」という「want」の板挟みという形で数字のプレッシャーにさらされていることでしょう。

また、多くの場合、会議をしたり、企画書を書いたり、そういった業務をすべてこなした上で、期末までに数字をあげないといけなかったり、より多くのお客様を訪問しなければならなかったりなど、時間との戦いも付随しています。

これらを考慮すると、数字だけでなく、時間のプレッシャーも同時にかかっていることは想像に難くありません。

(2)人間関係のプレッシャー

お客様といい関係をつくろうとしても、偉そうだったり、理解力に乏しかったり、上司の指示を仰がないと何も決められなかったり、昨日言ったことと今日言うことがまるで違っていたりなど、担当者に問題があることがあります。

その上、会社に戻れば、厳しい上司や頑固な関連部署を説得する仕事が立ちはだかることもあるでしょう。

「でも、これも仕事だから頑張るしかないか……」と思うと、気が重くなってしまいます。

プレッシャーをストレスにするのは、実はこの気持ちが原因です。

「これも仕事だから」と、プレッシャーを〝しなければならないこと〟に感じると、ストレスになってしまうのです。

「~しなければならない」という気持ちは、同時に人の心に「逃げたい」という気持ちを生み出します。

私の専門の心理学の分野(ゲシュタルト療法)では、「~しなければならない」を『トップドッグ』、それに抵抗する「でもねぇ…」という気持ちを『アンダードッグ』と呼んでいます。

この2つは、心の中で同じ力で押し合います。そして、その押し合いにもめげずに行動を起こさなければならない状態がストレスを生んでしまうのです。

まじめな人ほどストレスがたまる?

「~しなければならない」という『トップドッグ』とそれに抵抗する「でもねぇ…」という気持ちの『アンダードッグ』の2つの押し合いが強いと危険なのは、真面目な人です。

アンダードッグは「サボっちゃえよ」とか「いい加減にやっておこうぜ」とか、〝悪い〟声が自分に向かってささやくのです。

すると、真面目な人は『アンダードッグ』を無意識に閉じ込めて、意識にのぼらないようにしてしまいます。

声が意識に届かなくなると、『アンダードッグ』は身体や心の病気、仕事のミス、事故などの形で自己主張を始めてしまうことがあります。

2つの声の押し合いにエネルギーの全てを使い果たし、心も体も動かなくなるのがうつ病です。

ですから、自分の中に『アンダードッグ』がいることを認めてあげることが、ストレスを減らす最初のステップです。

プレッシャーを楽しもう!

営業マンは〝いい人〟を演じなければいけないと思っていると、それ自体が心の中の押し合いを生んでしまいます。

役割を演じるというのは、実は誰にとってもストレスなのです。ですから、素のままの自分でいることが、一番ストレスを低くすることに繋がります。

ですが、ストレスがゼロだと、人はモチベーションを保つことが出来ません。

仕事のエンジンをかけるには、適度なストレスが必要なのです。そのため、自分のモチベーションを上げるために、「must」のストレスではなく、「want」のストレスを持つといいでしょう。

「want」のストレスは、上司の顔を思い浮かべたり、今期の売り上げのことを考えたりするとしぼんでしまうかもしれません。

けれど、営業マンが扱う商品やサービスがいいものであれば、必ずエンドユーザーの喜びや豊かさを生み出すことが出来ます。

そして、さらには社会を便利にしたり豊かにしたりすることに繋がっていきます。

その結果を自分のゴールのイメージとして心に刻み、それを自分の「want」、つまり夢にすることが出来ると、目先のプレッシャーを楽しむ心の余裕を持つことが出来るでしょう。

「そんなの理想論だろ。現実はそんな単純じゃない」という『アンダードッグ』の声が聞こえてくることがあるかもしれません。

ですが、プレッシャーを楽しめる人は、単純な心の持ち主でもあります。そういった人は役割を演じず、素のままの自分で、プレッシャーを楽しむことも上手な人です。

ちょっとだけ開き直って、あえて単純に夢を追う自分でいてみるのもいいかもしれません。
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岡田 法悦 (ビジネスメンタルコーチ)
リーダーシップ、対人影響力、人間関係等、がんばっても、がんばってもうまくいかない時はブレーキとアクセルを同時に踏んでいるのです。本質的な自己変革は無意識のブレーキをはずすことから。それができるのは心の専門家です。30年のキャリアでサポート。
運営サイト:http://www.gestalt.co.jp/

※こちらの記事は『セールスハックス』より転載しております
>>元記事はこちら

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