「プライド」とか「やりがい」とかは、「どうでもいい」と言わざるを得ない――お悩み相談他２本 【連載：長谷川豊】

フリーアナウンサー 長谷川 豊フジテレビ出身のフリーアナウンサー。13年間、朝の情報番組「情報プレゼンターとくダネ！」で、現場取材やニュースのリポートを担当。ニュースプレゼンテーションのプロフェッショナルとして活躍。現在はアナウンサーだけではなく、講演・執筆など、多方面で活躍中
公式ブログ：http://ameblo.jp/yutaka-hasegawa/

さて、今週はお若い営業マン・ウーマンの方々のお悩みにお答えしようと思います。
前回も書いたのですが、私が悩み相談などおこがましい部分もあるので、まもなく40歳となる人生の先輩として、「こんな意見もあるのかあ……」という視点でお気軽に聞いていただければ。

【お悩み１】下っ端の仕事ばかりでつまらない。

憧れだったコンサルティング業界に就職できて２年経ちました。やっている仕事といえば、先輩たちの資料作りの下調べや会議の準備ばかりです。まだ自分の能力が未熟なのは分かっていますが、もっと「自分でやった」感が得られる仕事がしたいと思うようになってきて、モチベーションが上がりません……。
（26歳／男性／コンサルティング）

それはまた……難しい悩みですね……。と、言うのも、社会人で26歳ですと、基本的にはまだ何もできないことが当たり前ですから、じっと……勉強の時期だと思うのですが……。

僕、競馬の実況の仕事をしていましたが、毎週毎週、土曜日と日曜日、朝から晩まで１週も休まずに競馬場に通いました。やっと実況をやらせてもらったのは４年目の終わりでした。それでも上手になんてできなかったですが。その後もずっと勉強でした。ずっと訓練でした。憧れのＧ１レースの実況をさせてもらえたのは９年目の終わりでした。そんなものだと思うんですけれど……。

聞きたいのですが、質問者様は一人の仕事を任されて、バッチリできそうですか？ 学生さんではないのでそこに金銭が発生している以上、「失敗」は許されないですが、本当に大丈夫ですね？ まだ26歳ですよね？ 絶対にミスせずに十分なクオリティーが出せるコンサルが出来るんでしょうか？ できそうなら上司に直談判してみましょう。上司もやらせてくれるのではないかと思います。

株式会社に入社した以上、皆さんは個人ではなく歯車になります。会社がどう儲かるか、大事なのはそこだけで、皆さんにとってのやりがいがあるとかどうでもいいです。あるに越したことないですが、基本的には二の次です。それが社会人です。質問者様が上司よりも具体的に儲けを持ってこられるのであれば全く問題ないと思います。でもまだ26歳ですよね？ 一般論では結構きついと思います。それよりも、上司に資料を求められたら「史上最強の資料」を作ってあげてください。下調べを求められたら「史上究極の下調べ」をしてみてください。本気でやってみてください。結構気付けることが多いと思います。

【お悩み２】周囲から女だからと優しくされる、平等に扱ってほしい！

新卒入社２年目になったばかりの営業女子です。うちの営業部署は男性が多く、女性はとても少なく、そのせいか、自分は若い女性だからとちやほやされてる気がしています。同期の男性より怒られ方が優しかったり、徹夜もしないように言われます。気遣いはありがたいのですが、甘やかされてると周囲から見られるのではないかと思うとプライドが許しません！ 厳しくしてもらうにはどうしたらよいでしょうか？
（23歳／女性／メーカー）

先ほどの回答につながるのですが、質問者様のプライドとか、会社の中ではどうでもいいです。考え方を根本から変えてください。皆さんは株式会社の社員です。大事なことは「売り上げが伸びるかどうか」です。ほぼそれ以外、別にどうでもいいです。女性だからと大事にされようがされなかろうが、関係ないです。会社は別に『あなた物語』という物語の舞台でも何でもないのです。あなたは「会社の歯車」です。プライドとか余計なこと言ってないで、最高の売り上げを出してください。徹夜をしなくても、結果を出せば問題ないです。

で、質問者様はその良い環境の中で「最高の売り上げ」を出しているのでしょうか？ 他人が厳しくしようが、優しくしようが、それは重要なことではありません。厳しい環境がいいのであれば、自分が自分に対して厳しくありましょう。ほっといても厳しくされる人、優しくされる人は女でも男でもいます。それらは環境によって変化します。せっかくやりやすいであろう環境にいるのであれば、それを最大限利用して最大の結果を出しましょう。

ちなみに、徹夜をしないのは女の子は当たり前です。お肌に気を使いましょう。

【お悩み３】数字ばかり求められて顧客のためになっていない気がする。

売り上げのためには何でもしろ、という方針が嫌になっています。私はもっと顧客のためにどんなことをすればいいのか考えて提案したいのに、売り上げのためだから、と顧客にとって不要なオプションやサービスを付けて売っています。お客さんを騙しているのが本当に心苦しいです。
（28歳／男性／通信サービス）

それが営業の本筋です。

営業とはお客様をだますことが多い職業です。大したことのない商品をさも大したことがあるかのようにだましてノセて、売り上げを伸ばしていくことが営業の本筋です。営業という仕事には向き・不向きがあります。質問者様に営業職は合っていないように感じます。

結果論から言うと、質問者様のいらっしゃる営業部署はかなり「能力の低い」部署と判断できます。本来はそういう無理なことをしていても、目の前の数字だけが伸びるだけで、長い目で見ると数字は下がってくるはずです。そういうふうになっています。でも、それに気付けない上司さんがいて、数字ばかり言ってくるのですよね？ 僕なら完全に無視しますが、質問者様は大丈夫でしょうか？ 長い目で見てお客さまの利益にならないものは売らない方が最終的にはいいです。それも営業の本来の大事な仕事なのですが、その上司は自分が出世したいだけでしょう。あまりいい部署ではないと思いますけどね。ま、僕のよう
に直接のケンカとかはしない方がいいと思います。上手くやっていく方がいいでしょう。