「自分の成績さえ良ければいいと思ってた」22歳営業マンが転職して気付いた、“皆で楽しく働く”がもたらす効能
今回本連載に登場するのは、通信回線コンサルティング事業を行う株式会社Be Woodで営業職として働く高山和貴さん。「もっと人間関係やチームの雰囲気が良い職場で働きたい」という思いから転職を決断した20’sの一人だ。
実際のところ、転職によって入社時の給与は一時的に下がり、企業規模も前職より小さくなったが、Be Woodで働き始めて1年が経った今、「社風重視の転職をして本当によかった」と高山さんは誇らしげに話す。その理由は一体何だろうか。
「仕事自体は好きだけど、今の会社では続けられない……」21歳で“スライド転職”を決意
高山さんは高校卒業後、不動産の営業、食材宅配サービスのドライバーを経て、20歳で通信回線サービスの営業職としてのキャリアをスタートさせた。業績を上げたらダイレクトに給与へ反映され、頑張り次第で高給を目指せる仕事に魅力を感じたのだという。
「僕はその時すでに結婚して子どもも産まれていたので、月収で100万円くらいは稼いで、値札を見ずに買い物をするような生活をしたいと考えていました。その前には不動産営業も経験していましたが、自分も買ったことのない高額商品を売るというのはなかなか難しくて。一方で通信回線は自分も実際に使っているサービスだし、どうやってお客さまにオススメすればいいのか、提案できるイメージが湧いたんです」
インセンティブの高い営業職で好成績を上げ、しっかり稼ぎたい。そう考えた高山さんは、全国に支社を持つ通信回線サービスの販売代理店に入社した。
「入社してすぐに、仕事に没頭するようになりました。もともと人と話すことが好きなので営業活動はすごく楽しかったし、自分に合っているとも思いましたね」
営業活動の楽しさを覚えた一方で、当時の職場の殺伐とした雰囲気にはなかなか慣れることができなかった。売上ノルマを達成できなければ、上司は部下を責め立て、社内には怒鳴り声が響き渡る。ハイレベルなノルマを達成し続けなければ昇格できないルールで、将来のキャリアも描けない。不満とストレスは溜まっていった。
「営業という仕事自体は楽しいのに、営業所に帰ったら『もっと売ってこい』と追い詰められる日々。マネジメントも経験してみたいと思っていたけど、昇格する気配もなければ、具体的な指導もないので、『このままでいいのかなぁ』と思っていたんです。自分が成長しているという実感も、あまり得られていませんでした」
「仕事自体は好きだったから、1年は我慢して働きました」と高山さん。そんな時、耳にしたのが当時の支店長が独立を考えているという話。その支店長こそが、Be Woodを立ち上げた増田亮さんだ。
「噂を聞きつけた僕は、増田に『新しい会社はどんな会社にしようと思ってるんですか』と聞いたんです。すると『業種は変わらないけど、働く環境をもっと良くすることで皆が楽しく働けて、自然と業績が上がっていくような会社をつくりたい』と熱く話してくれました。営業スキルを丁寧に教えてメンバーを育て、皆が心から仕事を楽しめるような会社をつくりたいんだと。ゆくゆくは自社サービスの開発もやってみたいということも、楽しそうに語っていました」
職場の雰囲気が悪いことに不安を感じていた高山さんは、増田さんが描く「皆で楽しく働く職場」に参加してみたいと強く思ったという。しかし、自宅に帰って妻に転職を考えていると相談してみると、最初は強く反対されてしまった。
「給料が下がるんじゃないの、ちゃんと休めるの、急に潰れたりするんじゃないの、と妻はいろいろ不安だったみたいです。そりゃそうですよね。夫が全国に支社を持つ会社で働いていたのに、いきなり上司が創業したベンチャー企業に転職しようとしているんですから。僕自身も全く不安がないわけではなかったですが、増田が描いている理想の会社を一緒につくっていくなら、自分はもっと成長できるはず。次はもっと良い環境で、必ず成果を出すんだと決意を妻に伝え、納得してもらいました」
「人間関係の良さ」は仕事の成果に直結する
Be Woodへ入社し、前職と同じく個人宅へ通信回線サービスの加入を促す営業を担当することになった高山さん。転職直後は一時的に給与が下がったものの、入社して数カ月で前職の給与水準を超えることができたという。
通常、営業担当は1日150~200件ほどの個人宅を訪問し、そのうち5~10件が商談に繋がる。その後の受注率は50%程度が平均だというが、現在の高山さんは、80%以上の成約率を誇るという。その高い受注率の背景には、安心して営業活動に臨めるBe Woodの社風があった。
「前職では営業の成果が出ない時、『なぜ目標が達成できないんだ』と追い詰めるような雰囲気が社内に溢れていました。でも今は『じゃあどうすれば成果がでるようになるのか』と、上司が一緒になって考えてくれる。営業ロープレをチェックしてくれたり、営業に同行して丁寧に指導してくれるんです。上司・部下問わずにどのメンバーともこまめにコミュニケーションを取る風土が根付いているし、現場ファーストという雰囲気がある。そんな風に仕事ができる環境に身を置くだけで、こんなにも成果を上げやすくなるんだと驚きました」
「皆が楽しく働くことで、成果を上げていきたい」という代表の想いは、現場にしっかり根付いている。実際に今回取材で伺った営業所では、社員の賑やかな話し声と笑顔が溢れ、マネジャーは各メンバーのデスクの間を回って、積極的に声を掛けている姿が見られた。
「人間関係の良さって、仕事の結果に直結するんですよね。以前は部下が上司に物申すなんてとんでもないという雰囲気だったけど、今は上司に対して『どうしてそんな指示を出すんですか?』、『こうした方が良いんじゃないですか?』とかって率直な意見を言える。部下の意見には上司もとことん向き合ってくれますから、一つ一つの指示やアドバイスに納得した上で、仕事を進めることができています」
成果を上げやすくなったことで、働き方にも変化が。仕事で結果を出しているという安心感もあり、残業もなく休みも取りやすくなった。現在3歳になる子どもと過ごす時間も増え、今では家族も高山さんの転職を喜んでいるという。
“環境が人を変える”ことを実感
「部下に自分の背中を見せていきたい」
高山さんは現在、前職からの念願であるマネジャーになることを目指して3名の部下を任されている。Be Woodの昇格基準は、明確だ。「3名の部下を育て、彼らを昇格させること」。高山さんはマネジャーになる一歩手前の準備期間として、3人の部下の育て方、モチベートの仕方を学んでいる最中だ。
「初めて部下を持つので大変なこともたくさんありますけど、それよりも嬉しいことの方が多いです。僕がアドバイスしたことで部下の業績が上がることが、今は何よりも嬉しくって。今まではそもそも後輩や部下を気遣えるような余裕のある環境じゃなかったし、自分さえ業績が上げられればいいと思っていた。だから、自分が上司という立場になってこんな気持ちになるとは想像もつきませんでしたね(笑)」
高山さんは、今でも現場ではトップの営業成績を毎月のように叩き出しているという。そのモチベーションの源泉を問うと「これも、部下の存在が大きいんです」とはにかんだ。
「まずは上司である自分ができるところを見せないと。そうじゃなければ部下にも教えられないし、尊敬もされないと思うんです。部下に背中を見せていきたい、それが今僕が営業を頑張る大きなモチベーションになっています」
業種も職種も変えず、新天地で生き生きと働く高山さん。自分でも「環境が人を変える」ということを強く実感しているそう。
「僕が転職して大きく変わったと思うのは、仕事に対するモチベーションです。業務内容は変わらないのに、環境が変わるだけで、こんなにも仕事へのやりがいや楽しさが増えるんだなと。これからは、事業部をまとめるマネジャーになって、10人以上のメンバーを任されるように自分自身が成長したいですね。働いているメンバー全てが、楽しく仕事ができる環境を、今度は僕が整える立場になっていきたいと思っています」
転職時期:社会人3年目(21歳)
応募企業数:1社
内定社数:1社
転職活動でやってよかったこと:企業規模や給与ではなく、「人」や「理念」で職場を選んだこと
取材・文/石川 香苗子 撮影/吉永和久
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